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嫁入り前の悲劇  作者: 江戸一
再入院
28/35

明日からが勝負





私だって、春也がこれからどうなるのか、不安で、心配で………


次に目が覚めたとき、春也は一体どうなっているんだろう。



麻酔で眠らされているだけって頭では分かっていても、婚約者がこんな状態になってしまい、私は未来を見るのが怖くなりました。



記憶がなくなってしまっていたら?

ずっと言葉が出なかったら?


楽しかった思い出も忘れられていたら?




もう、笑い合うことはできないのかな……。










ネガティヴなことしか考えられませんでした。






土曜日の夕方、少しだけ面会しました。


また、たくさんの管に繋がれた婚約者。

呼吸も脈も機械に管理されている婚約者。





日曜日、春也の両親、父方の祖父母と外食に出ました。



「明日からが本当の勝負だと思ってる。

もう一週間休みもらったから、俺が春也のこと看るから。」



春也の父は先週も一週間仕事を休み、明日からの一週間も休みをもらったそうでした。




(24時間体制にしなくても……)


と、若干、思いました。



もちろん私も春也のことが心配です。

でも、お父さんが治すわけではないのですから。

ていうより、お父さんがいたからといって良くなることでもありません。





「今まで春也には倒れるまでストレスを与えるようなことばかりしてしまったから、親として春也を治してやりたい。」



と、私によく言いました。




今回のICUが最後で、もう後はないと。







日曜日の外食を終えた後、春也の両親と面会に向かいました。




春也の様子に変化はありませんでしたが、少しだけ意識が戻っているようでした。


目が少し開き、手足をムズムズと動かしました。




それだけで涙が出ました。



この頃を振り返ると、私は涙腺が緩んでいて、ずっと泣いていました。



「春也、わかる?」



春也の手をミトンの上から握ると、握り返してくれました。


「ゆう、き、ちゃん………」



人口呼吸器が付いていても、私の名前を呼んだのが分かりました。




私の名前が分かる。

声が出る。


春也は絶対に良くなる。




少しだけ、光が見えたようでした。







私は昨日から、山田家の御墓参りと、仏壇にお線香を炊くことを毎日続けました。


「江川祐希です。

よろしくお願いします。

春也を護ってください。」



と心の中で挨拶をしました。



ご先祖様が、春也を護ってくれますように。


祈りました。




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