表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/67

生きる意味

62章



「貴様、あいつらに何をした」


創神は天上へ戻る途中のゴッズを見つけてその行く手を阻んだ。


こいつが何もせずに帰るとは思えない。


そう考えたのだ。


それにゴッズは


「え~何も〜?」としらを切る。


その態度で押し切るつもりか。なら早めに叩いておく!


創神は「1」を使用。


異形の腕で剣を持ち、こいつの息の根を止めることをイメージしてゴッズに剣を振る。


しかし


ゴッズは剣を片手で止めてあくびをした。


「そんな貧弱なイメージで私に勝てるとでも?」


とゴッズは言う。


ゴッズと1を発動した創神の階級は等しく神。


お互いの神の能力に干渉できる。


イメージの力はその思念が強いほど力として強くなる。


つまり相手のイメージを上回るイメージならば打ち消すことが出来るのだ。


「あなたが天上で2番目だったのは私が最強だから。勝つことが出来ると思っているの?」


ゴッズの言う通りだ。


私が2番目なのはゴッズの力が異常だったから。


逆立ちしても勝てない。


「でもね」


創神は言う。


「勝てる可能性があるから戦ってるんだ!」


と叫んで剣を振るう。


ゴッズはめんどくさそうに顔をしかめた。


そして


「幽美!」とゴッズが言う。


その言葉で感じた気配に創神は動きを止めた。


そしてその創神のいる場所に向かって地上から無数の槍が放たれる。


そのスピードは以上で雷とほとんど同速だった。


普段ならそれを避けることが出来たが仲間の名前を口に出され動揺している創神には避けることが出来ず、無数の矢が全て創神に命中した。


創神は槍の勢いのまま飛ばされる。


その途中でようやく時間を止めてその槍の勢いから逃れることができた。


しかし時間は強制的に戻される。


ゴッズの能力だ。


「どうだ?部下の能力で攻撃された気分は」


ゴッズは創神に言う。


そのゴッズの足元から現れたのは。


幽美だった。


姿は変わっているが完全に幽美だ。


しかも本来彼女が持つはずがない天使…いや漆黒の悪魔の羽を生やし空を飛んでいる。


「操ったのか…私の仲間を!」


それだけじゃない。


あの槍を光速で飛ばす攻撃はキングとレキの秘術だ。


「少しね改造させてもらったよ。この子は他人を眠らせ、その奇跡を奪う能力「神絶魔睡」を新たに得た。もちろん元の空間霊作も持ってる」


ゴッズはそう言って幽美の頭を撫でる。


さらに「下の秘術師?だっけにもチャンスは与えたんだけどねー。さすがに貧弱すぎたよ」と続ける。


その言い方からしてもう秘術師たちは全員眠らされているだろう。


しかも能力は幽美が奪っている。


「私はあなたを許せない。何でこんなことを!」


創神は叫ぶ。


理由はわかっているのにそれから逃げるため。


しかしゴッズはあたり前のことのように。


「世界がいらないから」と答えた。


その瞬間、創神の中の奏臣の心が崩れ始めた。


本音ではなにかの間違いであってほしかった。


もう事件が起き、実害が出ているというのに。


ゴッズを慕っていた。憧れていた。


その像がどんどん崩れていく。


自分の生きる理由が消えていく。


この人に認められたかった。


それだけを目標に天使としての仕事を全うしていた。


いっそこのまま壊れてしまったほうが楽なのかと思うほどに奏臣の心は崩れかけていく。


だが


「奏臣、お前の生きる理由は1つじゃない」


とメイクが言った。


「こんなやつに生きる意味なんて見出すな。昔はそれで良かったかもしれない。でも今は違うでしょ?」


そうだ。


その通りだ。


メイクの言葉で崩れていく奏臣の心が崩壊を止める。


今の私には生きる理由であり、戦う理由であり、守るべき仲間がいる。


仲間だけじゃない。


私はこの世の全てを任されている。


ここで私が折れれば未来はない。


だから折れるわけにはいかない!


