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剣の王  作者: 今井 蒼月
転入編
7/21

迷うとは出会うを誘発する

ヒロイン?かもしれない子の登場です

 「ん...」

 

  アランが目覚めたのは、ヴェロニカが用意した家の中だった。

  目覚めは悪くない。今日からアランは入学する。

  正直、緊張していないと言えばうそになる。

  ゆっくりとベッドから出ると、階段を下りて一階のリビングに向かった。

  その途中、昨日ここに着くまでのことを振り返った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  仮眠室にとまった次の日に

 「家があるからいけ」

  といわれ、地図を頼りにその場所に向かっていった。

  道中、アランは旧王都(本には気づいていない)の街の変化に驚きを隠せなかった。

  土が露出していた道は、きれいに整備されており、露天商なるものはどこにもなく、道に沿うよう  に、商店が軒を連ねていた。

  道にも歩行者専用の道と、四角い箱のようなものが走る道が分かれており、その箱はすごい速さで、 彼の横を走っていった。


 (変わってしまったな)


  自分が解るものはものは中央にある城だけだった。ただ、昔見たものと少し違っていた。

  それもそのはず、彼が最後に見た後に、ヴェロニカが城を粉々に破壊してしまったため、今見えてい るのは、観光のために復元されたものである。

  そのことで、何か自分が解るものは無いかを無意識のうちに探していた。

  結果、地図の道から外れてしまい、気付いたときは自分がどこにいるのかわからなくなってしまっ  た。


 (う~~~~ん。困った)


  目的とは違うものを探すのに熱が入ってしまい、すっかりわからなくなってしまった。

  日も傾きかけているため、できるだけ早く到着したかった。

  困り果てていると、後ろから声がかかった。


 「ねえ君」


  弾んだ声だ、声からして女の子だろうか。

  振り向くと、その子が立っていた。

  残念なことに、顔は口より上はフードに覆われており、服も長袖に長ズボンとこれといって特徴のな い格好で性別を確定させることはできなかった。


 「見た目からして旅の人かな?こんなとこでなにしているの?」


  彼女?は微笑を浮かべながら話しかけた。

  今のアランの服装は薄汚れたコートとシャツ、そしてズボンと旅をしていた時のままの格好で旅人と 間違われてもおかしくなかった。


 「ああ、ここに来るのは初めてで、ここに行きたいんだけど...」


 さすがに、昨日500年の眠りから覚めましたのどといえるはずもなく、あいまいにごまかして、本題に入った。

 地図を見せると、彼女は?しばらく見つめ、顔を上げた。


 「これは西地区だね。ここからすぐだよ。ついてきて」


 彼女?はアランの手を引くと、来た道を引き返すように、歩き始めた。


 「何でこの街に来たの?」


 道中そんなことを聞かれ、アランは 


 「進学の為かな...」


 と端的に返す。彼女?は「ふ~ん」とそっけなく返して、「いいなあ」とアランにも聞こえないような声でつぶやいた。

 しばらく歩いて、地図の指すところに到着した。 

 きれいな二階建ての家...というには大きい。具体的には貴族の屋敷の半分くらいの大きさだろうか。一人で住むにはかなり広い。


 「大きい家だね。お金持ちなの?」

 「そう、なのかな...」


 これを目の前にして、「いいえ違います」など言えるわけもない。


 「そうだ。ここまで連れてきてくれてありがとう」

 「うんん。私も楽しかったし全然大丈夫だよ」


 笑顔を浮かべる彼女?に対して、アランはドキッとした。


 「あ、ああそうだ。連れてきてくれたお礼」

 「いいよ。別に他意があってやったわけじゃないから」 

 「それでも、とてもありがたいよ」

 

 そういうと、アランは、小さな袋を取り出すと、そこから金貨を三枚ほど出して、彼女?に渡した。


 「これはほんの気持ちだ。受け取って欲しい」

 「え!?こ、こんなにもらえないよ。たかが道案内で」

 「俺からすれば、かなり大切なことだ。だから受け取って欲しい」

 「そ、そう?じゃ、じゃあ」

 

 彼女はおずおずと受け取ると、大事そうにポケットにしまった。


 「それじゃあ、私帰るね」

 「大丈夫か?」

 「君みたいに短くないよ。慣れてるからね」

 「そう、か。気を付けて、何かあったら、いつでも来てくれ。力になる」

 「ありがとう」


 彼女?はにっこりと笑うと、アランの家を後にした。

 

(・・・・・・・初めてだな)


 これまで、同年代の人と話すことはなかった彼にとって、彼女?との時間は特別なものだった。


(また会えそうな気がする)


 胸を弾目せながら、アランは家の扉を押した。



 


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