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真実≒虚偽

20章



組織。


それは世の中の不平等である異人を抹殺するために生まれた。上から「組織長」「幹部」「下部メンバー」

の3階級で構成されている。


無所属の下部メンバーは主に覚醒しているが力を使いこなせていない異人の抹殺。幹部直属の下部メンバー

は上司である幹部の手伝いが仕事である。


幹部直属というのは同じ秘術系統を持つ秘術師が集められているもの。幹部直属の下部メンバーは幹部から

訓練を受けることもできる。


そしてその上司である7幹部。


合計で7人存在しており、全員が強大な力を持っていて大抵の異人に負けることはない。


秘術の全てに共通する能力である、対象から受けるダメージを100%カットするという能力はこの幹部以上の

秘術師しか持っていない。


主な仕事は異人の抹殺であるが、強大な力ゆえに上司である組織長の許可がないと自由に秘術が使えない。

仕事が振られたときにしか秘術が使えないのだ。


下部メンバーと幹部が仕事が振られていない時には全員普通の生活を送っている。あくまでも秘術師は普通

の人間だ。


そして。




「うっしゃ、フルコン」


ゲームセンターの音ゲーコーナーで小さくガッツポーズをする男。


キング、もとい本名イエラス・キャスト。今は学校帰りなのか制服を着て、床にバッグを置きながらアーケ

ード音ゲーを楽しんでいる様子。


異人と戦っているときのような凶暴性はなく、そこにいるのはどこからどう見ても普通の学生だった。


イエラスはもう一度百円玉を入れてゲームをコンティニューする。


曲選択でどの曲にしようか悩んでいる。


これがイエラスの日常。


「変わっちまったなぁ」


1人考えそう呟く。


3年前、彼は両親をいっぺんに異人に殺された。


理由は「うざかったから」だそうだ。


その時イエラスの家族は家で彼の誕生日パーティーをしていた。両親は一人っ子だったイエラスに愛情をた

っぷり注いで育ててもらった。


ごちそうを食べて、ケーキを食べて、もともとお金がそこまであるような家ではなかったからそれだけで嬉

しかった。プレゼントなんていらなかった。


幸せだった。…次の瞬間までは。


異人は家に玄関を壊し入ってきてまず大声を上げた。


襲来に気付いた父親が護身用に木刀を持って玄関に応戦しに行った。その時に父親が言った「お前は隠れて

ろ」という言葉が最後の言葉だった。


そのすぐ後に母が俺を屋根裏に隠してくれた。そのときに母が言った「大丈夫よ。すぐに戻ってくる」とい

う言葉も母の最後の言葉だった。


あの時イエラスがどうすればよかったのか彼自身今でもわからない。


父母と一緒に異人の撃退に行ったほうが良かったのか、それともすぐ外に行って応援を呼んできたほうが良

かったのか。


正直、どっちにしても結果は変わらなかったと思う。でも、もし変わるのならば彼はどうすれば良かったの

か。


屋根裏を開けられ、彼の目に見えたのは見知らぬ人間。いや異人。その全身は赤い返り血のようなもので染

められていた。


あとからわかった話だがその異人は圧力を触れるだけで変換できる能力者だった。その力で父と母の血圧を

最大まで引き上げて中から破壊した。


彼を見つけた異人はゆっくりと梯子を登ってきた。


怖がっている彼を見て快感を覚えているようにニヤニヤしながら。


彼は恐怖で動けなかった。ガクブル震えていた。でもあの人が現れた。


いつの間にか異人の登ってきた梯子の下に誰かが立っていた。黒いマントを羽織って謎に包まれているよう

な人物が。


あの人は異人の服を掴み梯子から引きずり下ろす。それに驚いた異人は瞬間的にあの人を殴ろうとする。そ

れをあの人は片手で受け止める。


今考えると妙だな。なんであの人は異人と接触したのに死ななかったのだろう。とイエラスは思う。


その後、あの人は異人を絞めて気絶させた。



彼には何の反応もなしでどこかへ消えてしまった。


そのまま呆然としているとパトカーのサイレンが響いてきた。


俺は正気に戻ってゆっくりと屋根裏から降りる。


その時はまだ父母は生きていると謎の確証を持っていた。でも玄関で血管が破裂し皮が破れている父親とそ

の隣、父親と同じような状態で、最後の力を振り絞ったのか父親と手を繋いだまま死んでいた母親の姿を見

て彼は色んな感情が溢れかえり、その場で吐いてしまった。


その後は彼自身あんまり覚えていない。


警察に連れて行かれて色々聞かれていたが何も答えていなかった。いや答えられなかった。


父母が襲われた理由はなんでも父親が異人差別意識が高かった人だったかららしい。計画殺人だと断定された。

偉人のせいで父母は殺された。


彼は父母以外に身寄りはない。どうしようかとなっていたところに誰かが引き取ると言ってくれたそう。


それがあの時助けてくれたあの人であり、この組織のリーダーだった。


そしてあの人は「異人が妬ましいだろう。異人がこの世にいるからいけないんだ。君のような人を増やさな

いためにも協力してくれないか?」とイエラスに聞いた。


そこから彼の復讐劇は始まった。


秘術との適合性を調べ、その副作用である発熱、嘔吐、極度の全身の痛み、極度の脱水症状など、地獄の苦

