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嫁入り前の悲劇  作者: 江戸一
退院
19/35

祖父の言葉




「まだ結婚もしてない子に対して言うことじゃない。



今までの出来事をワシは何も知らなかった。

悩みがあるなら抱え込まずにワシに言え。

じゃなけりゃまた倒れるぞ。



春也の入院中、毎日病院に来てくれて、あんな良い子いないと思った。


小遣いあげても、むすびとお茶作って持って来て、堅実だと思ったぞ。

ワシなら外食してる。



それに、春也のこんなに楽しそうな表情は初めて見た。

春也には祐希ちゃんしかいないと思ったよ。


ワシが守ってやるから、祐希ちゃんをこっちに帰って来させなさい。」








まさか、私に対してこのような言葉をかけてくれるとは思っても見ませんでした。



越して来て、祖父にも何度か会っていましたが、会話をしたことはほとんどなかったのです。





寡黙な祖父の言葉はとても力強く、私は、春也の元へ帰ろう。


そう思えました。








そしてその日の夜、祖父の家で春也と父が話し合いをしたそうです。




内容は、入院中にあった出来事についてです。

母が、私に対し言ったこと。


そして、両親は春也に対し何を求めているのか。





そこでも父は、まだ家を勝手に決めたことなどについて言及してきました。



何度話し合いをしても意味がありませんね。





春也の母が私に言った暴言に対し、父は



「祐希ちゃんが言い返してきたってママは言ってた。」



と、言ったそうです。






(言い返してないんですけどー!!

ていうか嫁のことママって言うのもいい加減やめろ!

息子も誰もあの女のことママって呼んでねーだろ!)




なに、あることないこと自分の都合の良いように言ってんの!?




考えられませんね。






話し合いはヒートアップしたようでした。



春也は退院して薬を辞めてから、不定期に右手が痺れ、唾液の量が増えるという現象が起きていました。



そして、言葉に詰まる場面が多くなりました。





薬が抜けてきているんだろうか、と誰しもがあまり深く考えておらず、時間が経てば治ると思っていました。



何の根拠もなく。




次の外来での受診のときに先生に相談してみよう。


その程度でした。





話し合いの後、疲れもあってか言葉が出づらくなり、右手の痺れも普段より増えたそうです。

























この時、もっと早く病院に行っていれば。



私も春也も苦しい思いをしなくて済んだのかもしれませんね。










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