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好き

自分の気持ちに気づいた勇利、勇利のそっけない態度にモヤモヤしてる廉、自分の気持ちに気づいたとき、貴方はどんな答えを出しますか?

勇利どうしたんだ?あんなに焦って



なんか俺変なこと言っちゃったかな




あれから勇利との通学の約束をしたが寝坊したとか、病院行ってからいくからとかで全く通学できていない

勇利のそばにいたいのに、俺今すげー寂しいって思った、勇利どうして一緒に通学してくれないんだ?すごく嫌だ、俺ほんとにどうしたんだ?今日も断られたし俺避けられてる?何かした?


ピコン



【ごめん!やっぱりしばらく一緒に通学できなくなっちゃった!】



なんかあったのかな



【気にすんな、学校で会えばいいだろ?】



【うん、ありがとう】



勇利と通学できないのいやだな



➖➖➖➖


「勇利おはよう」



「あ、れんくんおはよう」



「テスト週間で今日から部活ないからさ、また一緒に勉強しようぜ」



「え、じゃっじゃあさ!瑠衣もいい?」



「え…」



なんで新井?もしかして勇利は新井のことが好きなのか?





「いいよ、明日でいいか?」



「ありがとう!瑠衣にも言っておく」




「うん、わかった」




はぁ…新井はきっと勇利のこと好きなんだろうな

俺に嫉妬して睨まれたら最悪なんだけど…



「おい、山理!第一教室行くぞ」



「あ、うん」




廊下を出るとちょうど新井と勇利が一緒に歩いてたら




「あ、榊と新井じゃん」


勇利すごい楽しそうにしてる。俺に向けてくれた笑顔を新井にも向けてる…新井は勇利の病気も知ってるよな、勇利ももしかして新井のことが?


『れんくん!』

『やっぱり山理くんは優しいね』

『山理くんって頑張り屋なんだね』


勇利の笑顔や声が頭から離れない


「勇利…」




思わず口に出してしまった


ああそうか俺は勇利のこと好きなんだ。今更気づくとか俺馬鹿だ、新井はイケメンだし、頭もいいし、背も高いし俺なんかよりよっぽどお似合いだ、そんなことを思う自分が情けなくて胸が張り裂けそうになる


勇利も新井のこと好きなの?


考えたくないのに…



「いてっ!」





自分でも思ってる以上にダメージが強すぎて

思わずよろけてしまい成田にぶつかった



「おい、大丈夫か?」



「あ、悪いな」



「………後悔だけはすんなよ…お前のこと見てればわかるよ、多分市東もな」



俺が見てる方向を成田もみて勘づいたらしい




「ありがとな」



成田ありがとう、俺はほんとにいい友達を持った





-昼休み-






勇利が俺のところに来てくれた




「どうした?」




「その…今日の放課後さ化学また教えもらってもいいかな」



「前も言ったろ、俺に頼れって」



「うん…ありがとう」



勇利と2人きり、嬉しい



放課後俺と勇利は自習室で勉強することにした



「どこがわからない?」



「これ…計算とか難しくて」



「教科書よりテキストの解説の方が分かりやすいから、それ見ながらやろう、てかお前元素記号覚えてきたの?すげーじゃん」



「うん…少しでも点数とりたくて、俺化学だけは無理って思って諦めてだんだけど、れんくんに教えてもらえて頑張ろって思えたんだ、だからいい点数とってれんくに見せたい」







…勇利と一緒にいると胸が苦しい


勇利の言葉はいつも胸に刺ささって俺を戸惑わせる


「勇利、この前の電車で俺変なこと聞いてごめんな」



「え、いや気にしてないよ、俺好きとかよく分からないし」



「勇利…何かあれば相談しろよ」


本当は…そんなこと言いたくない





「うん…ちょっとトイレ行ってくる」


「おう、わかった」



➖➖




****





トイレなんて嘘だ…


れんくんのことが頭から離れない、


本当は瑠衣に教えてもらおうと思ってたのに


れんくんが頼れって言ってくれたの嬉しくて瑠衣の気持ち考えずに…俺最低だ、もう瑠衣と友だちでいられないかも



「榊くん?」



「あ…市東くん」



「どうした?ボーっとして」



「あ、ちょっとトイレに」



「通りすぎてるよ」



「あ、本当だ」



「なんかあった?」



「………」



「前さ山理が言ってたんだ、俺たちに頼れって言ったら榊くんが嬉しそうな顔してくれたって、それ聞いて俺たちも嬉しかった、だから山理だけじゃなくて俺にも頼って」



「誰にも言わない?」


 