しみに全てに耐えた。結果、彼は幹部になり異人に復讐できる立場になった。


異人を1人殺す度、彼は人格が壊れていったのを感じていた。昔は周りからやれ親切だのおとなしいだの可愛

いだの言われてきたが喜んでいたがが今はもう違う。


復讐のためには何でもする。たとえ人道を外れても。




「ふぅ…」


財布のお金が尽きたようだ。夢中になるあまり、今財布に入っているお金をすべて使い切ってしまったらし

い。だからどうということはない。


イエラスは床においてあった網籠からバッグを取り出してその場を離れようとする。


「そう、これこれ俺が監禁されてたからなー。やるのは一週間ぶりぐらいかな?」


「一週間だけなら別に大丈夫じゃないの?もしかしてゲーム依存とかいうやつ?」


しかし後ろで何やら聞き覚えがある声が聞こえてきてイエラスはとっさに振り向いた。


あいつだ。


中性的な顔立ち、特に高くもない背、そしていつも近くにいるあの女。


あの不死野郎、なんでここに?


しかしイエラスは気付いていない。このゲームセンターが実は黒山の行きつけのお店だったということに。


「まさか、俺を狙いに…?」


そんなことはない妄想がイエラスの頭に広がる。


黒山たちはそんなつもり一切なく、学校帰りにこのゲームセンターに寄っただけなのだがイエラスはそんな

ことはわからないので警戒している。


イエラスは警戒しながら店を後にする。


そんなことには全く気付いていない黒山と櫻木はさっきまでキングが使っていた筐体の前に立つ。


「さーてやるぞー」


黒山はそんな事を言ってお金を筐体に入れようとする。櫻木はその一歩後ろで黒山を見ている。


そこで気付いた。


「あれ?これって財布か?」


黒山は床においてあった網籠の中に財布が1つぽつんと置いてあるのを発見した。


それを手にとってジロジロ見る。


「誰かの忘れ物かなぁ」


櫻木が財布を見ながら呟く。


黒山は「まぁそうだろうな」と返し、中を開ける。中にお金は入っておらず代わりにカード類が結構な量入

ってるのが確認できた。


カード類の中から学生証を発見し、取り出す。


「えぇと名前イエラス…キャスト?外人か?」


黒山が疑問の声を上げる。名前の横に学校名と証明写真が載っているが特に覚えがあるはずもなく。


「こんなピッチリして真面目そうな男の知り合いは居ないな」


「私も同じだね」


2人してこの男がキングだということに気付いていなかった。それもそのはず証明写真の男は黒山たちが見て

いるキングとは全くの別人にように真面目そうにしてメガネまでかけていた。


結局その財布はお店に預けて、黒山たちは音ゲーを始めた。




キングはそのゲーセン帰りに誰かと一緒に家に向かっていた。


その誰かはどこかの生徒会長のような容姿をしていて、服も制服。腰まで伸ばした髪は怪しく光っている。


キングはその誰かの顔を見ながら言う。


「なんでコスプレなんてしてるんだ?メイク」


「あ、バレちゃった?えーバレないと思ってたのになー。顔そっくりだし」


キングの言う通りこの奏臣の姿をした誰かはメイクだった。なぜかは知らないが奏臣のコスプレをしている

ようだ。


キングは「そりゃ、伊達に組織幹部になってるわけじゃないからな」と返す。


だがそういうキング自身はそこまで幹部の中で立ち位置が良いというわけじゃない。強さ的に言えば6番目ぐ

らいだ。


そして今隣にいるこのメイクは幹部の中で最強をキープしている。普通に戦ってもまず勝てる相手じゃな

い。


「ま、そもそもあの生徒会長様の血縁に勝てるわけないけどな」


「血縁とかは関係ないんじゃないかな?母親とか父親とかは普通だったし」


奏臣がなんであんなに強いのかは全くわかっていない。ただの運なのかそれとも何か理由があるのか。


組織長はいつも言っている。「あの生徒会長の強さの理由が分かれば異人についてももっとわかるかもしれ


ない」と。


俺たちが組織長から聞かされている組織の目的は「異人の抹殺」だが、組織長の言い方から他にもあると思

って間違いないだろう。


例えば…。


「異人の能力だけを抹消させる。とかね」


メイクが心を読んだかのようにキングの思考に入ってきた。


キングはメイクの方を見るがメイクは知らん顔でそっぽを向いている。


「まー今の所そんなもの夢のまた夢だし、排除するしかないんだけど」


「逆にそうなったら俺はどうやって生きていけば良いのかわからないぜ…」


キングは復讐のために組織に入った。


詳しく言えば異人を殺すため、助けることなんて考えていない。異人を殺さなくても良い世界ができたのな

ら彼の生きる意味がなくなる。


建前は異人から普通の人々を守るため、本音は自身の復讐を果たすため。


キングはそのことをこう皮肉る。


「そういえば真実と虚偽は紙一重だったな」

どうもsakuです

今回はキングの過去編です

そういえばよく人によっては「敵キャラに可哀想な設定つけるな」という意見があると聞きます

言いたいこともわかるんですけどちゃんとその設定にも意味があるのでそれも含めた上での物語として読んでもらえればありがたいです

面白ければブックマークや評価を、なにか直すべき所があれば教えて下さい


それでは、また来週

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