ロード・イージーストリートのコレクション
アメリカ東海岸の海岸沿いにある謎の屋敷。周辺住民から訝しげな視線を向けられる屋敷はロード・イージーストリートなる人物の所有する別荘だった。ロード・イージーストリートはしばしこの別荘に滞在しパーティなどをして過ごすのだ。
「ロード・イージーストリート……この屋敷から見る夕陽はいつ見ても美しい」
「そうだろう……理想の別荘を求めてたどり着いた土地がここなんだ。僕の理想の箱庭さ」
嫌味なく別荘を自慢するロード・イージーストリートを見てコスギは思わず苦笑いした。
「まぁ、そんなお世辞よりミスター・コスギ……君の要件はわかっている。ミスター・コスギはあれを見たいのだろう?」
お見通しか、とコスギは思った。
「えぇ……ロード・イージーストリート、あなたの屋敷の地下に眠っている膨大なコレクションを見たいのです」
「いいだろう……ついてくるがいい」
そう言って二人は屋敷の地下へ向かった。
◆◆◆◆◆
薄暗い広い部屋の中、ショーケースが縦横無尽に広がっていた。
「ミスター・コスギ、ここが例の展示室だよ。電灯のスイッチを押したまえ」
コスギはイージーストリートの言葉に導かれるように電灯のスイッチを押した。
「ワオ……」
コスギは思わず息を呑んだ。
そこにはショーケース一杯のヒーローグッズが展示されていたのだ!
「驚いたかい……これらを集めるのにどれだけの時間を費やしたか」
「ロード・イージーストリート……私は今とても感激しています」
コスギは声を絞り出すように言った。
「僕の理想の箱庭を追求するうえで地下室は必要だった……さながら僕専用の秘密基地さ」
「秘密……基地」
「この秘密基地めいたコレクションルームを作ることによって僕の箱庭はより完璧になったのだよ……その意味がわかるかい?」
コスギはロード・イージーストリートの言葉を心の中で反芻し続けた。そして、秘密基地が自分もほしいと思ったのであった。