「言わない」








「…瑠衣と同じ人好きになっちゃった…」



「もしかして山理?」



「うん…」




「え、じゃあ新井くん山理のことが好きなの?」




「多分」



「多分?」


「付き合い長いし瑠衣を見てればわかるよ、きっとれんくんが好きなんだろうなって」



「そっか…難しいよな」



「友だちだし、これからも瑠衣とずっと仲良くしたいのに俺はれんくんのこと好きになっちゃって本当にどうしたらいいのか分からない…俺がもしれんくんと付き合ったら瑠衣は俺ともう話してくれなくなるんじゃないかって…怖いんだ…」





「榊くんはもし山理と新井くんが付き合ったら友だちやめるの?」





「…ショックだけど2人をそばで応援したいかな、立ち直るのには時間がかかるかもだけど」



「じゃあきっと新井くんもそうだと思うよ」



「そうなのかな…」



「あとは山理次第だろ、もしかしたら2人とも振られるかもしれないじゃん」




「そ…それは考えたくなかったな」




「まぁもし榊くんの思いが実って新井くんが振られる形になってもさ、新井くんには成田がいるから大丈夫だよ」





「なんで成田くん?」





「成田は勘が鋭いんだよ、それにあいつはなんも考えずに人と接することができるからな、新井くんは成田と一緒にいればちょっとは気持ちが晴れると思うな」



「そうなんだ…」



「もう教室戻れそうか?山理と勉強してるんだろ?」



「うん…ありがとう市東くん」



「大丈夫だよ、また相談しにきな」



「うん」




➖➖➖➖



「お待たせ」



「勇利大丈夫か?」



「うん…」



「疲れたか?」



「いや、大丈夫!頑張るよ!」



「そっか」



「れんくんは今度大会とか出るの?」



「うん、テスト終わったら部活に全振りする、だからここでいい点取っとかないとさ!もし、暇だったらみにきてくれないか?」



「いいの?」



「俺は勇利に見てもらいたい、そしたら俺も頑張れるし」



「うん…行く」




よかった…来てくれるんだ


「勇利」


「あ、瑠衣」


「なにしてんの?」



「なにってれんくんに化学教えてもらってた」


「そう…勇利、ちょっと山理と話ある、すぐ終わるから5分くれ、5分たったらきていいから」



「え…うんわかった…」



「は?なんで俺?」




勇利が足早に教室を出る…やばい怖い


「え?何話しって」


「………」


沈黙?お前から話しかけてきたんだろーが


「あ、新井?何黙ってんだよ」


なんだよその複雑な顔は、俺に何を言いたいの?


「山理…」


「お、おう…」


「山理…俺さ勇利のこと好きなんだ。たから応援してほしい」



「……それは…」



今ならはっきりわかるすげー嫌だ

そんなこと考えたくもない



「なんてな無理だろ?お前勇利のことすきなんだろ?」



「…な、なんで」


なんなんだよお前 俺より勇利のことよく分かってるとでも言いたいのか?


新井の顔を見られない




「もしここで俺が勇利に好きだと伝えたらお前どうする?」



「どうするって…わかんねえよ」



どうすればいいんだ?もし新井が告白して勇利が受け入れたら俺はもう立ち直れない、なんて返せばいい?正解がわかんねーよ






「今のが全部嘘で本当は俺は山理のことすきって言ったら?」



「は?なにいっ…ん」



急に口を塞がれた


これってキス…?


え、俺、新井とキスしてる?


頭がまわんない


ダメだ力が強くて離せない



「え…」




「もう5分経った?」


勇利!



「新井!お前何すんだよ!」



「ごめんごめん、つい可愛くて」



はあ?




