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フランによる説明【1】

遅くなって申し訳ない

多少長くなってますので気を付けてくださいね

お風呂場にて


ルピとフランはお互いに洗いっこをしていた。


フランは洗い終わり、今はフランがルピの背中を洗っている。


「フランちゃんはお風呂に入ったりするの?って今更だけどフランちゃんって呼んでいい?」

「構いませんよ。お風呂に入ったことはないですね。オートマタなので基本的には魔法で綺麗にしています」

「なるほど。うーん、敬語口調もありなのかな?容姿と言葉のギャップが・・・」

「すみません」

「いいのいいの。それもそれでありな気がしてきたから」

「ありがとうございます。あ、お湯かけますね」

「ありがと。じゃお湯に浸かろっか」


二人ともとても綺麗な肌で濡れているのが凄く艶めかしい。

フランは成長することが出来ないが、オートマタとしては完成されてると言って良い体つきをしている。

ロリっ娘体系だが・・・

ルピの方はスタイルが良いので出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んでいる、魅力的な体つきだ。

サフィの彼女として自分を磨いているのだろうか、羨ましい事この上ない。

そんな二人は結構広いお風呂に一緒に浸かる。ちょっとだけ距離が空いているのはいるのは仕方ないだろう。


「いいお湯ですね」

「フランちゃんってお風呂の良さとかわかるの!?」


そう零したフランに対してルピが突っ込む。


「いえ、お風呂に入ったことは初めてですが、お風呂にはこう言う台詞が良いと知識にありましたので。

それにお湯の温度と成分から体に良い事は確認できますから」


手にお湯をすくいながら言う


「へぇ、成分とかもわかるんだ。流石オートマタね!」


オートマタの機能に素直に感心するルピ


「ねぇ、気になってたんだけど腕のその模様は何?」

「これですか?」


ふと思いついたように言うルピに、右腕に刻まれている模様を見せながら言う。


「これは私たちオートマタの証みたいなものです。髪の色で区別している人もいますが、実際髪の色は変えようと思えば変えれるのでこうやって消せない模様を刻んでいるんですよ」

「そうだったんだ。サフィから髪の色がピンクなのは染めないとあり得ないからとか何とか言ってたから髪の色で判断するんだと思ってた」

「でも髪の色を変えるなんてそうそうしないので間違ってはいないですよ」

「そうなんだ」

「それで、この腕の印は私の型番を記したものですね。F-9と言う文字なのですが普通の人には読めなくて、私達オートマタと私達を作った人しか読めないようになってます」

「なるほど。パッと見ただのオシャレにしか見えないけど、そんな意味があったのね。後でサフィに教えてあげなきゃね。あ・・・」


と、何かを思い出したルピはちょっと固まってから言葉を慎重に選びつつ尋ねる。


「あの、フランちゃんを作った人で思い出しといてなんだけど、一つ聞いていい?」

「なんでしょう?」

「マスター変えたりして怒ってないの?」


恐る恐る聞いてみるが


「別に怒ってないですよ?」


少しの溜めもなく即答する。


「私はマスターとの繋がりは特にありませんでしたし、実働テストとして門番を任されてましたから、人に対して警戒はしますが怒ることはないです。マスターは居なかったようなものですから」

