表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/67

正体

56章



仮面の天使はおもむろに右手で仮面を櫻木の前で外した。


なぜ仮面の天使が仮面を外したのか。


それはその中身にあった。


仮面の中にあったのは愛する人を殺したやつの顔。


絶対に相打ちで愛する人が殺したはずの男。


「その顔を見るのは久しぶりだなぁ」


ライの姿がそこにあった。


櫻木は彼を見て驚きの表情を浮かべる。


なぜならここにいるはずがない存在だからだ。


確かに信二くんが相打ちで命を奪ったはず。なのになんで。


「俺がここにいてどうしてかって顔してるなぁ。そりゃそうだ。俺は一回死んでるからなぁ」


櫻木は警戒しつつ、目の前の仇敵に質問を投げかける。


「どうやって生き返ったの」


それが私達にもできる方法であればそれで信二くんが生き返ることができると思って。


しかしその答えは欲しかった答えとは程遠かった。


「それはなぁ。あいつが何故か知らんが俺のことを生き返らせてくれたんだよなぁ」


あいつ。


それはおそらく神天使のことだろう。


そして望まれていない答えを出したライに櫻木は攻撃をしかける。


「フランマ!炎斬!」


そう叫んでフランマを呼び起こす。


「久しぶりの出番ですよ。張り切っちゃいます」


フランマは実体を持ってライを炎剣で斬りかかる。


だがライはそれを左手で止めた。


正確には右手に触れた剣が跡形もなくバラバラになってしまった。


その破壊はフランマにも襲いかかろうと侵食するが剣の持ち手を捨て事なきを得る。


「破壊の概念だぁ。効果は変わってないなぁ」


ライの左手には破壊の概念がまとっており、それに触れた剣が破壊されたというわけだった。


だが


バキィ!という音とともにライの左手が弾け飛んだ。


それを見てライは


「壊れたかぁ。まぁいいや。どうせすぐ生えてくるんだしぃ」


と言う。


その言葉通り、すぐに左手は再生されるが再生された右手も体と同じように少しひび割れている。


「どうやら破壊の概念に侵されているみたいですね」


フランマが見解を言う。


常に破壊の概念が体を襲って完全回復できないのだろうと考えた。


それならまだ万全の状態じゃないか。


なにか1手があれば勝てる。


そう思った。


するとライがもう一度仮面をつけ直す。


「さて、じゃあ行くぞ」


仮面の天使が勢いよく突っ込んでくる。


その速さは異常だ。


櫻木は目で追うことができない。


拳を腹に受ける。


吹き飛ばされたが少しだけ体をそらすことに成功し、ダメージは少なくなったが痛すぎる。


「また能力の阻害…」



破壊の概念によって能力が弱体化するのを感じる。


そしてそれによって不死身の能力も無効化されていることに気づいた。


不死身の能力に関しては完全に無効化されている。


普段ならばこんな痛みすぐ引いてくれるのだがまだ痛い。


ここまで痛みが続いたのは久しぶりだった。


櫻木はお腹を押さえてゆっくりと立ち上がる。


ゆっくりと立ち上がる櫻木の肩をフランマが支えようとする。


だがそれは仮面の天使が許さなかった。


仮面の天使がフランマの胸元を抑える。


「先に君を破壊する」


仮面の天使がそう言った。


そしてフランマの体へ破壊の概念を送り込む。


送り込みが始まった瞬間からフランマの体が耐えきれないようにヒビが入っていく。


フランマはその手を払う。


だが結構持っていかれてしまったようだ。


フランマは櫻木に聞く。


「戦えますか」と。


それに櫻木は頷く。


そしてにこやかに笑って


「私が頑張らなきゃ信二くんが悲しんじゃうからね!」


と言った。


「そんなに力んでも私には勝てませんよ」


仮面の天使が言う。


その手には鎌を持ちながら。


しかし櫻木は笑みを絶やすことなくフランマを取り込む。


フランマを取り込むと短い時間だが奇跡量が上がる。


その時間で倒してしまおう。という作戦だ。


「行くよフランマ!」


叫び、炎を体に纏う。


元々フランマは黒山の能力だったが、櫻木の体はほとんど黒山と変わらないため問題なく使用できる。


炎をまとった櫻木はその体でライに向かう。


それを迎え討ち破壊の概念を撒き散らす。


櫻木の部屋が大きな音を立ててひび割れていく。


当の本人は全く気にしていない。


それよりも仇敵をこの手で殺せることに嬉しさを覚えている。


絶対に晴れることがないと思っていたが、それも今日で終わりだ。


ここで決着をつける。


櫻木は破壊の概念を狂気の概念で相殺した。


異なる種類の概念は触れ合ったときに消滅する。


そう奏臣に教えてもらったことがある。


それがここで役に立つとは。


