誰のせいでもない
このシリーズは私の実体験をもとに書いています
「はぁ今日持久走か…」
山理廉高校2年生 陸上部
俺は生まれてすぐに心臓に異常があった病名は
「総肺静脈還流異常症」
簡単に言うと肺から還ってきた真っ赤な血
と、全身から還ってきた黒っぽい血が右心房で混ざりあった状態になり十分な酸素を取り込めなくなる病気だ。幸いにも俺は恵まれていて、とても腕のいい先生が手術をしてれたらしい。
手術の跡も綺麗で裸になってもあまり目立たない。産まれてすぐの手術でもちろん記憶なんてないし、幼い頃に両親からこんな病気だったんだよと簡潔に聞かされていたから正直「ふーん」と言う感じだった。
だがそんな中でもやっぱり俺は病気だったんだと痛感することがある。体力がなくすぐに息切れをしてしまうのだ。
運動すると他の人よりも酸素をたくさん取り込まないといけないので心臓がより働く。走り続けることができない。途中で苦しくなってしまう。だからシャトルランとかは地獄だ。でもそんな奴がなんで陸上部かって?長距離は苦手だけど短距離なら得意。それだけだ。俺は持久力がない分すぐに勝敗がつく一瞬に全てを賭けることにした。
元々走るのは好きだし、
俺にもできることを探したかった。
こんな話は誰にも話していない。
周りの奴らからは「陸上部なのに体力ねーな」と笑われるため俺は「うるせぇ!」と怒るといういつものやり方をして笑いをとっている。別に元々おちゃらけるようなキャラではないけどまぁ陸上部なのに体力ないのはいじりがいがあるよな
でも1限から持久走なんて本当に辛い。あぁ憂鬱だ。
しばらくボケっとしているといつのまにか学校の最寄り駅に着いてしまっていた。
はぁ行くか…ん?あれは
ふと遠くを見ると同じ制服の男子が寝ていた。あれは1組の榊くんだっけ?
起きないと乗り過ごすぞ…起こすか
ほんの気まぐれだった。普段ならそんなことしないというか気づかない
トントンと彼の肩を叩くと
「ん…?」と声が漏れゆっくりと目を開けた。接点なくてあまり気づかなかったけど、まつ毛なげーな
「降りないと乗り過ごすよ」
「え!やばい!」
彼が慌てて席を立った瞬間
プシューと扉が閉まった
え?俺も乗り過ごした?
「あ!ごめんなさい!俺を起こしてくれたばかりに…」
「あ、いやいいって次の駅で降りてまた戻ればいいだろ?」
「でも完全に遅刻だよ?俺のせいでごめん」
「謝らなくていいって俺も座ってもう少しゆっくりするわ」
俺は彼の隣に座った。榊くんは申し訳なさそうにしていた。俺もしゃべったことない人と何を話せばいいのかわからなかった。
「あ!着いたね急ご!」
「いやいいよゆっくり歩けよ」
階段駆け上がるのきついんだよな
「ダメだよ!本当に遅刻しちゃう!」
榊くんは俺の手を取り階段を必死に上がっていった。
力つよ…もう間に合わないって
反対側のホームに着きそうな頃にはもう電車は通りすぎていた。
「間に合わなかったー!」
「だから言ったじゃんどうせ間に合わないって」
「でももしかしたらって間に合うかもって思ってさ!一瞬に賭けたかったんだよ」
一瞬に賭ける…俺と同じだ。俺と同じ考えなのに俺は今諦めてたよな
「まぁ座って休憩しようぜ」
「うん、ほんとにごめんね」
「いいって俺は山理」
「知ってるよ」
「え?知ってるの?」
「うん、だってすごい人気者じゃん俺は榊です。」
「知ってるだって選択授業で一緒じゃん」
「あ、知ってたんだ」
「うん」
「あのさ山理くん、今度お詫びさせて」
「別にいいよお詫びなんて1限サボれる理由作れてよかったわ」
「1限?そっか3組は水曜日の1限って体育だよね今は持久走だしきついよね」
「まぁ」
「あのさ、身体大丈夫?」
「え?」
「すごくはぁはぁしてるし呼吸整えてたから、俺が無理やり階段走らせちゃったからだよねほんとごめん」
「いや違くて」
違わなくもないけど、彼のせいじゃないことは伝えなきゃ
「あのさ、俺元々身体が弱いんだよ、だからすぐ息切れしちゃうだけだから気にしないで」
「いや、それじゃ尚更申し訳ないよ!知らなかったとはいえごめん!」
「謝るなよ」
「でも」
「身体弱い人間が陸上部やってるのって笑えるよな」
「…………」
あ、すべった?いつものやつらなら"ほんとだよー!"みたいなこと言って笑いに変えられるけど榊くんは完全に違うんタイプだもんな…変な空気になっちゃった
「そんなことないよ、山理くんはすごく頑張り屋なんだね」
「え?俺が?」
頑張り屋って初めて言われた
「うん頑張り屋だよ!自分の身体と向き合って
できることを見つけたんでしょ?すごいよ!走るの好きなの?」
「うん」
走るのは風をきってるようで好きだ
「凄いな〜!やっぱり山理くんはかっこいいよ」
「あ、ありがとう」
そんなこと言ってもらえると思ってなかった。俺は頑張ってたのか?
