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嫁入り前の悲劇  作者: 江戸一
2017年5月
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HCU




その日の夕方、再び私たちは病院に向かいました。


HCUで容体を管理されている春也と面会できると聞いて。



※HCU(High Care Unit)は準集中治療室、集中管理病棟、重症患者病棟で、高度で緊急を要する医療を行うための病室です。 ICUよりは軽症な患者を収容します。





私が病院に到着したときには、春也の両親は既に面会を済ませていました。



「今は、HCUで眠らされている状態だから、命に別状はないらしい。でも、現状を見ると、本当に大丈夫なのかなって不安に思うと思うけど、命に別状はないからね。」



と、涙声で何度も言い聞かせてくれました。





そして、ようやく私は春也と面会することができました。



入り口で室内と通じるインターホンで面会したい旨を伝え、両手のアルコール消毒を済ませてHCUの室内に入りました。











HCU内で眠らされている春也を見て、私は動揺を隠し切れませんでした。




様々な管に繋がれた婚約者。


機械的に酸素を送っている人工呼吸器の音。彼はこれに生かされているのだと。




今一番苦しんでいるのは彼であり、今まで抱え切れないストレスが溢れ出た結果なのだと思うと、涙が止まりませんでした。







そして、先ほどのお母さんの言葉を繰り返し、頭の中で言い聞かせました。




ーーー眠らされているだけ。



そう思っても、本当に元通り元気になるのだろうか、現時点の容体を見ると、とても不安になりました。









昼間に来ていた親戚全員で面会を済ませ、午後9時頃、病院を出ました。



「私が言いすぎたんだよね…。」


義母がそう言いました。



すると叔母が、


「これからみんなで良くしていこう?

春也がこんなに誰かのことを大切に思ったことはないよ?

私は彼女を親戚に紹介する春也を見たことがなかった。

やっぱり、これからは親じゃなくて、彼女なんだよ?」



そう言ってくれました。

そこでも私は涙が溢れ出ました。




春也も、私を守ろうと頑張ってくれていたんだと。








アパートに帰っても、考えるのは春也のことだけ。





私は春也との交換日記を手に取り、綴りました。



5月1日


今日は3回病院に行った。


麻酔で眠らされてるだけとは言え、すごく不安だね。

管だらけの春也を見るのは辛い。


もう会話が出来なかったら?

もう目が覚めなかったら?

また一緒に笑い合うことができるの?



早く目を覚ませてほしい。

会いたいよ。



この1か月間、環境が一気にに変わって色んなことがあったね。


私が春也の家族と上手く付き合っていけるか、たくさん心配してくれた。

春也もたくさんストレス抱えてたんだよねって思うと、申し訳ない気持ちでいっぱい。



家族のこと、私のこと、新しい職場のこと。



春也は、相談できる相手がいたのかな………?











春也と私は付き合いたての頃から交換日記をしていました。


文字を通じてお互いの気持ちが、わかるように。




私は、春也がこの交換日記を読むまで、毎日書き続けることにしたのです。







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