春也のため
もう、面倒くさい。
春也の父の言葉を聞きながら、私はそう思ってしまいました。
春也の刺激になってはいけないから、この電話も春也には言わないでくれって言われました。
じゃあ、今これを言われてる私のモヤモヤはどうすればいいの?
本当に自分の息子のことしか考えてないんだなぁと思いました。
「祐希ちゃんは、自分で決めたことをお母さんが認めてくれて、それで済むかもしれないけど、春也はやっぱり、ママの悪口は言ってもママのこと裏切ることはできないんだよね。」
だそう。
裏切るってなに?
何したら裏切ることになるの?
「俺は、春也を消防の現場の仕事に戻してやりたいって思ってるんだけど、祐希ちゃんはどう思ってる?」
この電話の中で初めて私に意見を求めてきました。
そういう印象を抱くくらい、春也の父と会話をすると、父は自身の思いだけをつらつらと並べてまくし立てるように畳み掛けるように、言われてきました。
「私は、日勤でも、現場でも、春也のやりたいことならこだわりはありません。」
病気にさせたのはあなた達でしょう。
「病気のこともハッキリさせて、早く車も運転させてやりたいんだよね。」
あぁしてほしいこうしてほしい、これはするな春也には言うなの次は、俺は親としてこうしてやりたいあぁしてやりたい攻撃ですか。
私になら言っても大丈夫って思われていたんでしょうか。
これが私にとってストレスになっているとは考えないんでしょうね。
子離れしてください………。
電話を終え、私は天を仰ぎ涙ながらに考えました。
ごめんなさい。
地元に帰りたい。
でも私が地元に帰りたいなんて春也に言ったら、また春也は悩んでしまう。
春也のことを刺激したくないから、黙っているつもりでした。