「俺さ産まれてすぐ手術したんだよ。手術は成功したし今も元気なんだけどやっぱり持久走はきついし呼吸しにくくなるしでしんどいんだよな」
あ、余計なことまで言ってしまった。やばい笑われる
「え!身体に負担かかるじゃん!どうしてやるの?」
「笑われたくないし」
「誰が笑うの?」
「誰ってクラスの奴らにだけど?まぁどっちにしろ身体弱くて走るのすげー遅いし、休んでも走ってもいじられるのは一緒なんだけどな」
「一生懸命頑張ってる山理くんをなんでその人たちは笑うの?」
「なんでって」
考えたことなかった。だって俺の日常はこれが普通だったから俺はいつのまにかいじられキャラで、馬鹿にされるのにも慣れてたしこれが俺だと思ってたのに。
「馬鹿にされることに慣れちゃダメだよ」
「はぁ?別になれてねーよ!」
「でも」
「お前何?俺の何がわかるの?さっきからすげー偉そうじゃん、俺のこと何にも知らないくせに偉そうにいうなよ」
「山理くんのクラスメイトよりはわかるよ」
「おまえマジで何言ってんだよ」
「すごく優しくて頑張り屋な人だって俺は知ってるよ」
「俺はそんなんじゃねーよ」
「普通になろうと頑張っちゃだめだよ」
「は…?」
「普通になろうと頑張れば頑張るほど普通のハードルが高くなって自分は何も頑張ってないもっと普通にならないとって…それじゃ自分自身のこと好きになれないままだよ」
「……」
彼のいったことは図星だ。俺は普通になりたいんだ。
普通の健康な高校生と同じになりたいんだ。本当の自分なんか知らない、だってこれが俺だから
「これが俺なんだよ、貧弱でいじられキャラで…」
それから?それからどうなんだよ。俺は貧弱でいじられキャラこれしかないのか?
だってずっと考えてきたじゃないかどうすれば普通なのかって普通になろうと頑張った結果俺は何もない人間になったってことなのか?
「ごめんでしゃばって」
「別に、そろそろ電車来るし乗ろうぜ」
電車の中は2人とと無言で学校まで歩くのも気まずさが漂いなんとも言えない雰囲気だった。
「あのさ…山理くん」
「何?」
「その、山理くんは本当にすごいと思うから自分のこと卑下しないでほしい」
「なんでおまえにそこまで言われなくちゃいけないんだよ」
「俺も…同じなんだ」
「はあ?」
「じゃあね」
クラスの違う俺たちはここで別れた
『俺も同じなんだ』
ってどういう意味だよ
教室はガランとしていて、俺1人だけだった。
クソイライラする…
俺はしばらく机に突っ伏して寝た
➖➖➖➖
「おい山理ー!起きろ!」
「え?」
「おまえ1限サボったろ?」
「成田うるせーなこっちは寝起きだぞ」
「怒んなよ!おまえ遅刻か?」
「まぁそんなところ、教室入ったら誰もいなくてもういいやーってなった」
「おまえの走ってるとこみようと思ってたのに」
うざ…
「寝る」
「おまえ次は出席しろよ」
にやついてんじゃねーよ俺を面白がんな
「俺今日具合悪いなか来てんの!ほっとけ」
嘘だけど
「つまんねー」
はぁいつもならノリよく話せるのにあいつのことがあったからすげーイライラする
「成田、俺やっぱり具合悪いから保健室いくわ」
「おう、またサボりか?」
「うるせー本当だっつの!おまえ俺が具合悪くて早退とかになったら謝れよな」
「はいはい」
➖➖➖➖
「失礼します」
「はいどうしたの?」
「ちょっと身体だるいんで寝させてください」
「はいどうぞ」
はぁようやく1人になれた…
今日は色々あってもう疲れた
あいつのせいだクソ!でもあいつの言ってたことはほんとだし痛いところつかれてムキになるとかガキだな俺…
俺って何もないんだな、中身のない人間だって思い知らされた。…あいつの言葉が頭から離れない
ピコン
【具合悪いって聞いたけど大丈夫か?】
市東からだ
市東はクラスは違うけど、小学生からの幼馴染で俺の病気を理解してくれる存在だ、市東の前ではあまりクラスの話をしない。いや、したくなかったのかも
【大丈夫】
……やっぱりあいつに謝った方がいいよな、なんて切り出そう
2限3限と授業が終わっていく
覚悟が決まらない
とりあえず昼休みに入ったら声かけるか
➖➖➖➖
保健室から出て1組を覗きにいくと
あいつがいた。あいつは友だちと笑っていた。何もなかったように…なんだよ、俺だけかこんなにモヤモヤしてるのは!俺は無性に腹が立ったがここで逃げたら負けたような気がするのでとりあえず謝るだけ謝って逃げることにした