「勇利、俺手加減しないからな」




「る…瑠衣なんのこと?」



「とぼけんな何年一緒にいると思ってんだよ」




「瑠衣…」




「山理、じゃあなバーベキュー楽しみにしてる」








➖➖➖➖

「はあ…」


自習室を出てトボトボ歩く



やってしまった…もう戻れない



「あれ?新井!何してんの?」




「成田…」




「山理たちと勉強してた?」



「いや…キスしてきた」




「ん?」




「キスしてきた」




「は!?だっ誰に?」


「山理に」




「え!嘘だろ!だってあいつ」



「勇利が好きなんだろ」




「!…」



「勇利も山理のこと好きだよ、それに俺が山理のこと好きってことに勇利は気づいてたとっくの昔に」



「じゃあなんで」



「俺の方が先に好きになったのに、知らないうちに仲良くなってムカついた。だったらキスぐらい奪ってやろうって思った」



「お前」



「最低だよな」



「……そうだな」



「さっさと付き合ってくれれば俺も諦めがついたのに、あいつら全然付き合わねーんだもん」



「いつから山理のこと好きだったんだよ」



「今年の春…俺に折りたたみ傘貸してくれたんだ、そこにさすげー汚い字で【5年3組 山理廉】って書いてあったんだよ。小学生からずっと綺麗なまま使ってるってすげーなって、どんな人なんだろうって目で追ってた。傘返したら『気にすんな、また忘れたら貸してやるよ!お前も抜けてるところあんだな』って笑ってくれたんだ。そこで好きになった。ほんの少しでも話せると嬉しかった」



「そんなことあったんだ」



「俺は臆病だからただ見てただけだった。でも勇利は自分から行動して山理を変えた。遅かれ早かれこうなってたよ」



「確かに榊と出会えて変わったよあいつ」



「はぁ…最悪…俺だけバーベキュー誘われないだろうな」



「お前ほんと馬鹿だな」



「うん…まぁこれで吹っ切れたわけじゃないけど、勇利がこんなに誰かを好きになるってあまりなかったんだ。俺のこと優先して思いを伝えなかったんだろうな。優しいよなあいつ。もう友だちやめるとか言われるかも」



「お前不器用だな、とりあえずお前は榊に謝れ」



「え?」



「友だちでいたいんだろ?」




「でもなんて謝れば」



「そこはお前が考えろ!後のことは俺がなんとかしてやる、だからお前はちゃんとバーベキューにこい」



「お前のなんとかしてやるは信用ならない」



「お前なー!てかなんでみんな俺がフォロー下手だから信用できないっていうんだよ!ムカつくわ!」



「ふっ…やっぱり成田はすごいよ」



「はあ?」



「ちょっと気持ちが落ち着いた、ありがとな」



「おう、またいつでも話にこい」



「うん」



「腹減ったからコンビニ行こうぜ」



「成田、俺唐揚げな、」



「なんで俺が奢る前提?」



➖➖➖➖



****


頭がパニックだ、どういうこと?



「瑠衣…」



勇利がうずくまる…声が震えてる…行かなきゃ



「勇利!大丈夫か!?今のは違くて」



「俺…ほんとに最低だ」



「?」



「瑠衣がれんくんのこと好きだって分かってた

でも俺も好きになっちゃって瑠衣に申し訳なかった、だかられんくんと距離取ろうと思ったのに…やっぱり俺もどうしてもれんくんと一緒に居たくて声かけちゃった。自分の気持ちを優先するとか最低だ。どんだけ瑠衣が辛かったかも全然考えてなかった。俺はもう瑠衣に嫌われた、友だちに戻れない。」



勇利…勇利も辛かったんだな



「勇利…泣くな、きっと大丈夫だ、長い付き合いなんだろ?新井も勇利の気持ちに気づいてたよきっと。それに新井も同じように思ってるよ、新井が勇利に謝ったら全部水に流してやる。」



