おおおお おお おおおお
日曜日 12時45分 ちょいすぎ 新宿 Day1
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視点変更 斎藤
悪いことは重なるもので 一度起きたら
まるでドミノのように連続で起きる物なのかもしれない
でもね でもねーーー タケシ あんた 出張んなよ!
もーーー 嫌ーーー!!
恭しく 籠に入ったワインが会長の元に持っていかれる
会長が軽くワインラベルを 一瞥した後 ソムリエに対して頷く
高いワインなのは分かる
あーん これが上流階級 ブルジョワの世界
他のテーブルとは多分 違うワインなんだろう
それが飲めちゃうなんて このテーブルで良かった と 甘い考えを持っていた
ソムリエがコルクを抜き取り
恭しく注がれる まるで飲むルビーのような赤い液体
にこやかなソムリエに対し
テイスティングをした会長
軽く口に含んだ後、おもむろに 一口飲んで
グラスの水を口に含んで水を口の中でぐるぐる回してから飲んでいる
それをじっと見ているタケシ
スマイルを保ちながら軽くお辞儀をして
ソムリエがグラスにワインを注ごうとした時
それは突然やってきた
タケシ :「私にもテイスティングをさせてもらえないでしょうか?」
まったく予想していなかった言葉が
まったく予想していなかった人物から発せられた為 ソムリエがパニくる
ソムリエ:「え? あの テイスティングは今 会長が。。。」
タケシ :「私にもテイスティングをさせてもらえないでしょうか?」
まったく同じ言葉を繰り返す
全員 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
気まずい沈黙が流れた後 ソムリエが根負けした
タケシのグラスに少量のワインを注ぎ始める
そしたら タケシはテーブルの上でワイングラスを軽く ぐるぐるし始める
そして 一向にテイスティングをする気配がない
会長 :「あなた ワイン わかるの?」
タケシ :「蒸留酒が専門でワインは得意じゃないです
もう少しワインの知識があれば私の人生にも
彩が追加されたんでしょうが」
。。。。。。ちょっとーーーー
カッコよく言ってても それワイン知らないって事じゃない。。。
てかワインの知識 漫画で得たとか こいつ車の中で言ってたような
***30秒後***
ひたすらタケシがグラスを ぐるぐる している
ソムリエが他のグラスにワインをつごうとしたら
タケシ :「私はまだテイスティングを終わらせていませんよ」
。。。ちょっと タケシ! なに邪魔してんのよ!
流石に異変に気付いたのか フロアチーフが そそそっと近づいてくる
あと隣のテーブルの年配のソムリエがやってくる
黒服FC :「どうしました?」
ソムリエ:「こちらの方が 会長がテイスティングをした後
自分もテイスティングをしたいと名乗り出て」
ひたすらグラスを ぐるぐる しているタケシ
ただし 一向に飲もうとしない
ソムリエ:「あのー ワインを注いでもいいんですよね?」
タケシ :「私はまだテイスティングを終わらせていませんよ」
ワイン長:「あの お客様、テーブルオ」 それを遮って
タケシ :「テーブルオナーがテイスティングしたから何だというのです?」
全員 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
。。。みんな ぎょっとしている
え? テーブルオナーって会長の事よね?
え? 何が起きてるの? てか あんたさっきから堂々としすぎ
流石にこれにはどうしようもできず 年配ソムリエがフロアチーフを見る
が フロアチーフは手でそのままの合図
そしたら タケシが こっちを見て ニコッ
タケシ :「斎藤さん
あなたをしっかりエスコートしてますので安心してください」
。。。。。ちょ!!! 私の為とか言い出すなーー!!!!!
え!? 何!? 本当にやめてほしいんだけど!! なんなのよ!!
タケシ :「本来の手順なら
ソムリエがテーブルオナーにテイスティングを勧める
そのあと お願いします や
これでいいです などの言葉が発せられる
が それがなかった」 そういいながらソムリエの方を見る
ソムリエ:「。。。。。。。。。。。。。。。。。」
タケシ :「と するならば
考えられるのは ワインの味が悪かったか
器官に入ったのを我慢したお茶目さんか
還元臭が取り除かれてなかったか
プショネか
私はワインが得意ではありません
だから 還元臭かプショネか見分けがつかないんです
ので こうやって ぐるぐる やるしか無いのです」
斎藤 :「え? ぐるぐる すると分かるのですか?」
タケシ :「だいたい2~3分で還元臭は取れると言われています
そろそろですかね?
