最初で最後の恋人
1.プロローグ
...ずっと後悔している、君に何もしてやれなかったことを。
君は俺と一緒にいて幸せだった?俺たちの出会いは間違っていなかった?
『咲夜さんの奥さんらしいことをしてあげられなくてごめんなさい』
最期まで君は俺に謝っていた..謝らなきゃいけないことは俺の方がたくさんあったのに。
でも俺は君と一緒にいた3年間...とても幸せだったよ。
その幸せを今でも引きずってるから俺は今まで他の女の子に優しい言葉をかけてあげることはあっても好きになることはなかった。
俺には君の忘れ形見、羅朱がいたからってのもあるけど。
俺は今でも君のことだけ考えている...これから先もずっと。
2.出会い October
「お待たせしました」
俺、深水咲夜と月島なるちゃんとの出会いは
大学帰りによく寄る近所の喫茶店だった。
俺は雑誌からテーブルのカップに視線を移してドキッとした。そして彼女が去って行く前に慌てて口を開いた。
「すいません...俺が注文したものと違うんだけど」
「ご、ごめんなさい。すぐに取り替えます」
俺に違うと言われ、彼女はびっくりしたのか置いたカップを慌ててトレーに戻そうとした、が手が震えていたのかカップとソーサーが目の前でカチャカチャ鳴った。
俺はここの喫茶店にほぼ毎日通ってるけどその彼女を見るのは初めてだった。
「もしかして今日からバイトを始めたの?だったら注文を聞き間違えるのは仕方ないよね。いいよ、今日はこれを飲むから」
俺の声がうわずっていたのを彼女は気づかなかったんだろうか?
「気を遣ってもらってすみません」
彼女はホッとした顔をして俺に向かって深く頭を下げた。
「いえいえ、気にしないで」
俺は彼女に向かって両手を横に振って微笑み返した。
「ありがとうございます」
彼女はもう一度俺に頭を下げて戻っていった。
そして俺は、彼女が間違えて持ってきた飲み物をじっと見つめた。
俺はレモンティーを注文したのに何でミルクティーを持って来るかな?実は俺は牛乳が苦手で...もちろんミルクティーも飲めないのに、と思いながら固まっていた。