「マスターが仮登録されてた状態みたいな感じかな?」

「はい。マスターは作ってくれた人ですが正式に登録はしてませんでした」

「そうなんだ。実働テストって言うのは?」

「私はあの研究所で作られた内の一体で、動作確認が終わった後に門番として最後の動作テストをしていたのです。最終的にテストを終えることは無かったですが・・・」


遠い目をしながら寂しそうに呟く。


「そうだったんだ」

「はい。話すと長くなりますので、サフィ様と一緒に聞いていただいても良いですか?」

「そうね。そうしよう!私だけ聞くのは不公平だもんね」


ザバァッと勢いよく立ち上がりお風呂場を出ていこうと歩き出す。それに少し遅れてフランも付いていく。


「それじゃ、リビングに向かいましょう」

「はい」


お風呂場を出て、魔法で体を乾かして腕輪に入っている服を着る。そしてあることに気づく。


「あ、フランちゃんの服どうしよう・・・」

「お気になさらずに、私は裸でも問題ないですので」

「いやいや、それは流石に倫理的に問題があるから!急いで服探してくるからちょっと待ってて!」


バタバタと走って服を探しにお風呂場の脱衣所を出ていく。そして少しして戻ってきたルピの手にはお気に入りのワンピースが握られていた。


「持ってきたよ!サフィに頼んでサイズ調整の魔法かけてもらったからこれ着て!」

「ありがとうございます」


流石に小さい子が着るような服はなかったので、先にシャワーを浴び終わってリビングで情報を整理していたサフィに頼んで、ルピお気に入りのワンピースに魔法をかけて小さくしてもらったのだ。

お気に入りと言うだけあって予備が何着もあったりする。服のバリエーションもそこそこにあって、本当に気に入っているんだとわかる。それはさておき


「やっぱ似合うわね!」


満足そうに力強く頷く。

ワンピースを着たフランはお人形さんのようにとても可愛くなり、髪の色と金に近い目の色が服の白と相まって凄く目立ち、幼さが薄まり逆に大人しそうな雰囲気を醸し出している。