「榊…」
「あ、山理くん」
「ちょっといいか?」
「うん」
俺たちは教室を出る。周りの視線が痛い。というか意外みたいな顔をしている。まぁそうか普段はない組み合わせだもんなとりあえず廊下で話すことにした。
「あのさ…朝はごめん」
「いや、悪いのは俺だし謝らないでよ」
「違うんだおまえの言ったこと全部図星でさ、痛いところつかれてついムキになったというか腹が立ってしまった。ガキでごめん」
「いや…俺もごめん、山理くんのこと知ったような口きいてごめんね」
「いいんだじゃあな」
俺は足早に去った。
「山理くんあのさ…俺はほんとに山理くんの気持ちが分かるんだ。俺も同じだから」
でた『俺もおんなじ』
意味わかんねー
「俺も同じって何?」
「いや…ここでは話せない」
なんだよそれ
「もしさまた駅でみかけたら声かけてよ」
「気が向いたら」
「うんそれでいいよ」
「じゃあ」
あいつと喋るすげーイライラする
帰り道俺は市東に今日のことを話した
「へー気になるな」
「なっ」
「榊くんが言ったこと全部図星だもんな」
「お前も俺が中身のない人間だって思ってんの?」
「そんなふうには思ったことはないけど、お前いつも頑張ってたじゃん、成田たちにいじられることが自分を守る方法なんだろう?本当は嫌なのにその気持ちに蓋をしてたじゃん。それを榊くんはすぐに見抜いたんだよ」
「おまえも俺のことお見通しだったんだ」
「何年一緒にいるんだよ、無理してんだろうなとは思ってたよ、でもそれを指摘したらおまえ怒るかなって」
「確かに怒るな、おまえからも痛いところつかれると思ってなかった…俺ダセーな」
「榊んくんは本当のおまえを見ようとしてくれたんじゃないか?周りに合わせようとすんなって多分榊くんは言いたかったんだよ」
「そうなのかなあいつと喋るとイラつくんだよな。なんでかわかんねーけどなんでたと思う?」
「それは知らねーけど…あとさ『俺も同じ』って彼もそういう経験があるんじゃないか」
「確かにあり得る」
「おまえ榊くんのこと知りたいんじゃないなの?」
「いや分からない」
「分からないって…とりあえず関わってみればいいじゃん、成田たちと関わってるより楽なんじゃないか?」
確かにそうだ、あいつと話していた時間は成田や他の奴らのことは忘れていた
「ちょっとしばらくは関わってみようかな」
「そうしてみろよ色々気づくかもしれないぞこういうのって自分から気づかないと意味ないしな」
「市東は大人だな」
「そんなことねーよ俺もしゃべってみようかないい?」
「いや別に許可取らなくてもいいだろ喋れよ」
「おまえが人に興味持つの初めてだからさ」
「そうだったっけ?」
➖➖➖➖
翌日おれはいつものように電車に乗った、俺の家は少し駅から遠いし市東は中学の時にちょうど引っ越して学校から歩いていける距離になったから俺はいつも1人で電車に乗っている。今日はあいついんのかな
あっいた
また寝てんのかよデジャヴか?たくっ…起こすか
「おい榊起きろ」
肩を叩いた
「え?あっ山理くん!?」
「おはよお前また俺を乗り過ごさせる気か?」
「ええ、いやまさか話しかけてくれると思ってなかった」
「おまえが話しかけてほしいって言ったんだろ」
「そうだけど」
「ほら寝坊助降りるぞ」
「うん」
「今日は乗り過ごさなかったな」
「起こしてくれてありがとう」
「いいって俺もおまえと話してみたかったんだよ」
「そうなの?嬉しいなぁ」
榊がニコッと笑う、こんな顔をするんだ
「おまえどこから乗ってんの?」
「小柳からだよ」
「俺は久来駅おまえ俺が乗る駅の次だったんだな」
「うん」
知らなかった。
「あのさ…「山理くんはなんで走るのが好きなの?」
「なんでって…昔から走るのだけは速かったんだよ
元々がじっとしてられない性格だしゴールテープを切る瞬間はすげー嬉しくてさ、走ってるときだけは周りなんか関係なく目の前のことに夢中になれるんだよ」
「そうなんだ」
「うわ!お前のせいでめっちゃ語っちゃったじゃん!はず!」
「そんなことないよ、また山理くんのこと知れて嬉しい」
また笑ってくれた。
「おまえ恥ずかしくないの?」
「え?何が?」
こいつと一緒にいるとペースが乱される
「はぁ…おまえってマイペースだよな」
「そうかな?」
「おまえ鈍感とか言われないの?」
「…たまに言われる、俺さ人の気持ち理解するとか苦手なんだよな…その俺さ…いやいいや、学校もうすぐつくしまた今度話すね」
