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嫁入り前の悲劇  作者: 江戸一
再入院
29/35

すき




月曜日。



春也の意識はしっかりしているようです。



両親は、1日に2度、ICUで春也に面会します。

面会できるのは、原則家族のみとされていました。




この2度の入院で、「家族のみ」の場面が多くありました。


その度私は、

「私も家族になるのに……」

と疎外感を感じたものです。



病院でも何のサインもできないし、婚約しているのに、「彼女」という立場には何の権限もないのだと、無力感しかありませんでした。







春也が入院している間、私はよく父方の祖父母の家にお邪魔し、ご飯をご馳走になったり、祖母とおしゃべりしたりで毎日のように出入りしていました。



新しい土地でまだ友達も身寄りもない私に、祖父母はとても良くしてくださいました。





そしてこの日もいつものように祖父母の家で過ごしていると、夕方、春也の兄の光也(コウヤ)が来ました。



外食することとなり、私もご一緒することに。




祖父母と光也と私の4人で外食をしている頃、両親は春也の面会に来ていたそうです。



明日には一般病棟に移るため、私は今日は面会に行かない予定でした。



すると、春也の父から連絡があり、春也が私に会いたいと言っているとのこと。






外食を済ませると、光也に運転してもらい病院に向かいました。





ICUに入ると、春也がにんまりと笑いました。


鼻にチューブは付いているものの、昨日より管が減り、少しスッキリしていました。




「春也くん、彼女さん来たら笑顔になったね!」



今晩のICUの担当の看護師は、若い男性でした。

目が覚めてから、春也と筆談でコミュニケーションを取り、春也も心を開いていて、打ち解けたようでした。




光也と祖母とICUに入りましたが、



「春也には祐希ちゃんしか見えてない(笑)

敵わないね。」



と、笑いつつ先にICUから出ました。






私もホワイトボードで筆談しました。



「なおる?」


春也が私に問いました。



「なおるよ!」




そして私から、


「すき」













春也は泣きました。



そして、何度も頷きました。




「彼女さん来てくれてよかったね。

明日には一般病棟に戻れるし、大丈夫だよ。」



春也に、また明日と別れた後、ICUを出る前に男性の看護師から、



「今は熱もないし落ち着いてますよ。

まだ言葉が出てこないけど、焦らせないように、ゆっくり会話してあげてくださいね。」




と、にこやかにアドバイスしてくださいました。

私もこの男性看護師にとても好感を持てましたし、それは春也の両親も同じでした。





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