ちなみに下着も小さくしてもらっていて、サフィが恥ずかしがりながら魔法をかけたのは言うまでもない。


「私の為にありがとうございます」

「こんなに可愛い子が真っ裸なんて絶対駄目だから!さ、リビングに行きましょう」

「はい」


そしてやっと脱衣所から移動する二人。リビングに着くとサフィはまだ情報を整理していた。

サフィの目の前には色々なモニターが浮かんでおり、その中に文字や図形などが浮かんでいる。


「お待たせ」

「お待たせいたしました」

「おかえり」


そういってモニターを一旦消すと、サフィは改めて二人を見る。


「二人がそうやって並ぶとなんだか姉妹みたいだな」


同じ服を着ている二人は姉と妹と言うとこだろうか。


「姉妹か。私に妹が居たらこんな感じなのかな」

「ああ、二人とも可愛いよ」

「ありがとうございます」

「あ、ありがと」


素直にほめ言葉を受け取るフランと恥ずかしがりながらお礼を言うルピ。

彼女のはずだが、まだ褒め言葉には慣れていないようだ。


「さて、じゃあフランに説明を、といきたいところだが。先にご飯にしないか?」

「あ、そういえばまだお昼食べてなかった」


探索に出かけてから結構時間が経っているが、時刻はおやつ時でお昼には少し遅い時間と言えるだろう。


「私が何か作りましょうか?」

「お、フランは料理が出来るのか?」

「じゃあ私と一緒に作りましょ」

「そうだな、うちの料理担当はルピだからルピに教わりながら作ってくれると有り難い。

俺はまだ情報の整理があるし、地形の確認とか他にも色々あるから任せていいか?」

「お任せください」

「了解。適当に作るわね。じゃ、キッチンはこっちにあるから行きましょ」


フランにどう言った料理のレシピを知っているかなどを聞きながらキッチンへ向かう。

キッチンはあまり広くはなく、大人数を作るようには想定されてないので普通のサイズといえよう。


「さかなを使った料理とか出来る?」

「そうですね、千年前の魚ならともかくとして今の魚は昔と違って結構変わってきてますから味の保証は出来ないです」

「そっか、じゃあ仕方ないね。さかなを使った料理はまた今度にして、今回は私の得意料理にしよう!」


そう言って冷蔵庫から食材を取り出す。取り出したのは肉と野菜、そしていい香りを放つ香辛料。


「この材料だとカレーですか?」

「正解。やっぱり定番よね。でも私のカレーはこれにもう一つ材料が加えるの」

「もう一つですか?」

「じゃあ問題です!カレーに入れる隠し味。さてなんでしょう?」

「え、えーっと・・・」


自分の知識からカレーに関する情報を引き出す。隠し味と言えば定番はリンゴなどの果実やハチミツなどが妥当だが・・・

ルピが自信満々に問題を出すからにはもっと特殊な物だとフランは当たりを付けて


「答えは・・・ローストしたクルミですね?」

「・・・・・え?ローストしたクルミ入れると美味しくなるの?」


確かに香りや食感などが加わり美味しくはなるが、どうやら答えは違ったようだ。


「ええ、出来上がったカレーに後から入れると食感などが良いらしいと知識にあったのでそれかと思ったのですが、どうやら違ったようですね」

「ふふん。フランちゃんにはわからなかったようね!正解は・・・・【チョコレート】よ!」

「え?」

「まさかカレーにチョコを入れるなんて思わないでしょ!」

「えーっと・・・」

「チョコレートを入れるとコクが出て美味しくなるの!」

「あのー、非常に言い難いんですが・・・」

「ん?何?」

「カレーにチョコは隠し味として普通に使われてましたよ?」

「な!そ、そんな・・・私だけが知っていると思ってたのに」


キッチンに手をついてうなだれるルピ。傍から見ると可愛そうに思えるが、チョコは常識なので仕方がない。


「その、なんというかすみません」

「チョコなんて高級品をカレーに入れるなんて信じられない!って皆に言われて、特別な日にしか入れて食べないようにしていたのに・・・それがまさか普通に使われてたとか・・・普通に使われてたとか」

「海に沈む前はカカオも普通に栽培していたので、チョコレートは安定して供給していましたよ。今はどうなっているかわからないですが」

「そ、そうよね。今は海に沈んでるけど普通に栽培はされてるよね。そうだよね、コロニーでの栽培が少ないだけだよね・・・」


陸地が限られてるんだから少ないのも当然よねとぼやきが止まらない。

そんな現実を突き付けられたルピに、これじゃあ料理が進まないと悟ったフランは


「昔には戻れないですが、また新しい食材を見つけましょう!もしかしたらチョコより美味しいものが見つかるかもしれませんよ!」


その言葉にハッと顔を上げる。


「そ、そうだよね。チョコより美味しい食べ物がある筈よね!よーっしそうとなったら早くカレーを作ってまた探索に出かけなくちゃ!」

「そうですよ!私は門番としてずっと立ってるしかなかったですけど、きっと世界には美味しい食材が溢れてますよ!」


オートマタに励まされ元気になったルピはフランと一緒に手際よくカレーを作り上げるのであった。

煮込むのは魔法で圧力をかけるため、手早く食材に火が通り早く美味しく作り上げられるのである。

魔法とはかくも偉大なものなのだ。


「チョコも入れたし、ローストクルミも入れてみたし、結構美味しくできた!ありがとねフランちゃん」

「どういたしまして」


そして二人は、カレーと付け合わせに作ったサラダを持ってサフィの待つリビングへと向かう。


「お、早かったな。この匂いはカレーか?」

「お待たせ。サフィの好きなカレーだよ」

「お待たせしてすみません」

「良いって良いって。丁度一段落したから。それよりも早く食べようぜ、もうお腹が限界だ」

「それもそうね、じゃあどうぞ」

「「いただきます」」


カレーに手を付けるサフィ。二人はその反応を見ている。


「ん?今日のカレーはなんかいつもと違うな」

「わかる?」

「なんかいつもと香りが違う気がする」

「ふふん。今回はフランちゃんのお勧めでローストクルミが入ってるんだよ」

「なんでルピが誇らしげなのかはわかんないけどすごく美味しいよ。て、なんだか二人仲良くなってるな」

「そうね、お風呂と料理を一緒にして仲良くなったよね?」

「はい」

「そうかそうか、それは良かった」

「私も食べようっと」


食事を続ける二人。フランは傍でその様子を見ている。


「そう言えば、フランちゃんは食事って出来ないの?」


立っているだけのフランを見て問いかける。


「そうですね、私は食事は必要ではありませんが、魔力の補給を受けないと活動は出来なくなりますね」

「そうなんだ。どうやって魔力の補給するの?」

「食べながらで結構ですのでそこら辺の話をしますね」


サフィはある程度知識はあるが、ルピは全くと言って良い程オートマタのことはわからないので、素直に説明を受ける。


「えーっと、何から話せばいいのか。まず私達Fシリーズは、ここで最後に作られたオートマタと言うことになります。それは何故かと言いますと、作られてからそう時間が経たずに海に沈められたと言うことから考えました。ここまでは良いでしょうか?」