「はぁ?おまえそれはないだろ!」
「だって」
「言わないなら授業サボってでも俺は聞きに来るぞ」
俺には喋らせて肝心なこと言わないとかなんなんだよ!クソ腹立つ。今回は全部言わせてやる
「わっ…分かったよ腕痛いから」
「…わりぃ」
感情的になりつい腕を掴んでしまった。こんなに腹が立ったのは初めてかも
「ベンチ座るか?」
「うん」
「で!話せよ」
「分かったって!実は俺、"てんかん"なんだよ」
「は?」
「聞いたことない?」
「聞いたことあるような、ないようなって感じ」
「健常な人の脳波は乱れることあまりないんだよ、でも俺は常に不安定で脳波がすげー乱れると発作おこしちゃうの」
「発作?」
「うん発作は人によって色々あるんだけど、俺は身体が痙攣を起こすんだよ痙攣がおさまったらパタンて寝る感じ、痙攣起きてる間は全く記憶がなくてさ、気づいたら倒れて母さんたちが心配してたり、救急車乗ったりしてるときあるんだ」
「薬とか飲んでるの?」
「うんずっと飲んでる」
「それってさ誰かに話してんの?」
「仲良くなった友だちには話してるよ!もし倒れたら助けてねみたいな感じで」
「おまえ強いな」
「全然強くないよ俺、小学生のころ警察官に憧れてたんだ。でもてんかん持ってるやつはそもそも試験受けれないって分かって結構凹んだ俺は受ける資格もないんだって」
「…………」
「初めて発作が起きたの小学生だったんだ休み時間に倒れて救急車で運ばれて、3日後くらいに検査結果わかってさ母さんが結果聞きに行ったんだ。帰ってきてどうだった?ってきいたら、うん…って言葉に詰まって涙目になってた。あーこれは悪い結果だって思ったし、何よりも母さんを泣かせてしまったことが辛かった。だから俺はもうこれ以上迷惑をかけたくないって思ってバイトもたくさんして金貯めて1人で暮らそうって思ってだんだけど頑張りすぎて倒れた…普通になるのまた遠くなった。」
「おまえ俺に頑張りすぎるなとか言ってたくせに他人のこと言えねーじゃん」
「うん昨日初めて山理くんと話して俺と同じだなって思ったんだ。だから、俺がずっと言って欲しかった言葉を俺は山理くに言わなきゃいけない」
「なんだよ改まって」
「病気になったのは山理くんのせいじゃない」
ドクン…
え…今のなんだ
「病気になったのは山理くんのせいじゃない。お母さんのせいでもお父さんのせいでもないんだ」
榊の言葉が頭から離れない
そんなふうに言ってもらったことなんてない
何かが溢れてきて止まらない
なんだよこれ
「おまえ…な、何言ってんだよ…やめろよ」
声が震える…俺なんでこんなに泣きそうなんだ
「山理くん?」
「見んな」
「大丈夫?」
ほんとむかつく、俺の心を見られてるみたいだ
こいつの言葉はいつも胸にささる。
「もっと…お前のこと教えろ」
「え?」
「俺も教えてやるからお前も自分のこと全部言え」
「何から話せば」
「なんでもいいから!病気のことでもクラスのことでも」
「えっと…山理くんさっきおれに鈍感とかマイペースとか言ってたじゃん。多分おれ発達障害も併発してるんだ」
「発達障害?ADHDか?」
「うん。診断はしたことないけど」
「なんでそう思うんだよ」
「思ったことがすぐ口にでたり、ボーっとしたり、距離感わからなくて良くぶつかったり、詰めが甘かったり結構当てはまるんだ。それで俺を担当してくれてる先生に聞いたんだ。俺はADHDに片足つっこんでますか?検査した方がいいですか?って」
「うん」
「そしたらてんかん発作のせいでもあるかもって、発作ってパソコンでいう熱暴走の状態だから今までに4回発作が起きてその中で記憶とかの一部の脳の機能にちょっと遅れが出てきてるのかもねーって、あと自分の持ってる気質もあるってさ」
「そうなんだ」
「なんだかなー…ってもう無理なんだって思ったんだよ、根本的には治すのはもう無理で薬は一生飲み続けなといけないんだなって、なんとなくわかってたけど現実突きつけられたよね辛かったな」
「おまえも色々あったんだな」
「うん山理くんの気持ち、俺はすごくわかるし山理くんはずっと頑張っててすごいな、俺も頑張らなくちゃって思ったんだ。けど山理くんは自分がすごいことしてるって分かってないからついムカついて、思わず嫌なこと言っちゃったごめん」
「いや、いいよ謝らなくて、本当にお前はすげーよ」
