胸骨圧迫を彼に
明日の月曜日に受診することにして、夕方帰宅しました。
祖父母が外食で回転寿司に行ったようで、お持ち帰りで私達にお寿司をおすそ分けして下さいました。
そのお寿司を食べた頃、また、春也の右手に痙攣が起きました。
さらに、言葉が出にくくなり、春也はもどかしそうな表情になりました。
「大丈夫、ゆっくりでいいよ。」
春也の言葉が出にくくなったとき、私は焦らないような言葉をかけるように心がけていました。
「なに?何て言いたいの?」
と、問うと、春也も焦ってしまい余計に言葉がでなくなるからです。
「ごめん、ごめん、ごめん………
ぅぅううぅううぅっ………!」
私に背を向けて壁に向いている春也が、口を開いて歪ませ、痙攣しながら振り向いた。
腕も指もあらぬ方向に曲がり、倒れました。
私は驚き、頭が一瞬真っ白になりました。
そしてこの瞬間、私は何故かとても孤独を感じ、真っ暗の中で一人取り残されたような気持ちになりました。
今思えば、真っ白になったり、真っ暗になったり………。
体は固まり、浅黒くなっていく肌。
(えっ、本当に脳梗塞だった!?
呼吸できてない!?
脈止まった!?)
一瞬でこんなことを考えていました。
そして、すぐに携帯を取り救急車を要請したのです。
119に繋がる間に、胸骨圧迫を始めました。
(春也が死んだらどうしよう……!
いやだ、一人にしないで……!)
「こちら消防です。
救急ですか?火事ですか?」
「救急です!
えっ…と!
今、胸骨圧迫をしています!
ここの消防の山田春也です!
全身痙攣です!」
「山田春也くん!
分かりました。
住所を教えてください。」
私が住所を伝えると、
「新居のアパートのほうだね。
今救急車が2台向かっています。
胸骨圧迫をそのまま続けて下さい。」
「わかりました!
早くきて…………!!!」
救急車が到着する頃、春也は大きく息を吸った。
肌の浅黒さも戻っていました。
私は胸骨圧迫を中断し、汗だくになっている春也に声をかけ続けました。
「すぐ救急車くるからね!
大丈夫!一緒に病院行こうね!」
そして救急車が到着。
救急隊の方にいきさつを説明し、私も救急車に同乗し、前回入院した総合病院に行くことになりました。
救急車に乗る直前、春也の父に電話し、春也が全身痙攣を起こして総合病院に運ばれる旨を伝えました。
救急車内で春也は不穏状態となり、暴れたり叫んだりを繰り返しました。
本人の意識と関係ないとは言え、私はとても不安でした。
病院に到着し、春也はすぐに治療室へ。
春也の母は過呼吸になるほど泣き叫び、それを落ち着かせようとする父。
「私が死ねば良かったのーーーー!
私が…!私が代わりに死ぬから!
春也を助けてえーーーー!!!」
「ママが死ねば良いとかそういうのじゃないから!ね!大丈夫だから!」
そして、待合室でソファに座っている私に対し、母方の祖父は有り得ない言葉を放ったのです。