なるほどと頷いているのを見て特に質問もなさそうなので話を続ける。


「そして世界が海に沈められてからは、海の水に漂う魔力を取り込んで門番として活動していました。

ルピ様にはお風呂で言いましたが、私は作られてから動作テストを終えて最終テストとして門番としてあそこで立っていました。そして何事もなく門番として活動していたのですが、あの日が来ました」


あの日、そう世界が海に沈められた日の事だ。



「あの日はとても天気がいい日でした。街はいつもと変わらずに活動をしていて、特に変わり映えしないいつも通りの日でした。しかし、昼を過ぎた頃に天から声が降ってきました。

『業深き者たちよ!私が前に発した最終通告を無視して己を悔い改めなかった為神罰を執行します』

そういう言葉があった後に大量の水が街の外から流れてきて全ての人を押し流しました。

私や建物、動物達などに影響は無かったので、本当に人だけを流していったのでしょう。

今まで傍にいた人たちが流されて消えていく様は、とても凄惨で人は苦痛に歪んだ表情を見せて消えて行きました。大人も子供も関係なく全ての人が水に消えて行ったのです。

正直あまり見たくはない光景でした。

門番として何もできない私は、ただただその光景を眺めているしかできません。

何故人が流されたのか、前に発せられた最終通告が何だったのか。

作られたのが遅かった私にはわかりません。他のオートマタ達なら何かを知っていると思いますが・・・

そして人が居なくなり水が全てを飲み込んで、人のいない街だけがここに残りました。

あとはお察しの通りに私はずっと門番として街を眺めるしかなかったというわけです。

門番のテストとしての命令が終わらない以上何もできない私はずっとあそこにいたわけです。

そしてサフィ様達と出会って今に至るわけです。何か質問はございますか?」


フランの説明を聞いている間に食事は既に終わっており、二人とも素直に話に聞き入っていた。


「人が流された光景っていうのは想像したくないけど、相当凄かったみたいね」

「ああ、海に沈んだ経緯はなんとなくわかった。歴史書で読んだ通りの内容みたいで相違は無いな。ただ一つ気になるのは・・・」


そう言ってちょっと考えたあと言葉にする。


「人の業が深かったという割に、この街はそこまで酷くはなかったと言うとこかな。フランが見た限り何か気になってたとこはあるか?」

「それは確かに気になるかも」

「そうですね・・・」


その時の光景を思い出す。


「私が街を見ていた限り変わったところは無かったですね。ただ一つ気になった事は、貧富の差が激しかったとこですかね」

「貧富の差?」

「はい。この街は多種多様な建物があったと思いますが、比較的木造の建物が多かったと思います。あれは予算と人手が少なく作れるので、簡易的な作りになっているのです。

そしてそこに住んでいる人達は基本的に貧しい人たちが住んでいる場合が多かったですね」

「なるほど、建物の違いは身分の違いと言うわけか。それにしては色んな場所に木造の家があった気がするんだが、貧困層と富裕層で隔たりは無かったのか?」

「特に隔たりは感じられませんでしたね。普通に活気はありました」

「そっか」

「はい。街で気になったところはそこだけですね」


あまり詳しい事情はわからないのが残念だが、歴史の一部が知れただけでも良しとしよう。


「後はずっと門の前で立ってたわけだな。お疲れフラン」

「お疲れ様」

「はい。ありがとうございます」


深々と頭を下げるフラン。その表情はとても嬉しそうで、千年近く一人でいたフランにとって何よりの喜びの言葉だった。


「さて、食器を片付けてから街のことをもう少し詳しく教えてもらおうかな」

「情報として記録していった方がいいもんね」

「かしこまりました。では片付けは私が」

「私もやるよ!」

「頼んだぞ。その間にさっきの話も纏めておくから」

「はーい」


ルピとフランは食器の片付けに、サフィは情報の整理に取り掛かるのであった。

お風呂回と説明を少し入れました。

次は街の説明ですね。街の探索を進めるとこまで行けるといいなー

拙い文章で本当に申し訳ないm(_ _)m

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