「そんなことないよ…今でも自信がない…山理くんには偉そうに言ったけどたまに俺はなにも持ってない人間なんだ早く普通にならなきゃってすごく怖くなって焦る時があるんだ」
「そっか…俺お前のこと何にも知らないけどさ努力してるのは分かるよ、さっきは怒鳴ってごめん。」
「いいんだ…次は山理くんのこと聞きたい」
「俺…俺の病気は「総肺静脈環流異常」っていうんだ、今は手術してほぼ完治はしたけど不整脈に気をつけなければいけないからさ1年に1回検査してるんだ。まぁやっぱり体力は全くない、身体への負担が大きくて全力で頑張っでも3分かなそれくらいしが続かない…すぐに心臓が苦しくなって呼吸しにくくなるんだ。でもやっぱり運動は好きだしさ、病気があるなんて言ったら負けだと思ってたから市東にしか言ってなかった。あ、市東は小学生からの幼馴染なんだけど、、でもお前の話聞いて自分から病気のこと伝えるってすげーなって思った。そういうやり方もあるんだな」
「きっとクラスメイトにも伝えれば分かってくれるよ」
「そうなのかな」
「ふっ…」
「なんだよ」
「いや…山理くんてよく笑ってるイメージなのに、こんなふうに怒ったり、泣きそうになったりするんだって思ってさ、俺に心ちょっとは開いてくれたのかなって思ったら嬉しくなった。勘違いならごめん」
「そんなことねーよ…俺自身のこと喋ったのは市東以外お前が初めてだよ、あとすぐ謝んな」
「うん、分かった。俺山理くんと友だちになりたいんだけどいいかな?」
「ぷっ…もう友だちだろ?」
「え?」
「違うのか?」
「ち…違わないけどいいの?」
「なんだそれ、お前ってやっぱり変なやつだよ」
素っ頓狂な顔しんてんなーこいつ。
「あー!お前のせいでまた1限遅刻したー!」
「え?俺のせい?!」
「そうだろ!」
「えー!だってそれは山理くんが脅すから」
「お前がなかなか喋んないからだろ」
「それはそうだったけど…!」
「冗談だよ!遅刻してでもお前のこと聞きたかったのはほんとだよ、あーどうすっかなー学校めんどくぜー」
「だめだよ!行かなきゃ」
「お前は真面目だな」
「ほら遅刻しちゃう!」
「もう遅刻してんだよ!2限からいこうぜー」
「えぇー」
➖➖➖➖
結局2限から出席することになった
今は10分休みだ
「2日連続で遅刻か?」
「うるせえ、成田!お前1限のノートかせ」
「はぁ俺なんも書いてねーよ」
「お前数学得意だろうが、教えろ」
「珍しいなお前」
「そうか?」
「いや、お前いつも淡々と授業受けてるし休んだとしても人に頼ることあんまりなかったじゃん」
成田…見てくれてたんだ、俺のこと何にも分かってないって思ってたけど俺は自分で勝手に壁を作ってたんだな
「最近授業についていけてないからお前の力をかせ!俺も化学教えてやるから!」
「えー俺化学苦手なんだけど」
「だから教えてやるって言ってんだろ?」
「じゃあ英語も教えてー」
「英語は無理」
「誰か得意な人いないの?」
得意な人…
「あ!榊は?」
「榊?1組の?俺喋ったことないんだけど」
「あいつに聞いてくる!」
「おい!」
「榊〜」
「あれ?どうしたの山理くん」
「お前さ英語得意?」
「点数はいい方だと思う」
「じゃあ俺と成田に教えろ」
「え?それはいいけど」
「あとお前苦手な科目あんの?」
「あとは…国語かな、古典とか漢文が苦手」
「うーん、俺も教えられる程じゃないな…あ!市東がいんじゃん!あいつ国語得意だったはず!」
「勇利って山理くんと仲良いの?」
榊と一緒にいた友だちが話しかけた。そりゃびっくりするかていうか榊の名前って勇利って言うんだ。
「うん!友だちだよ」
榊…
「俺の友だちの新井瑠衣!」
「どうも新井です」
「どうも…」
新井って顔いいし女子から人気なのに1人で結構いるイメージだけど榊とは仲良いのか?
榊…俺のことはまだ"くん"づけなのに、新井に対してすげーフランクだな…なんかモヤっとするどういう関係?
「山理くんは得意な科目は何?」
「一応化学だな」
「化学だったら瑠衣も得意だよね!!」
「うん、得意ない方かな」
「……そう」
なんかイラつく、仲良いのはわかるけど
「あ、もしかして山理くん勉強会誘ってる?」
「おう…その成田が数学が得意だから教えてもらうんだけどその代わりに俺が化学を教える話になってさ、成田に英語も教えろって言われたんだけど俺英語得意じゃないし、お前なら得意かなって思って」
「そうなんだ!なんか楽しそうだね」
「一緒にやならい?」
なんでこんなに誘うの緊張してんだ?
