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深水十六夜
「いらっしゃいませ、深水さん。昨日は楽しかったです。ありがとうございました」
「こっちこそ楽しかったよ。また遊びに行こうね」
俺はなるちゃんを見上げて微笑んだ。
「はいっ、楽しみにしています。で、今日も紅茶ですよね」
「ああ、ミルク無しのね」
「かしこまりました。少々お待ちください」
可愛いな...なるちゃんが俺の彼女だなんて自慢だよな。と思いながら後ろ姿を見つめていた。
「へぇあの子か...兄貴の彼女さんは」
いきなり目の前で声がしてびっくりした。
「十六夜!?何でお前がここに」
「ここに来れば兄貴の彼女に会えるって哲希さんから聞いて」
十六夜はテーブルに頬杖をついて微笑んだ。
「哲希のやつ...十六夜を使って言わせようって魂胆か?」
哲希の名前を聞いて俺は顔を歪ませた。
「趣味のこと?俺はちゃんと捨てといたよ」
「ここで余計なことを言うな!」
「分かってるって。萌えキャラよりずっとか可愛い彼女を見に来ただけじゃないか。そう怖い顔をするなよ、兄貴」
「その笑顔が信用出来ないんだ!」