「れんくん…ごめんね」



「俺の前では弱いままでいろって言っただろ?そんなに自分を責めるな俺を頼れ」



「うん…バーベキュー、瑠衣も参加してもいい?」



「お前はいいの?」



「うん、この前の勉強会みたいにみんなで一緒にまた楽しみたい」



「勇利、お前ほんとに強いな」



「そんなことない」



「自信持て、また勉強するぞ立てるか?」




「うん…」


➖➖➖➖



「れんくん教え方やっぱり上手だね」



「俺もまた勇利と勉強したくてどうやったら分かりやすいかなって考えてた。俺にも英語教えろよ」



「うん…」



「勇利…?」



「俺の言ったこと覚えてる?」



「ん?え?ちょっとパニクって全部は覚えてないかな」



「そっかならいいや。大会いつ?」



「8月3日」



「絶対見に行く」



「ありがとうな嬉しいよ。あと俺とさ、また通学してくれない?」



「うん、あのねれんくん」



「なに?」



「俺さこの前病院に行った時に安定してるから薬の量減らそうって言われたんだ」



「え!よかったな!」



「うん」



「お前はやっぱり頑張り屋だな」



「そんなことないよ」



「お前俺の言ったこと忘れるなよ、お前や周りが言わないなら俺が何度でも言ってやるし、勇利を1人にさせない」



「やっぱりれんくんはかっこいいよ、また泣きそうになるじゃん」


「そういう時は大泣きすればいいんだよ泣き虫」


「うん…俺頑張ってたのかな?こんくらい当たり前のことだとおもってた早く普通になりたかった」


「俺も同じ考えだったよ、勇利に会わなければずっと嫌なやつだった、こんなふうに心開けなかった、前も言ったろ?病気になったのは勇利のせいじゃない」



「…うん…てんかんのこと市東くんや成田くんにも言ってもいいのかな?」




「ばか!あいつらがそんなんで友だちやめると思うか?」



「思わない」



「じゃあ大丈夫だ」


「やっぱりれんくんはかっこいいよ!でも出逢った時よりも今の方がかっこいいし好き」


「え」


「あ、…その、人としてというか…」


「「………」」


やばい、さっきのこと思い出した…


『俺も好きになっちゃって…』


『やっぱりどうしてもれんくんと一緒にいたくて』


嬉しすぎる、勇利はお、俺のこと好きってことは


りょう…両思いってことだよな



な、なんて切り出せばいいんだ



思っている以上にワタワタしてしまいうまく声が出ない





「ゆ、勇利どうした?落ち着けよ」




「え…えっとなんでもなくて」




「そっそうか」



変に気まずい…



「もう帰るか?疲れただろ?」



「う、うん」



((そっ…そうだ帰りの方向一緒じゃん))



ぎこちないんだけど…

俺恋愛初心者かよ!


****



必然的に2人で帰ることになっているが、さっきのことが頭から離れず顔をみれない。む、無言がきつい…何を話せば…




「れんくん」



「え!はい!」



「どうしたの?」



「あ、ごめんなんでもない!どうした?」



「テスト終わったら今度部活見に行ってもいい?」



「おう!見にこいよ!」



「れんくんの走ってるところたくさん見たいな!今度競走する?」



「俺結構速いよ?」



「知ってる、体育祭で実感したよ、選抜リレーすごかった」



勇利との会話にいちいちドキドキしてしまう。

本当はもう好きと言いたい、でも勇利は優しいから新井のことで葛藤すると思う



「あのさ…俺、今度新井と話してくる」



そしたら俺と付き合ってくれる?とか言ったら困らすかな…



「うん…俺も瑠衣と話したい」



告白する前に新井とのことに蹴りをつけよう




「また明日化学教えるよ、」



「英語も教えてあげるよ」





➖➖➖➖



電車の中では2人とも緊張してて何も喋れなかった。



というか勇利がウトウトしだしていた。



「勇利寝とけよ起こすから」



「うん…」



寝顔かわいいな、やっぱりまつ毛なげーし、肌綺麗だな。こうやって近づかないと分からなかった。


新井は前からそのこと知ってたのか、なんか腹たってきたな。そもそも告白はされたことあったけど誰とも付き合ったことはないし何気にファーストキスなんだけど!!俺のファーストキスを奪いやがって!いや、これはノーカンにしよう。