「絶対にお前を殺す!信二くんの敵を取るんだ!」


叫ぶ櫻木。


頭は回らなくても能力が戦闘向きじゃなくても。


彼への愛は本物だ。


それに対し仮面の天使も言う。


「対象の排除開始」


機械的な声だった。


破壊の概念を突破した櫻木が炎剣で上から仮面の天使を切るように振りかぶる。


しかしそれはかなり大振りで隙だらけだった。


もちろんその隙を付いて仮面の天使は炎剣が来るよりも早く櫻木の体を鎌で横から切り裂いた。


櫻木の体は真っ二つに切れ、崩れていく。


だが崩れ方が違う。


破壊の概念なら体をピースが崩れるように割れて壊れるが、櫻木の壊れ方はまるで霧が原型を留められないような壊れ方だった。


「これは…炎幻か」


蜃気楼のように自身の体を透過させる技。


ならばあいつは


仮面の天使は後ろへ振り返る。


そこには顔のミリ目前まで迫った炎剣があった。


その炎剣を破壊の概念で抑えようと放出した。


だが、破壊の概念は炎剣に到達する前に消え、炎剣は無傷。


その理由は炎剣の周りにまんべんなく狂気の概念が纏わせてあったから。


見破られるところまで櫻木は読んでいる。


炎剣を仮面の天使に向かって振り下ろした。


「良いね」


そう仮面の天使は言って炎剣を真正面から受けた。


仮面の天使の体が真っ二つに切断される。


完全に当たった。そう勝ちを確信した。


だが仮面の天使の体はすぐに修復されていった。


裂けた体がくっつき細胞レベルで繋がっていく。


すぐ後には元の体に戻っている。


「身体再生系の能力も持ってるの?はぁ」


会長も私もメイクも不死身の能力を持っているため驚きはしない。


問題があるとすれば殺し方の問題だ。


と櫻木は考える。


不死身の能力は殺せない。


それが一番厄介なのだ。


勝つ方法が降参させるぐらいしかない。


「でもね。秘策があるんだよ」


そう秘策。


ポケットから1つの石を取り出す。


それは勾玉のようなものだ。


この勾玉は信二くん対ライのときに足元に転がってきたものだ。


これのせいで信二くんがと言っても間違いじゃないが、これは今の私に必要なもの。


実はこれを咲川に預けて性質を解明してもらっていた。


わかったのはこの物質に名前は存在していないこと、とライの持っていた心無き執行者と同じ性質を持っていることだ。


ということはこれさえればあいつの不死能力を突破できる。


ということだった。


だが問題は使い方がわからないということだ。


性質はわかるが、触ったりしても効果が発動しない。


なにかトリガーがいるのだろう。


それは何かはまだわからない。


手探りで戦うしか無い。


そのトリガーさえわかれば勝てる。


この仮面の天使に。


「まずは見つけなくちゃね!」


そう言って櫻木は体に炎を纏わせる。


人外に勝つには人外になるしかない。


今の私はまだ人の域を超えていない。


だからその壁を超える。


「炎獣」


フランマが櫻木の中で言う。


炎獣となった櫻木は人の形を保っているが炎に巻かれシルエットしかわからない。


普通の異人なら焼死してしまう。


だが櫻木は違う。


自身の能力で死ぬことがない。


炎獣状態を保ちながら戦うことができる。


これで櫻木は人の領域を超えた。




「楽しいな!本気のお前と戦うのはこんなにもアドレナリンが出るものなのか!」


アマが銃を乱射しながら創神に向かって叫ぶ。


天使の強さでもアマは2番目の階級だ。


だから戦っても互角となる相手はいなかった。


訓練で同じ階級の創神たちと戦うこともあったがそれは本気ではない。


「私も楽しいぞ。だがな勝つのは私だ」


この戦いは負けるわけにはいかないんだ。


譲れないものがかかっているんだ。


そしてふたりとも時間神逆を発動する。


また2人以外の時間が止まる。


止まった静寂の中で2人の戦いの音だけが響いてくる。


アマが虚空からレイピアを生み出す。


レイピアを創神に突き出す。


しかしレイピアは創神に当たる前に止まる。


そして止まったかと思えばレイピアが粒子になって元の虚空に戻った。


時間神逆の能力。


物体の時間を巻き戻す。


それをレイピアにかけたのだ。


創神は刀でアマを袈裟斬りにしようとする。


だがアマはそれをやり返した。


刀が粒子になって元の虚空に戻る。


お互い武器を無くし、立ち会う。


今度は素手で戦いを始める。


「まだまだ終わらないぜ!この時間を終わらせてたまるか!」


楽しい時間を終わらせたくない普通の人間のようにアマは言う。


創神も気持ちは同じだ。


この時だけは2人は普通の人間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