見知らぬ世界から
目を覚ますと、視界に入ったのは白い天井ではなかった。
目の前に広がる雲一つない青空。と、見たことのない三角形の葉っぱ。背中には柔らかいベッドの感触ではなく、硬い何かが当たっている。
急いで上半身を起こすと、そこは先程までいた自室ではなく、三角形の葉っぱの生えた背の高い木が立ち並ぶ見たこともないどこかだった。
夢だ。そう思って、頬を引っ張ろうと、右の掌を見ると、茶色い砂のようなものがついている。なるほど、俺は土の上に寝っ転がっていたらしい。それに、先程感触があった時点で夢でないことは証明されていたではないか。
俺はゆっくりと立ち上がった。見回すと、左右、そして背後には、大量の木が生い茂っており、そちらには進めそうにない。だが、反対に正面にはまるでそこを進め、と言うように雑草1つ生えていない一本道が続いている。非現実的且つ、絶望的な状況に、俺のSAN値は3減少した。
進むしかないのだろう。恐る恐る、俺は1歩踏み出した。左右からどどん、と獣が出てくることも、床が落とし穴になっていて、落ちることもなかった。ホッとした俺は、ゆっくり歩き出した。
何が起こっている?これはどういう状況だろうか。異世界トリップというやつだろうか。寝て起きたら異世界なんて、なんてベタな展開だろう。しかし、こうも機嫌の悪い時にトリップしなくてもいいのに。
色々と模索していると、いつの間にか、歩調が速くなっていた。そして、視界のものすごく先に道が2つに分かれているのが見えた。よし、あそこまで頑張ろう。