「勇利、つくぞ」



「うん…?あ、ありがとうなんか早いな…れんくん、また明日」



「うん」



➖➖➖➖


翌日




俺はいつもの車両にいた。


ちゃんとした約束はしてないけど勇利が来てくれるんじゃないかなって思った。


「れんくん…おはよ」


「おはよ」


「もしかして待っててくれたの?」


「うん…一緒に通学したかった」


「俺も」


ダメだ意識しすぎて何を話せばわかんねえ


お互い好きなんだよな


「あのさ、今日瑠衣と話してくる」


「そっか」


「仲直りできるかな」


「大丈夫だよ、付き合い長いんだろ?」


「うん」


「そういえば帰る方向違うのになんで仲良くなったの?」



「小学生の頃水泳の習い事で一緒だったんだ、そこからよく遊ぶようになった。瑠衣すごいんだよ!めっちゃ速くてさ!県選抜にも選ばれてたんだ!」



「そうか…」



なんかムカつく…自分から聞いといてあれだけど



「どうしたの?」



「いや!なんでもないなんでもない、ほらつくぞ」



学校までは駅から歩いて5分くらいだ。もっと話したいのに話せない…


「勇利、終わったら連絡して」


「うん、今日も化学教えてくれる?」


「いいよ、わからなかったらいつでも来い、電話でもいいから」


「うん、れんくんもいつでも電話して…じゃあ」




『いつでも電話して』


やばいあの照れる顔が頭から離れない…


いつのまにこんなに好きになったんだろう


「山理、おはよう」



「あ、おはよう」



「ボーッとしてるけど大丈夫か?」



「いや!大丈夫!成田…あのさ昼に市東と3人で話したいんだけど空いてるか?」



「空いてる。市東にも俺が言っとく」



「おうありがとう」








➖➖➖➖


「ごめん!遅くなった」


「いや、平気」


「そんで?話って何?」






「その、もうバレてると思うけど、俺、勇利が好きなんだ」




「知ってる」



「俺もそうかなって思ってたよ、何年友だちやってると思ってんだよ」



「うん…でもまだ告白もしてない』




「はぁ?お前らあんだけイチャイチャしててまだ付き合ってないのかよ。」



「まぁそういうなよ、市東だってすげー心配してたじゃん」



「心配してくれてたんだ、ありがとな、というかそんなにイチャついてないだろ」



「はぁーー?!どう考えてもイチャついてるだろ、勉強会のときだっ…!イテッ!」




「市東お前もう黙れ!話が進まねーよ」



こういう時は成田がすげー頼りになる、意外だな



「おう、そんでさ…勇利も俺も新井と拗れちゃって…勇利は新井と友だちに戻れないかもって落ち込んでるし、俺は俺で新井と話したいんだけど、新井はもしかしたら逃げるかもしれないだろ…?だから新井と話す機会作ってくれないか?」



「お前変わったな、榊くんに感謝しろよ」



「本当だよ、前は人と深く関わること避けてたのにな」



「成田、わかってたんだ」



「分かるよそれくらい、友だちだろ?」



「うん…ちょっと泣きそうだわ」



「泣き虫だなほんと!事情はわかったよ、俺が勉強教えてって言ってつれてくるよ」



「わかった」



「てかなんで新井くんと拗れたの?」



「その…新井に告白された、というか急にキスされたんだけどそれを勇利が見ちゃって拗れた」



「キス!?まじか」



「市東キスについては一旦おいておけ、興奮するな

俺もさ昨日新井とばったり会って、勇利ともう友だちに戻れないって嘆いてたよ、あいつ馬鹿なんだな」



「新井の気持ちは嬉しいけど、やっぱり俺は勇利が好きだ、だからちゃんと断る。」



「お前本当に好きなんだな、榊のこと」



「うん、新井もバーベキュー来てくれるかな」



「来るだろきっと、それに成田がなんとかしてくれるんだろ?」



「お前らな!俺にフォロー下手だから信用できないとか散々言っておいて大事なところは俺任せかよ!」



「バレた?」



「いや、成田はほんとにすげーよ、どんな人でもしっかりと向き合うし受け入れんじゃん」



「お前からそういうふうに言ってもらえると思ってなかったな、まぁ俺はしばらく新井と一緒にいるよ、そんで大丈夫そうだったら呼ぶし」



「ありがとな、あとは勇利と仲直りしてほしいかな」



「そうだな、てかお前らいつのまにか仲良くなったんだよ!好きになった経緯について1から100まで全て教えろ!そしたら120%の力を発揮してお前らを助けてやる!」



「えぇ…」




「俺にも教えろ!お前最初は榊くん見るとイラつくとか散々言ってたのに、急に心境の変化があったからどうしたのかと思ったわ!」



「えっと、俺が遅刻した日あっただろ?学校着くのに勇利寝ててさ、起こしてたら俺も勇利も乗り過ごして次の駅まで行っちゃったんだよ、そこで色々話してさ…最初は俺のこと見透かされてて、全部言ってること図星だしすげー腹立ってたんだ。だからイライラしてた。でも勇利も過去に色々あってそれを話してくれて俺なんかよりよっぽど強いやつだってわかって友だちになった。」