本来ならプロであるソムリエが
コルクの香りで判断すべきであるんでしょうが」
そして香りをかいだタケシが
タケシ :「墨汁の匂いがします 雉のはらわたの香りとは別です」
そして おもむろに 一口飲んで
タケシ :「替えてもらえますか?」 とグラスをソムリエに突き出す
ソムリエがグラスを受け取った後
水を口で回してから飲み込んでいる。。。さっき会長がした動作
そして 渡されたグラスの香りをかいだ ソムリエが
ソムリエ:「ぞうk」 といったのを遮って
タケシ :「食事をしている者がいる前で
食欲が失せるような言葉の発言は控えて頂きたいのですが」
。。。ぞうきん って言おうとした???
会長とフロアチーフが凄い目つきでソムリエを睨んでる
ソムリエ:「すいません いま直ぐ替わりをお持ちします」
タケシ :「出来れば冷たい白ワインでお願いします」
ソムリエ:「え?」
タケシ :「妙子さんと私は既に 一口飲んでしまいました
。。。。できれば違う色に変えてもらいたい」
そう言われて会長の方をみる年配ソムリエ
ちょいちょいと手をやる会長 なにやら ヒソヒソ伝えている
ワイン長:「今すぐ替わりをお持ちいたします」
そういいながら早歩きの年配ソムリエ 後を追う若いソムリエ
斎藤 :「あのー プショネっていうのは」
タケシ :「いわゆる ハズレです 10本に1本ぐらいかなー」
斎藤 :「結構 多いですね」
タケシ :「まー 最近はコルクの替わりを使用しているので
減ってきてるらしいですが
知り合いに3連続引き当てた人がいましてね
運がいいのか悪いのか」
会長 :「3連続はキツイわね」
タケシ :「ですよね? 本当に泣いたっていってましたし」
斎藤 :「あのー 一口飲んでましたけど飲んでも大丈夫なんですか」
タケシ :「死にはしないですし 問題は無いといえばないですね
プショネのワイン 料理とかに普通に使えますし
飲もうと思えば飲めなくもない」
斎藤 :「だったら」
タケシ :「でも 斎藤さん
この後 斎藤さんが交通事故にあって
走馬灯の思いが 墨汁の香りのワインだったら?」
。。。。え? そんな大層な話なの?
タケシ :「欧米の場合ですけど チップをあげる習慣があるんです
一通りできて満足できたら15%ですか
料理の注文を受け取り 配膳を行い 食べ終わったお皿を下げる
それらの行動に対しての ありがとうの対価です
しかも 料理の味はウェイトレス ウェイター
コントロールできないですよね?
なのに頑張ってもチップを下げられてしまう場合がある
それらと違い ソムリエの場合は
ワインの説明をして ワインを開け、ワインを注ぐだけで
ほんの数分の時間で 遥かに多くのチップを手に入れる
理由はソムリエの知識という貴重な物に お金を払っているからです
言い換えれば、ソムリエは飲み物に対して
全責任を負わなければならない。。。
少なくとも私はそれがプロだと思うのですが」
黒服FC :「おっしゃる通りです」
会長 :「いいワインを持ってきて
それで終わり と思うなんて本当に弛んでるわね!」
。。。うわーーー 会長 怒ってる
***数分後***
籠に入れられたワインが会長の前に持ってこられる
会長 :「彼にも見せてあげて」
そう言われ ソムリエが 籠をタケシの前に持ってくる
ラベルはボロボロで NTRAC としか読めない
タケシ :「また随分 難しい物を持ってきましたね?」
斎藤 :「難しいんですか?」
タケシ :「はい 開けるのは難しいでしょうね?
このコルクの状態だと」
。。。。え? コルクの話?
タケシ :「MONTRACHET で モンラッシュ
ロマネコンティと言った方が
斎藤さんには馴染みあるんじゃないですか」
。。。。ロマネコンティって知ってる!!
