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悔いなき日々を  作者: 今野小次郎
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~目指すべきもの~

年齢が若すぎたので修正 6/7/2018

~5年後~


 俺は5才になった。まだ屋敷の外に出たことはほとんどないが、俺が今置かれている状況、この世界のことがなんとなく分かってきた。


 俺は一応貴族の生まれらしく、性をリースという。父が何やらすごいらしく(詳しくは知らない)、騎士爵と領地を与えられたそうで、この辺一帯を治めているらしい。らしいというのはこの家に住んでいる人以外見たことがないからである。周りは森だらけで人が住んでいるようには見えない。


 執事のタリマが言うには、一応数人住んでいるが、多少問題があるらしく、滅多に顔を出さないのだそうだ。どんな問題があるのか聞いてみたのだが、「申し訳ございません。ユーナ様には、まだ教えるなと言われていまして」だそうだ。まあそのうち分かるだろう。


 俺のことはいいとして、重要なのは、この世界のことである。前に連れて行ってもらった町に何度か訪れたが、前回の少ない滞在時間では気が付かなかったことがいくつもあった。


 町の名前はユダというらしい。屋敷から馬車で15分くらいのところにある小さな町で、人口も少ない。人の通りもまばらなのだが、ふと、隣を通り過ぎようとした小さな女の子の頭を見てみると、猫耳らしき物体がついていた。華麗な二度見をしてしまった俺だが、後で調べてみると、どうやらこの世界には、獣人と呼ばれる種族がいることが分かった。獣人だけでなく人族以外の、色々な人型の種族がいるみたいだ。


 まだ子供で、屋敷の外に一人では外出できないので、この世界のことを調べる手段として家の書庫にある本を読むことにしたのだが、これがさっぱり読めない。仕方がないのでメイドであるセシルに文字を教えて貰おうとしたのだが、執事見習いのダースがどうしても自分が文字を教えたいと言い張り、結果として、ダースとセシルの二人に教えて貰うことになった。


 ダースの妙に熱が入った視線とそのダースを少し引いた目で見ているセシルの二人体制の勉強会は、なんともやりずらいものがあったが、俺は無事に書庫にある程度の本であれば読めるようになった。


 あまりの習得スピードに二人とも驚いていたが、前世で複数の言語を習得していた俺には、これくらいが普通である。


 本を読む手段を手に入れ、この世界の常識、この世界の地理を頭に叩き込んだ俺は、魔法という前世にはなかった強力な力を手に入れるべく、初級魔導理論を読もうと手を伸ばす。


 しかしその手は初級魔導理論に触れる寸前で止まっていた。


 俺は、本を取ろうと、力を得ようとする右手を見つめる。


『魔法を覚えて何をするつもりだ?』


 無意識だった、


 無意識に力を欲した。前世では強くならなければ、生きていけなかった。強くなることが生きがいであり、強くなることによって何もかも手に入れたと思った。


 『だが結果はどうだった?』


 俺は、何のためにこの世界に来たのかもう一度思い出した。


 大切なものを守るため、力を追い求めるのも重要だ。だがそもそも大切なものを作ることが第一優先ではないか? そう改めて気が付いたのである。彼女を作ることが『最・優・先・目標』だと。


 今のままではダメだ、そう考えた俺は、セシルの元へと走りだした。------


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 ~8年後~


 気持ちの良い太陽が、窓の外からベッドに横たわる私に降り注ぐ。朝だ、素早く身を起こすと身だしなみを整えるため、鏡へ向かう。鏡を覗くと銀髪碧眼の華奢で、可愛らしい少女と見間違えんばかりの少年が写っている。この身体へと転生してすぐは、鏡を見るたび前世とのギャップに、驚いていたが最近慣れてきた。


 さて、男にとって身だしなみは重要なので念入りにブラッシングすることにする。シャー、シャーと髪をくしで梳かす。


「うん、今日もばっちり決まってるな」


 時間をかけて髪を整え、サラサラになった銀色の髪が、朝日に照らされ輝く。寝ぐせがないか最終確認しつつ、時計を見ると約束の時間が迫ってきていることに気が付く。「早く向かわないと」そうつぶやくと、木製の金属で装飾のついている小さな扉を開け、部屋を出た。


「おはようございます、ユーナ様」


 廊下に出ると、執事のタリマが声を掛けてくる。


「おはよう、タリマ。今日も早いですね」

「いえ、先ほど起きたばかりですよ。ユーナ様はどちらに?」

「ユーリ兄さんの訓練を見学しようかと思いまして、父さまにお願いしたら見学くらいならばと、許可をもらいました。」


 ユーナが行先をタリマに告げると、タリマは一瞬驚いた顔をするが、すぐに表情を戻し、「そうでしたか、あのお二人でしたら何の心配もないと思いますが、お気を付けください」と言い残し、去っていく。


 それを見送った後、私はルンルン気分で庭へと向かった。


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 軽く人物紹介


・ユーナ・リース

 主人公。前世では世界最強と呼ばれていたが、寿命で死んだあと異世界転生。前世で一度もできなかった彼女を作るべく動き出す。

 外見は、銀髪碧眼の可愛らしい見た目。何があったかわからないが、13才になるとより磨きがかかる。


・ユア・リース

 主人公の母親。おっとり穏やかな女性で常に温かい目で皆を見守っている。

 外見は、ユーナと同じで銀髪、目は灰色。美しいというより、可愛らしい雰囲気。


・ユーリ・リース

 主人公の兄。歳は、主人公の二つ上。年齢の割にはがっしりした体格をしており、顔は、厳つい。父であるオルセの後を継ぐべく研鑽の毎日。


・オルセ・リース

 主人公の父。騎士爵と領地を貰い受け、領地を守りつつ、王都と屋敷を行き来している。剣の腕は、騎士爵の名に恥じないものであり、ユーリに稽古をつけている。


・執事タリマ

 リース家に仕えている執事。THE執事という風貌で、右目に片眼鏡をつけている。基本的には、オルセ・リースについており、屋敷のことはダースとセシルに任せている。


・ダース

 執事見習い~執事。歳は8年後で22才、中肉中背の黒髪の青年で目が鋭い、何かと主人公にかまう。子供好きらしい。他意はない。


・セシル

 メイド。歳は8年後で25才、桃色の髪を肩より上で切りそろえている。タリマがいないときの屋敷の取り纏めを行う。成長するに連れ、綺麗になっていくユーナを複雑な気持ちで見守る。

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