「過去のこと?」



「それは勇利から教えてくれるよ」



「そっか」



「勉強会しただろ?勇利を誘ったら新井もいてさ、

勇利、瑠衣って呼び捨てだしちょっとモヤモヤしてた。勉強会のときもずっと勇利の横キープしてて腹立ってたし、学校で勇利と新井が仲良さそうに喋ってるのみて確かに新井は背も高いしイケメンだし俺なんかよりよっぽどお似合いだなって思ったらちょっとダメージデカくてさ、そこで俺は好きなんだって気づいた。いや、本当は勉強会の日にはもう好きになってたんだと思う。」



「お前も初心だな」



「うるさい、勉強会の時勇利と喋ってるとすげー新井からの視線感じてたから俺はてっきり勇利が好きなんだと思ってたんだけど…俺のこと好きだとは思ってなかった…」



「多分榊がお前と喋ってるのやだったんじゃない?嫉妬して榊を逐一呼んでたんだと思うよ」



「嫉妬…」



「そうかもな、あと、さっき成田から遮られて言えなかったけど、お前らまじで勉強会のときイチャイチャしてたんだからな!」



「え、そんなに?」



「あれはイチャついてた」



「たとえば?」



「教え方上手いなとかいちいち褒めるし、榊に化学を教えてる時のお前めっちゃ顔緩ん出るし『俺に頼れ、な?』とかかっこいいこと言っちゃってるし、榊も榊で嬉しそうにしてるしちょっと照れてるしで見てられなかったわ」



「無意識すぎてわからなかった」



「そりゃ新井だって嫉妬はするよな」



「申し訳ない…」



「まぁいいよ話してくれてありがとな、新井くん的にはお前と関わるのはちょっとしんどいかもしれないけど、彼やお前の無理のない範囲で喋ったり距離置いたりすればいいと思うよ。別にお前らの恋愛どうのこうのについては俺らは関係ないし、新井くんと友だち辞めるとかはねーよ」


「市東…ありがとな」



「最初は勇利と新井が仲直りするところからだな」



「成田、お前勇利って呼び捨てにすんな」



「なんでお前の許可いるんだよ?まだ付き合ってないのに」



「う…」



「まぁ勇利くんには俺が相談乗るし大丈夫だよ」



「お前ら…わざとだろ?」



「だって長いこと友だちやってきてお前がこんなになるの初めて見たからさ、つい面白くて」



「いうなよ俺も笑い堪えてんのに」



「お前ら…やっぱり腹立つ!!」



➖➖➖➖


「瑠衣…おはよう」



「おはよう」



うぅ気まずい…なんて切り出せば



「勇利、1限サボるか?」



「え、なんで?」



「化学だから」



「え、いや化学苦手だからサボれない…」



「山理のためにも頑張らないとだしな」



「………」



瑠衣怒ってる?怖い、もう本当に友だちじゃなくなるかもどうしよう、れんくんならどうするんだろう



「昼は?」



「あ、空いてる」



「じゃあ話そう」



「うん…」



➖➖➖➖



****




はぁ会いたくない、でも仲直りしたい、怖い



「勇利」



「瑠衣…」



「「……………」」



ダメだ沈黙がキツすぎる



「勇利」



「は!はい!」



「なんだよその返事」



「…」


どうしよう…もう逃げたい



「勇利昨日はごめん」



「え」



「勇利を傷つけて」



「そんなことない…俺もごめん、長い付き合いだし瑠衣がれんくんのこと好きなのは気づいてた。最初は見守ってたんだけどれんくんと仲良くなって話していくうちに俺も好きになっちゃった。…瑠衣のこと裏切った。本当に申し訳なくて、れんくんと距離置こうと思ったのにやっぱり喋りたくて自分の気持ち優先した。自分勝手で最低でごめん」



「そんなこと言うな…謝るのは俺の方だ。俺は山理のこと好きになったけど自分から行動するのが怖くて仕方がなかった。勇利がいつのまにか仲良くなってて嫉妬してたしムカついてた。俺の方が先に好きになったのにってだからキスした。俺は最低だ。俺は勇利を傷つけた。俺のこと嫌いになってもいい。悪いのは俺だから…」