ちょ―――――高いお酒!!
会長 :「あなた 実は ワインに詳しいんじゃない?」
タケシ :「本当に基本のみです
蒸留酒の方が詳しいです。。。でもこれを開けられるのか
さすがにプロですね」
私がソムリエの方をみると。。。。。。。あ これ ダメな奴だ!
若いソムリエと年配ソムリエ 汗たらたら
会長 :「あなたが招いた事態だから あなたが対応してくれるのよね?」
と 若いソムリエに言い放つ 会長
目が すんごく怖いんですけど。。。
これダメな奴だ
てか なんでこんなに怖いのよ この会食!
タケシ :「斎藤さん 良かったですね?
素敵なショーが観れるかもしれませんよ」
。。。。。。ちょっと 何 達観してるのよ
あんたの せいでもあるんでしょ?
だいたい会長のねちねち小言がショーとでも言うの?
そしたら次のタケシの 一言で違う方向に向かう
タケシ :「ポートトングなんてめったに見られないですし」
そしたら そこに光を見出した年配ソムリエが
ワイン長:「今すぐ用意します!」 といったが 会長が
会長 :「プロだったら普通に開けられるでしょ?」
ソムリエと年配ソムリエが参っている
タケシ :「出来ない事を出来ないというのは大人の基本ですよ?」
。。。。これ タケシ 助け船だしてるっぽい
そのあと 色々やり取りがあった末 ソムリエたちは早歩きで消えていった
タケシ :「斎藤さんは 鉄板焼きって知ってますか?」
斎藤 :「知ってますよそのぐらい」
タケシ :「海外のですけど」
斎藤 :「え? 海外の鉄板焼き?」
タケシ :「リズミカルに鉄板を叩いて調理する奴です」
斎藤 :「あ! なんか映画で見た事あるかも」
会長 :「あんなの美味しくないわよ ぜんぜん だってショーじゃない」
タケシ :「妙子さんの言う通りです
味は余り良くありません
ただ人は ショーを見に行くためにオーダーするんです」
斎藤 :「ショーですか?」
タケシ :「ショーです
しかもピンキリです チェーン店よりも個人経営の方が
当たりが多いと思います
例えばウカイという店があったんですけど
まー 日本語 間違がってますね」
斎藤 :「ウカイですか?」
タケシ :「UKAI と書いてあるんですよ
でも愉快と書きたかったんですよね? 見事に間違えてます
Uをそのまま読んだら誘拐 人さらいになっちゃいますし
でもそんな店でも予約はなかなかとるのが難しい
何故なら本気で練習しているからです
上に投げた卵が指先をクッションに腕を転がり落ち
首の後ろを転がり
反対側の腕を転がって鉄板に落ちる時にへらを下から上に
そうすると卵の中身だけ鉄板に落ち
殻はコック帽の上に飛んだりとか
エビを数匹 お手玉みたいに空中で操り
尻尾だけコック帽の上の窪みに みたいな
マジックショーを見てる感じですか
あれほどの派手さはないでしょうが
同じような小さなショー
それを これから見られると思います」
そのような話をしていると カートが運ばれてくる
ワイン長:「じゃあ 始めさせていただきます」
会長 :「はじめて頂戴 あなたがね」
そう 若いソムリエにお願いする会長
そう言われてしまうと 手が出せなくなる年配ソムリエ
やり方が解らなく おどおど する若いソムリエ
。。。周りを見ると我 関せずの黒崎さん
私と同じように困惑している川崎さん
堂々としているフロアチーフとタケシ
。。。ちょっと タケシ あんたが何とかしなさいよ。。。
そういうふうにタケシを見ていたら
ニコッとしてからタケシが私に話 始める
タケシ :「斎藤さん 見ててください
火を使うので危ないので 全ての動作はゆっくり行われます
まず トングの下にバーナーをセットしてONにします」
その声と共に若いソムリエが動きだす
タケシ :「バーナーで炙っている間に
デキャンテにファネルをセットします
ただ ガラスや異物の混入を避ける為
ファネルにはメタル製のフィルターと
布のフィルターもセットします
次にトングが温まるまで まだ時間があるので
その間にワインの上側を綺麗にします これは布で行います」
