くすぐったい
ピロリン♪
いっちーからLINEだ。
【17時半頃大丈夫ですか?】
【大丈夫です。角のケーキ屋で待ち合わせね】
【OK】
なんともシンプルな文章…
まあ、男の人は普通そうか
私も人のこと言えないし
なことはるには付き合っちゃえ!なんて
言われたけど、そんなことないし…
だいたい、年下で尚且つ仕事場の後輩。
それに向こうは就職控えた大学生。
……好きになるなんてないない
付き合ってる想像すらしてないし。
………想像
なんやかんやで、待ち合わせの時間。
少し前に着く予定で向かっていたが、
先にいっちーが着いていた。
相変わらず爽やかな笑顔だ。
「あこさん!」
「ごめん、待った?」
一応、そう声をかけたら笑われた
「なんかいいっすね〜」
「なにが?」
「デートっぽい」
「…帰るぞ」
「ウソですって!ありがとうございますー」
全く適当なことを
でも、少し…いや、2人に変なこと言われたから
ちょっと恥ずかしながら私もこれから
デートするカップルを想像してしまった…
「で!どこ行くの?」
「あ、頼みがあるんですよ」
「ん?」
「女の人にあげるプレゼント買いたいけど…」
あ〜成る程。彼女へのプレゼント選びね
「あこさん、センスいいから」
「何か目星はついてるの?」
「いや、全く」
「おい」
取り敢えず、場所を変え適当にお店に
寄りながらプレゼント探しをしてたが
なかなか決まらない。
さすがに飽きてきたのかいっちーが
お腹空いたと発言。これもよく聞くやつかな?
男性は長い買い物は苦手ってやつ。
私たちは居酒屋に入ってお腹を満たすことに
…ん?いっちーのお腹空いた発言が連発
したから居酒屋来ちゃったけど!
「いっちー」
「はい?」
「お店閉まっちゃうよ?」
「あ、コレ食っていい?」
なんかなー
「なんか、すみません」
「なに急に」
「付き合わせといて決まらず」
「プレゼントする子の好み知らないの?」
「いや〜知ってたら悩まないし」
私もあれだ。詳しく聞けたら選びやすい
ものだが、若き青年にガツガツ聞くもんじゃ
ないと思い避けていた会話だったけど…
「彼女、誕生日か何か?」
「ん〜入学祝い?」
「へ?今更?」
今は9月。入学祝いにしちゃ遅くないか?
「同じ大学?」
「そ!」
「てことは十代…」
「あこさんにもそんな時代があったのにね」
「調子にのるなよ、こら」
それから仕事の話やお互いの私生活の
話で盛り上がった。し飲んだ飲んだ。
「あこさんて、彼氏いないの?」
「は?」
ぶっ込んできたなー
私の唯一苦手とする会話が。
「いないけどー」
「どんくらい?」
「………だいぶ」
嘘は付いてない…はず。
生まれてこのかた彼氏はいないけど!!
「ふーん」
「なんだよ、喧嘩か?」
「違いますって 笑」
「どーせモテない女ですから」
あ〜でたでた、面倒臭い女の特徴
私は好きな焼酎を一気に飲んだ、もちろんロック
「あこさん、仕事バカだからなー」
「はーいー??」
「モテないことはないでしょ」
「………」
「彼氏つくろうとしてないだけ、違う?」
ちょっと意外だった。ん?いや
正直に言おう。少し嬉しいかも。
「あこさんって、男っぽい性格だし一緒にいて気楽っすもん。それに容姿だってキレイ系な方じゃん。意外と周りに気を使うし面倒見いいし優しいですもんね?」
「え」
「あとはもーっと素直になった方がいい」
「あ、はい」
「あ!もう1つ、自分優先してもいんじゃん」
まてまてまてまて。
いっちーは私のこと、そう思ってたのか?
間違ってはないけど!嬉しいようでだいぶ
恥ずかしいのだが!!
「ま!お互い早くいい人見つかればいいっすね」
「え?私は分かるけど、彼女いるんでしょ?」
「はい?」
「は?」
「今は彼女いないけど」
「だってプレゼント…」
「あ〜あれは」
いっちー曰く、入学祝いはいとこの女の子
だそうで。結構、我が儘らしく入学祝いくれ!
とのことで探してたらしい。
意外と律儀だなー
「もう22時か、帰ります?」
「帰ろっか」
「あこさんお喋りだからあっという間」
「悪かったね〜お喋りで!」
いっちーは半分お金出すと言ったが、
稼ぎも違えば年も違うし後輩で
会計は私が支払った。いつも後輩には
お金を出させないのが私のやり方なので。
「ご馳走様です、すみません」
「いいよ」
「今度奢ります!」
「大学卒業したらねー」
だんだん寒くなってくる季節。
夜は特に冷えが神がかっている。
微かに香る金木犀の匂いが社会人になる前の
学生時代を思い出させる。
青春か〜
男の人と2人でいるのは久々だ。
私の心を少しくすぐってくれたいっちーには
感謝だな。
「気をつけて帰ってね」
「それこっちのセリフです」
「お互いか!」
「…一応!あこさん女なんだから」
「お!紳士だね〜」
「いや、まじで夜道気をつけて」
「大丈夫だよ、まだ街灯ビンビン」
帰ってきたのは23時少し前
さて、明日は朝一からの仕事がある
昼の仕事が終われば、バーの仕事だ
がんばろ
がんばれ、24歳