「嫌いになるわけないだろ!!」



「え?」



「自分で完結すんな!俺も瑠衣の気持ちに気づいてたのに自分を優先したからもう友だちとして喋ってくれないかもってすごく怖かった、瑠衣は大事な友だちなんだ。だから俺とまだ友だちでいてほしいんだ…俺また自分勝手なこと言っちゃってるな」



「そんなことない…本当に友だちとしてこれからもいてくれるの?」



「泣かないでよ、またさ家でゲームしたり遊んだりしよう」



「それは…多分山理が嫉妬するからほどほどにしとく」



「えぇ…そのまだ告白してなくて付き合ってない」



「はぁ?お前さっさと告白して付き合えよ!」



「告白なんてしたことないんだからなんて言えばいいの?」



「普通に好きでいいじゃん!お前ほんとに初心だな」



「だって…」



「はぁ…お前バーベキューまでに付き合わなかったらぶん殴るからな!」



「それはやだ…ていうかバーベキュー参加してくれの?」



「お前らがいいなら」



「きてほしい」



「ありがとな」


仲直りできた、知らせなきゃ

➖➖➖➖




「れんくん」



「ん?」



「あのさ…今いい?」



「山理、俺たち先行ってるわ」



「わ、わかった、どうした?」



前まで普通に喋っていたのにすげー心臓がバクバクしてる。落ち着け…落ち着け…



「…瑠衣と仲直りできたんだ…」



「そっかよかったな!勇利大丈夫か?具合悪いか?」



「いやちょっとホッとして疲れたというか…早く伝えたくて走ってきちゃった」



可愛い…ダメだまともに顔見れない



「そ、それでさ、今日また化学教えてくれない?」



「なんだよ改まって昨日約束しただろ?俺にも英語教える約束忘れてないよな」



「うん、忘れてない」



「じゃあまた自習室でな」



「うん…」



きっ…緊張した…



「おい!山理!お前なに緊張してんだよ」



「うわ!のぞいてたのかよ」



「はぁーもうラブコメか?これで付き合ってないとか訳わかんねー」



「成田やめとけ物事には順序があるんだよ、な?れんくん?」



「お前らまじで邪魔!後で覚えとけよ!」



➖➖➖➖


「あーわかんねー」



「長文は難しいよね」



「もう英語は諦めようかな…」



「部活に全振りするんでしょ?いい点とらないと」



「えーわかったよ、お前も化学諦めるなよ」



「うーーん」



「いい点数取らねーと補習になるぞ」



「それはいやだ」





「勇利…新井と仲直りできてほんとによかったな」



「うん、もう話してくれないと思ってた、友だちじゃなくなってしまうのも怖かった。でも勇気出せてよかったよ。れんくんのお陰だね」



「俺は何もしてないよ、勇利の力だよ」



「ありがと…あのさ、れんくんは瑠衣とは会えた?」


「いや、まだ」


「そっか…明後日からテスト始まるね」


「そうだな」


「いい点取れるかな」


「大丈夫だよ、あんなに勉強したんだぞ?苦手な化学を最初からもう一度勉強するなんて中々できることじゃねーよ!俺を信じろ」



「うん、れんくんも大丈夫だよ、飲み込み速いし」


「勇利のおかげだよ」


「照れるな…テスト終わったらすぐ帰る?」



「いやーどうしようかな、勉強してくか?」



「いいの?」



「当たり前だろ、市東や成田や新井も誘うか?」



「え…」



「ん?どうした」



「ふっ…2人でやると思ってた…」



顔が熱い、苦しい、もう好きと言いたい



「俺と2人でいいの?」



「うん…2人がいい」



「勇利…」



ガタン…



立ち上がり勇利を上から見る



触れたい、愛しくて苦しい、好きと言えないのがこんなに辛いなんて思ってなかった…



「勇利…」



すきだ



「れんくん?」



「お前…今好きな人いる?」



「………いる」



「だれ?」



「……」



「俺はいる」



「……」



「勇利」



「っ!」



「勇利」



勇利…




「勇利、どうしようもなく好きだ」






触れたい、もっともっと触れたい



……………




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