若いソムリエがタケシの言葉通り布でワインの上の部分を拭いている
タケシ :「さて そろそろトングが あったまって来ましたね
まずバーナーをオフにします
そして トングでワインのコルクの下
数センチを5秒間 押さえます
トングは危ないので氷水へ」
そしてソムリエが言われた通り行動
じゅーーーーと音がする
タケシ :「温めた部分をブラシで軽く拭いてやります
布を持って 上方向の引っ張りながら倒してやると
ビンの上が綺麗に取れます」
言われた通りの行動で見事にワインの上の部分が取れる
思わず喜び顔の若いソムリエ
そして ワインをファネルに注ごうとするが タケシは続ける
タケシ :「ガイダンス を付けます」
ソムリエが止まる
。。。。。私が助け船を出す
斎藤 :「タケシさん
がいだんす って何ですか?」
タケシ :「フィルターが入ってた引き出しにある アルミ色の奴です
斜めに丸めた物をワインの口の部分に
入れてやると注ぎやすくなります」
そう言われてからガイダンスとやらを取り付け
ワインをファネルに注ぎ込む
デキャンタにワインが入って行く
。。。。あ いま 喉ごくっとした ソムリエさんも飲みたいんだ
そしたら タケシが
タケシ :「あなたが開けたワインです
責任を持ってテイスティングしてください」
その 一言でソムリエさんが救われたように見えた。。。
のだが じっと目を細めてタケシの事を会長は見ている
ソムリエがテイスティングをし 目を見開いていた後
それぞれのグラスにワインを注ぐ
これ、飲んでいいのよね? そう思っていたら
タケシがニコッとしてくるが かすかに首を動かしている
え? 飲んじゃダメなの?
全員のグラスにワインが注がれた後
タケシがグラスを持って腕を伸ばす
川崎さんと黒崎さんも同じように腕を伸ばす
見様見真似で私もそれをする
そしたら会長が
会長 :「乾杯」
黒崎 :「サルー」
川崎 :「サンテ」
斎藤 :「乾杯」
タケシ :「チアーズ」
皆 それぞれ言い方が違う
グラスはクリスタルだから 乾杯時 こつんとしちゃダメなのよね
それぐらいは青山で習った
そしてタケシ以外が皆 一口飲む
うわーーーー!!!!!
ジュースを飲んでるかように すっと口の中に入ったと思いきや
少し遅れてから複雑だけど様々な香りがオーケストラの様にやってくる
そして余韻が とてつもなく長い
横を見たらタケシも飲んでいる。。。
タケシ :「クラスがある」と呟く
それを目を細めながら聞いた会長はとても満足そうであった。。。
ただ この時、私は満足げな笑みの理由が
ワインの誉め言葉でなかった事など予想できなかった
そして会長が薄ら笑いを浮かべる事になる
リファレンス ネタ元 雑記 補足 隙あらば自分語り 必要ない裏技 etc
とわるワインの漫画では
腹違いのにーちゃんとその母親はかならず
おおおおお おお といいます まーどーでもいいんですけど
ミスをするから人間
でも 怖い人の前で緊張で普段何べんも練習している動作を忘れるって
仕方のない事なんですよね こんかいは新人のソムリエさんですけど
とある 名の知れたレストランで
注文 配膳 飲み物やパンのお替り バッシング(片づけ)
それらを全て行って 味が悪ければ下げられてしまう
ウェイターウェイトレスが$15のチップなのに対して
平気で数分で$80とかのチップをソムリエは貰えるんですよ
それなのにプショネ出された日にはカチンとくるものがあるらしいです
海外だと当たり前の光景、 プショネに当たり交換をお願いする
日本のレストランで見たことないんですよね 確率5%~10%あるのに
分からなく飲んでいるのか
それとも店があらかじめプショネでも変更できませんといっているのか
まー 店としても毎回 交換してたら赤字になってしまう
ってのもあるのでわからなくはないのですが
ただ、数万円のワインを頼んで
交換してくれ! とあなたは発言できますか?
私は出来ません 私はチキンです
だから私は飲み物を頼む時
必ずプショネに当たらない魔法の言葉を使います
すいません コーラ 下さい