オートマタ
ちょこちょこ文章を改変していくかもしれないのでご了承ください。
宇宙船のお風呂場はかなり広く作られている。
流石にオートマタをお風呂の床に直で置くわけにも行かず、テーブルを出してその上に寝かせる。
「さて、まずはこの海草をどうにかしないとな」
オートマタに手を翳し魔力を使いクリーン魔法を発動させる。掃除などに使われるクリーン魔法。その使用方法は多岐にわたって使われており汎用性が高く、コロニーの住人なら誰でも使えるし、詠唱や魔法言語等は必要ない。床のごみを一ヶ所に集めたり、体に使えば表面の汚れを落とすことも可能だ。掃除と言えばクリーン魔法。これがアクエリオスの常識となっている。クリーン魔法でオートマタは体の汚れを落とされた。すると海草に覆われていた身体は徐々に綺麗になっていき、緑の下から少女が現れた。服と思しき物などは汚れと一緒に落としてしまったのでオートマタは生まれたままの姿である。
「キャーッ!サフィあっち向いてて!」
「え?でもオートマ・・・「良いから!!」」
肩を掴み有無を言わせず後ろを向かせる。サフィは気にしてないようだが、ルピは気になるようで慌ててバスタオルを取ってきて身体に巻き付ける。
「もう、少しは察してよ!」
「でもオートマタだし大丈夫だぞ?」
「そう言うことじゃないの!ここは黙って見なかったことにするのが男でしょ!」
「わかったわかった。で、もうそっち向いていいか?」
「・・・・いいよ」
ルピの許しが出たので改めて見てみる。そこには、人とオートマタを区別するために髪の色をピンクに染めた、まだあどけなさが残るような幼い少女が居た。
「うーむ。千年前にしては作りが精巧だな」
千年前に人が居なくなったと言うことはそれ以前に作られたと言うことであって、経年劣化対策の魔法が掛かっているとは言えここまで綺麗なのは正直言って信じられない。
「ここまで綺麗なオートマタは始めてみた。コロニーのはここまで精巧な作りしてないからな、しかもこれが約千年前に作られたんだろ?尚更信じられない。どうしてここまで綺麗なのか調べたいけど、まずは各部のチェックだな。『魔法陣展開』」
サフィはオートマタの真上に魔法陣を展開する。機械や作られたものなどに用いられるのは魔法陣を使う。魔法でやってしまうとその物体と反発してしまい上手く働かない。だから魔法陣を使い、一旦その物体とのパスを繋げる必要があるのだ。魔法陣の開発は凄く難しいが、作成されたものは『一応』誰でも使える。ちなみに今展開している魔法陣は腕輪に保存されているものを出力しているだけだったりする。魔法陣を展開するだけなら誰にでも出来るが、どう作用するのか等の色々な知識が無いと展開だけして発動しないなんてのはざらにある。つまりそう言った専門の技術があってこその魔法陣だ。全ての魔法は魔法陣として作れるが、使えるかどうかは己の知識次第と言うことだ。
「サフィのはいつ見ても綺麗な魔法陣ね」
「魔法関係はとことんまで追及したからな。と、喉がやられてるだけだな。声帯付近に海草がはり付いてて機能不全を起こしてるから声を出せなかったか」
「喉に海草が生えてるとかなんてホラーよそれ」
「海水は魔力が豊富だからな。独自に進化してオートマタの自動修復機能を上回ったんだろ」
事実その通りで、海の生物達は独自に進化をしている。海草などは一定の場所で育ち、ある程度成長をすると自分で動き始めたりするし、それを食べる魚達も独自に進化を遂げているのは言うまでもない。
余談だが、オートマタには有機物を内部で消化や分解する機能がないのでそれも影響していたりする。
「喉の機能自体は海草を取り除けば大丈夫そうだな・・・よし完了っと。あとは、マスター権限を変更しておくか。そうしないと攻撃されそうだしな」
「そうね。攻撃されたら・・・・・まぁ大丈夫だろうけど」
「念には念をな。マスター変更はこの部分を変えてと、後は命令系統も少しいじっておくか」
展開している魔法陣の文字を少しづつ変えて行く。
「完了だ。じゃあ起動するぞ」
「一応結界張っておいた方が良いんじゃない?」
「だな。『結界』」
オートマタを中心に結界を張り、サフィの『起動せよ』の言葉でオートマタは目を覚ます。
「調子はどうだ?」
「マスター?あ、声がちゃんと出る!」
「新しいマスターのサフィだ。声は戻しといたよ」
「ありがとうございますサフィ様!よろしくお願いします!」
「私はルピ、よろしくね」
ルピはそう言って近づくが、結界を張っていることを忘れて頭をぶつけるルピ。
コーン!ととても良い音がお風呂場に鳴り響く。
「イタタ、結界張ってたの忘れてた・・・」
「『解除』結界を張れって言ったのはルピだろ」
「うぅ」
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫」
頭をさすりながら改めてちかづくルピ。
「そう言えばあなたに名前はあるの?」
「わたしの製造番号はf-9番です。名前と呼ばれるものはありません」
「名前は無いのね」
「オートマタに名前なんて余程の愛着が無いと付けないからな」
「呼びにくいのでしたら新たに付けて頂いても構いません。それを正式名称として登録いたしますので」
「新しくマスターになったんだからサフィ付けてあげたら?」
「・・・・・」
しばし考え込むサフィ。
「・・・・・よし決めた。お前の名前はフランだ」
「フランですね。承りました。『フラン』で登録いたしました」
「ねぇ、なんでフランなの?」
「安直なんだけどフォレスタとアトランタから取ってつけた」
「取って付けるんだったらフォランな気がするけど。語呂的には良いと思う」
「名前を付けて頂きありがとうございます。私の名前はフランです」
「よろしくなフラン」
オートマタのフランが仲間になった。
「名前も付けたし各部のチェックも終わったし、後はルピに任せるよ。流石にずっとここで話すのもあれだしな」
「そうね。ついでに私もお風呂入るからサフィは外で待っててね」
「お背中お流し致します」
「言葉固いよフラン、もっと砕けた感じで良いよ」
「そうだぞフラン。もっと砕けて喋るように!」
「わ、わかりました」
「そそ。じゃ、後は任せてね」
「おう。任せたぞー」
おしどり夫婦の様なやり取りを交わした後、お風呂場にルピとフランが残ってサフィは出て行くのであった。
良くある名前のフランちゃん
フォランだとなんかしっくりこなかった・・・
さて、次回はフランちゃんによる説明回だー!
頑張るぞー
更新遅くて申し訳ないでござる
読みにくかったりしたら感想からお願いします
なるべく改善します!
のんびり更新ですので気長にお待ちください