「…ゴッズ。貴様を止める」


いつものような冷静な口調で創神が言った。


仲間を知ったメイク、感情を取り戻した奏臣。女王と王女。


創神が全てを解決する。




…。


……。


懐かしい匂い…。


父さんと母さんの声が聞こえる…。


でも死んだはずなのにどうして…?


「ほらキャスト起きなさい。今日は早起きしてキャッチボールしに行くんだろ?」


そうだ…あの日…サプライズの準備をするために父さんは俺を外に連れ出したんだっけ。


中学校3年生にもなってキャッチボールとかもっとマシなのはなかったのかと思う。


キングはあの日の自分を見ていた。


父さんからは見えていないらしい。


目の前に立っているのに気づかない。


昔の自分が「うーまだねみぃよ〜」と言っている。


そういえばこの頃、朝は弱かったな。


今でも弱いがディストの寮に入ってから矯正されたからマシになった…はず。


このあとは朝ごはんを食べてそのまま公園に連れて行かれた。


平和だった。


まさかあんなことが起きるなんて思いもしない。


突然場面が切り替わる。


目の前には散らかったテーブル。


直前まで誕生会をしていた様子だ。


あの時と同じなら…。


キングはゆっくりと歩いて玄関へ続くドアを開いた。


人間は内からの衝撃に弱いらしい。


血圧を最大限まで上昇させられた両親は血を廊下全体に撒き散らして死んでいた。


吐き気を催す。


その死体の上には奴がいる。


犯人の異人が。


死体の上で満足そうに気持ち悪い笑みを浮かべている。


その顔にキングは殺意を覚えた。


「秘術!」


槍を放出する。


その槍は彼に当たった。


体を突き抜け、廊下にもう1人の人間の血が溢れた。


異人は倒れる。


息を切らしてキングは「ざまぁ見ろ」と言った。


しかし


「お前は何を目的に動いている?」


耳元で声が聞こえた。


キングは後ろを振り向く。


しかし誰も居ない。


それどころか空間が真っ黒で何もない空間に変わっていた。


そしてまた耳元で囁かれる。


「自分の復讐のために何人もの無実の異人を殺し、自己満足に浸る」


キングはまた振り向く。


しかし誰も居ない。


「一応反省の念はあるみたいだがそれで無実の異人たちは許すと思っているのか?」


今度は耳元ではなく背後で声がする。


今度は槍で攻撃をしながら振り向いた。


放った槍は誰かに止められる。


「なぁキング…いや、キャスト」


声の主は言う。


「本当のお前はどこにいるんだ?」


槍を受け止めた声の主。


それはキングの父親だった。


「何で父さんが…。これが夢だから?」


キングは困惑する。


だが質問には答えず、


「あの時、異人をあの家に差し向けたのは私さ」


とキングの父親が言う。


驚くキングを気にせず、続けて


「実は父さんは異人でね。能力は権能死奪。自分が死ぬと体から魂が分離して他の人間を乗っ取れる能力さ。しかもその体が異人だったとしたらその能力も使える。その体が死んでも全ての能力を引き継いだまま、また他の体を乗っ取れるんだ。すごいもんだろ?」と言った。