「山理くん俺もいい?」
「え、まぁいいけど、成田に聞いてみる、あと市東にも聞かないと世界史得意なやついるかな?」
「勇利は世界史も得意だろ?」
「瑠衣も得意じゃん」
「勇利ほどじゃないよ」
名前呼びにいちいち反応してしまう、いつからそんなに仲良しなんだよ
「じゃあそういうことで、後で連絡する」
➖➖➖
「成田、榊が英語と世界史教えてくれるって」
「え!まじ?」
「榊は古典とか漢文苦手っていうから市東に教えてもらおうと思ってるんだけど誘っていいか?」
「俺は別にいいよ」
「あと新井も来るって」
「え!?新井くん?」
「おう、なんでそんなにびっくりしてんだよ」
「だって新井くんいつも本読んでるしさ、女子の熱い視線うざそうにしてるじゃん、割と1人なイメージだしそんな人がなんで参加してくれるの?」
「なんか、榊と仲いいみたい、榊が参加するなら俺もって」
「へー!意外だな、ていうかお前そんなやつだったけ?」
「え?」
「いつも俺から誘ってお前が参加するみたいな流れじゃん。今回はすげー率先してやってるし、というか榊と友だちだったの?」
榊と関わってまだ2日たってないのに俺はこんなに変われてるのか…
「まぁ最近仲良くなった」
「そっかお前人に興味なさそうだったのに、なんか新鮮だな」
「成田…」
成田ごめん。成田は素直なだけなんだよな。どうせ成田にはわからないだろって思ってた、勝手に勘違いしてごめん。成田も気を遣ってくれてたのかな…俺は自分のことしか考えてこなかったんだ
「あのさ、後でいいか…?話したいことあるんだ」
「どうした?昼休みでいいか?」
「うん…晴れてるし園庭でお昼食べよう」
「いいな!それ」
ちょうど10分休みが終わる、
「うわー始まる!やだなー」
「先生来るぞ!席に着いとけよ」
「はぁー」
だるそうにしてる成田を見送り俺は席についた。
➖➖➖➖
昼休み俺と成田は園庭にあるベンチでお昼を食べた。
「どうした?話ってなに?」
「うん…あのさ」
榊ならフランクに言えるんだろうな、俺は榊じゃないし成田がどういう反応をするのか怖い
「俺…産まれてすぐに心臓の手術したんだ、手術は成功したんだけど、そのせいで体力なくて持久走とか結構苦しくてさ呼吸整えるのにも時間かかるんだ…だからもし持久走で俺が呼吸乱れてたら、ちょっと助けてほしいんだ」
「え?そうだったの?」
「うん…言ったら気を遣わせるかなって思って言えなかったんだけど、さか…別の友だちに自分のことを話すのも一つの方法って教えられたんだ。だから成田に言おうと思って…」
怖い…なんて反応するんだろう
「山理俺最低だな…お前のこと知らずに体力ねーなとか馬鹿にしてたよな、ほんとにごめん…俺すげー反省してる…ずっと苦しかったよな馬鹿にして今までごめん。」
「成田…俺こそごめん。俺は普通になりたいって思ってたから言わなければ普通に溶け込めるかなって思ってたんだけど…」
「お前馬鹿だなー!友だちだろ?そんなんで俺が引くかよ!」
「そうだよな…勇気が出なくてさ」
「お前すげー頑張ってんな」
「え?」
「誰にも言わずに1人で頑張ってきたんだな、今度は俺に頼れ!肩かしてやる」
榊にも市東にも言われた、頑張り屋だって、俺はこのくらい普通の人ならやると思ってた
やばい泣きそう…
「…成田ほんとにごめん…」
「泣くなよ」
「いや…俺普通になろうってずっとやってきてさこれくらいやるのは普通の人なら当たり前のことだと思ってたし、まさかそんなこと言ってくれるなんて思ってなくて…」
「お前は偉いよ、すげーよ」
「うん…ちょっと心軽くなった」
「持久走見学でもいいんじゃないか?」
「……いいのかな」
「いいだろ別に!」
「何か言われないかな」
「俺がフォローしてやるよ!」
「お前絶対下手くそだから無理」
「はぁ!俺だってやる時はやるし!」
「じゃあどうフォローすんだよ」
「足怪我したんだって〜っ的なこと言う」
「まぁそれは採用してやる…」
「上からだな!」
「うるせぇ!」
「あ!だからお前短距離選んだのか!」
「うん」
「短距離ならすぐに終わるしお前脚速いしな!」
「うん、俺はやっぱり走るのが好きだ」
「もう抱え込むなよ、俺もいるし、市東だっているしさ、あと最近お前が仲良くなった榊だっていんだろ?まぁ新井くんはよく知らんが…」
「そうだなありがとう」
これも榊のおかげだ
勉強会は市東も誘って
テストに向けて自習室でみっちりやることにした。
まずは数学から
「だーかーらー!公式使えよ!」
「それがわかんねぇんだよ!」
「成田、山理お前らうるさい」
「なんか市東くんの方が先生みたいだね」
「だろ?榊くんも先生っぽいけどな」
「そうかな」
「勇利、ここ間違ってんぞ、多分どこかで計算間違えてる」
「え?あれ?ほんとだ!答えと違う…!」
「成田くん勇利困ってる」
「はいはーい!いきまーす!」
「お前…!」
成田めこの前までは新井くん怖いとか喋れるかなとか不安がってたのに懐きやがって…というかなんで新井は榊の隣をずっとキープしてるんだよ…なんか腹立つ