それにキングは唖然とする。


今まで聞かされたことすらなかった。


「じゃあお母さんが死んだのはお前のせいだって言うのかよ!」


キングは呟く。


それに父親は


「そうなるな」


とあたり前のことのように言う。


それにキングはブチギレた。


無数の槍を父親に向かって飛ばす。


しかし父親は。


「お前は異人じゃなくて秘術だったか。ま、関係ないけどな」


と言って能力を発動する。


父親は槍を軽々と避けてキングに向かって手で作った銃を向ける。


そして


「バン」


といったかと思うと


まるで本当の銃弾が通過したかのように風が吹き、キングの頬から切り傷が流れてくる。


「俺もな、腐っても俺の息子だから殺したくはないんだ。しかも俺を殺したところでまた俺は誰かの体を乗っ取る。終わらないんだよ。お前の復讐は」


と父親が言った。


しかしキングは


「復讐…か。そんなもんとっくに終わってる」


と上を見上げていった。


何?と父親が聞く。


「俺の復讐はもう自分で終わらせてきた。父さんのことは許せない。だけどそれよりやることがあるんだ」


父親は黙って聞く。


そして一呼吸おいて


はぁぁぁぁ。


とため息をつく。


「なぁ」


そして父親がキングに話しかけた。


「無限の時間があったらお前はどうしたい」


そんなことを聞いてきた。


キングはなんでそんなこと考えなくちゃいけないんだと思いつつも


「趣味を極めたりお金を稼いだりするとか?」と答えてみる。


しかし父親は暗い顔をして


「無限の時間ほどいらないものはない」と言い切る。


「俺は何回も死んだ。そして何回も体を乗っ取ってきた。能力友人家族関係とか全部人によって違う。だけどすべてに共通してることが一つある」


そこで区切って自分の拳を自分の胸にあてる。


「それは1人の人間ということだ。俺は自分が死ぬことによってその人間を殺しているんだよ。自分の意識関係なくな」


今まで奪った命の量。


それは計り知れないものだ。


「何が言いたいんだよ」


キングが父親に聞く。


父親は言う。


「俺を殺してほしいんだ」


キングは「は?」とほとんど条件反射で言った。


訳が分からない。自分の母親を殺したやつが何を言うか。と。


「もう俺は人を殺したくない。無限の時間なんていらないから俺を殺してくれよ」


その言葉でキングは思い出す。


メイクとの会話を。


メイクにも父親と似たようなことを聞かれたことがあった。


「絶対に死ねない体だったらどうする?」と。


同じような回答をキングはした。


そしてそれに対するメイクの返答も父親と同じだった。


「死んでも死ねない。終わりの見えないものほど恐ろしいものはない」と。


今わかった気がする。


こいつは無限の時間で狂ってしまっている。


絶対に終わらない自分という不安感。そして死ぬたびにほかの人間を代わりに殺してしまう罪悪感。


それらが積み重なってこいつはもう終わらせたいと願っている。


ここに来たのも俺ならば自分を殺すことができると考えたからだろう。


「俺は今他人の夢を操る能力でここに来てる。もしここで俺の意識がお前に殺されたなら意識が無くなった体は活動を停止する。俺の能力は実体が死なないと発動しない」


父親は話す。


「つまりここで自分を殺してくれってことか」


キングは父親の意図を察した。



「それは無理だな」と返す。


父親が絶望の表情でこっちを見る。


「父さんは罪から死んで逃げる気だ。ちゃんと償えよ」


とキングが言う。


父親は「どうすればいいんだ…。俺が償わなきゃいけない罪は星の数ほどあるんだ…。そんなもん無理に決まってるだろ!」とキングに向かって叫ぶ。


しかしキングはちっちっちと唇を鳴らして言う。


「偶然たまたま今この世界は危機に瀕してる。世界を救えば償いになるだろ」


父親は


「俺に協力をしろと言ってるのか?」とキングに聞く。


キングは頷き


「世界を救った後は予定なら能力がすべて消えるはずだ。そのあとは好きにしろ」と言った。


父親は少し悩んで


「わかった。協力しよう」と首を縦に振った。


「ならまずはこの夢からでないとな。場所は見ればわかる。約束バックレるなよ」とキングが言う。


父親は頷き、能力を使用する。


すると夢の世界が崩壊を始めピースになり始める。


すると父親が


「いい子に育ったな」と感慨深げに呟いた。


キングは照れ臭そうに笑うと


「父さんと母さんのおかげだよ」と言う。


言い終わった瞬間に夢は完全に崩壊した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