「そうそう…これ分かりにくいよね!指数と対数は同じ意味なんだけど、書き方が違うだけでからさこれ抑えればいけるよ!指数だと8=2を3乗したものって表現なんだけど対数は2を何乗したら8になるのかって感じ」
「あーすごい!分かりやすい!」
「でしょ!」
「成田俺にももっと丁寧に説明しろ」
「お前が榊みたいに理解力がないからいけない」
【英語】
「成田くんはリスニング得意?」
「めっちゃにがて…何言ってるのかわからなくてフリーズする」
「でもリスニングは諦めない方がいいよ!1番点数高いから!」
「はい…」
「リスニングは全部聞き取ろうとはしなくていいんだけどやっぱり単語の発音を聞き取らないとなんて言ったかわからないから、単語帳をみて発音を覚えた方が絶対いい!単語の発音も意識して暗記しよう」
「わかりました!ありがとうございます!」
こいつ調子いいな…
「榊くん…助けて…」
「市東くん文法はあってるから大丈夫だよ、現在進行形は確実な未来のことを表すから、不確かな事項に関しては使わないよ」
「わかりやすすぎる…」
「山理くんは大丈夫?」
「おう!今んところな、榊の教えかたうまいからさ!コツ掴めてきた!ありがとな!」
「そっそうかな…嬉しいな」
榊がいてよかった心からそう思う
「勇利…俺まだ理解しきれてないから教えて」
「いいよ、あ!そこまた間違えてる!この前いったのに!」
「忘れた」
新井って榊を独り占めしようとしてんのか?
なんでこんなにイライラしてんだ俺
【国語】
「榊くん大丈夫?」
「漢文苦手すぎて…」
「大丈夫だよ!ルールさえわかれば意外と簡単」
「そうかな?」
「返点とか苦手?」
「うん、ちょっと」
「プリントの解説見ながらやろうこっちの方が絶対わかりやすい」
「………あ!分かってきた!」
「榊くん理解力はあるから分かっちゃえば簡単だよ」
「市東!お前俺たちにも優しくしろよ」
「お前らは反発するだろ、新井くんや榊くんみたいに大人になれ」
【化学】
「新井くん化学反応式を教えて…ちょっとわからない」
「どう言うところがとか説明できそう?」
「なんでこの答えになるのかがよくわかってない」
「イオンからかる物質の化学式は理解できそう?」
「なんとなく…」
「酸化還元反応を先に目を通してからもう一度この問題を解いたほうがいいかも、成田くんなら大丈夫だよ、飲み込み早いし」
「え!まじ!嬉しい!頑張る」
成田なつきすぎだろ
「山理くん…ちょっとわかんない…」
「ん?多分榊は基礎が固まってないからさ苦手意識が強いんだよ、基礎からもう一度始めよう」
「うん…ごめんね」
「謝るなよ、今日みたいに苦手なことはカバーしていけばいいだろ?お前の英語の知識すげーじゃん、化学は俺に頼れ!なっ?大丈夫だから」
「うん…テストまで間に合うかな?」
「大丈夫だよ、分かんなかったらいつでも俺のとこに来い」
「うん、ありがとう山理くんは本当に優しいね」
ドキッ…
俺今あいつの笑顔を見れて嬉しいって思った…俺どうしたんた?
「そうか?」
「うん、困ってる人は見捨てないでしょ」
榊に褒めらると心臓が速くなる…なんだこれ
「恥ずかしいだろ…ほら勉強するぞ」
こうやって話せるの嬉しいな…ただ気がかりなのは俺が榊と話しているときにすげー新井の視線を感じる。 多分…あいつは榊のこと好きなんだろうな…
そのことを考えると俺もチクっと胸が痛んだ
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世界史
「古代文明とかローマとかキリスト教とかすぐ分からなくなるんだよな」
「瑠衣、大丈夫だよプリント見れば流れは掴めるよ」
「プリントなんかあったか?」
「あれ市東くん知らないの?世界史の浅田先生って配ったプリントから必ず出すんだよ」
「え!そうなの?!」
「うん、前に瑠衣が先輩から聞いたんだって」
「まじ!?じゃあ丸暗記すればいける!」
「お前馬鹿か?今回範囲広いんだから全部なんか暗記できるわけないだろ」
「成田に馬鹿と言われた…」
「ポイントだけ抑えれば大丈夫だよ!がんばれ!」
「はい…」
「山理…世界史得意?」
「え?あんまり…普通かな?75点取れればいい方」
急にどうしたんだよ新井から話しかけられるとかびっくりなんだけど
「すげーな」
「ありがとう」
き、気まずい
「勇利…」
「ん?何」
「これ答え合ってるか教えて」
榊…嬉しそうだな
新井ってどういうやつなんだろう
榊は何を思ってるんだろう
俺モヤモヤしてる、あんなに笑うと勇利を見たくない
俺…今榊じゃなくて勇利って心の中で呼んでた
新井が勇利とかいうのなんかヤダ、俺も勇利って呼びたい
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「はー!とりあえず終わったー!」
「なんかテスト行けそうな気がしてきたな!」
「うん!あのさ俺楽しかった、またやりたいな…」
「別に勉強以外でも遊べばいいだろ」
「ほっほんと?嬉しいなぁ!」
成田さすがだな、そういう誰でも受け入れてしまうところって才能だよ
「俺も楽しかったよ、勇利だけじゃなくて山理たちとも話せて」
「お…おう新井も楽しんでくれてよかったよ」
え?急になに?
「山理…色々ありがとな、遅くなるし帰るか」
「だな…今度バーベキューでもするか?市東んちで」
「いいの!?」
「おい!山理から言い出したくせになんで俺んちなんだよ!」
「だって学校から近いじゃん」
「そうだけどさー!急すぎるだろ」
「じゃあ8月な!」
「おい!成田!お前!」
「幹事は山理がやりゃーいいじゃん」
「あ、それもそうだなおい言い出しっぺやれよ」
「はいはい、榊、新井、連絡先交換してもいいか」
「いいよ」
「うん」
「じゃあまた連絡するわ俺と榊以外はみんな同じ方向なんだな」
「おうお前らも気をつけて帰れよ」
「じゃーな」
「勇利、山理またな」
「また明日!バイバイ」
***
「あのさ、榊、俺成田に言ったんだ、俺の身体のこと」
「え!そうなのどうだった?」
「謝ってくれた。でもさ俺のこと本当はすげーよく見ててくれてたんだ、俺が勝手に壁作ってた。知ろうとしてなかったんだよなあいつのこと、成田はもう1人で抱え込むなって言ってくれたんだ」
「そっかよかったね」
「うん、お前のおかげだよありがとうな」
「そんなことないよ」
2人で駅まで歩いた道はいつもより短くかんじた。
「早く電車こねーかな」
「流石に疲れたよねー」
「そうだな…榊、俺病気になったのは俺のせいじゃないって言ってくれてすげー嬉しかったんだ」
「大袈裟だよ」
「いや正直ほぼ泣いてた」
「それは知ってるよ」
「だからさ、俺も言うわ」
「え?」
「病気になったのは勇利のせいじゃない」
「え…」
「お前のお父さんのせいでもお母さんのせいでもない」
「山理くん…」
「れんでいい」
「え」
「れんってよべ。もう俺たちの前では頑張るな、今日のお前すげー楽しそうだった。それでいいんだよ、俺の前では本当の勇利でいろ」
「れ…れんくん」
「なに」
「俺ずっと誰かにいって欲しかった…自分自身にいってあげられなかった…から…」
「泣くなよバカ」
「だって…れんくんが…」
「うん…弱音もっと吐けよ」
「俺の心の中にはきっと小学生の自分がいるんだ。救ってあげられなかった母さんを悲しませてしまったあの日の俺がずっといるんだ…でもれんくんの今の言葉があの日の俺を救ってくれた気がする…ごめん意味わかないね」
「みんなそうだよ、あの時救ってあげられなかった小さい頃の自分が心に棲みついてるんだ。気づかないうちに拗らせてどんどん重りを自分から増やしてしまってるんだ。勇利にそんな思いはもうさせない。お前の心が折れたら何度でも救ってやる。だからもう泣くな」
「れんくん、ありがとう」
「ほらもう電車来たぞ泣きやめ」
「うん…」
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
「これからも一緒に通学しない?」
「いいの?」
「勇利がいいなら」
「嬉しいな」
勇利の笑顔に心が踊る、勇利ってほんとに…
あれ、俺今何を考えてた?
「なぁ勇利」
「ん?」
「お前さ好きな人とかいるの?」
俺何言ってんだ…でも気になってしょうがない
「え…何急に」
「いやいんのかなって」
「分からない」
「は?」
「まだわからない…あ、やばいもう駅着いたから降りる!じゃあね!」
「おっおう」
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はぁ…はぁ…はぁ…
ひたすら走る、もう走るしかない
目の前が見えない、涙が止まらない
どうしよう
『もう泣くな』
『俺に頼れ』
『勇利にそんな思いはもうさせない』
『俺の前では本当の勇利でいろ』
『勇利』
れんくんのひとつひとつの言葉が表情が頭から離れない
ごめん…ごめん瑠衣…
おれも好きになっちゃった…




