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第15話 城下での少女たち

【15】

 少女は息を切らし、顔を真っ赤にしながら懇願した。それを聞いたポピーはニコニコと微笑んでいた顔から、ふっ、と笑みを消すと、自分の傍らに置いていた小さめの鞄を掴みとり、ミズキに向き直った。

「ヒメ!」

「うん、行っておいで」

 ミズキの答えを聞くや否や、ポピーは弟の為に駆けてきた少女を腕に抱えると朝市で人々がごった返す通りを縫うようにして駆け抜けていった。

「え……一人で行かせていいのか?」

 あっ、という間の出来事にポピーの消えていった方を指さすと、もう誰もそちらの方を見てはいなかった。

「いーの、いーの、あたいらが行っても何もできないし、ポピーに任せてれば大丈夫」

 アスターは淡々と答えると、片付けが終わったのか大きく伸びをした。

「よし。それじゃあ、あたいも行ってくるね、ヒメ」

「はいよ」

 そういうとアスターもどこかへ消えていった。

「……どこいったんだ?」

「学校に行けない子供たちに勉強を教えに行ったんだよ」

「え、あいつが!」

 俺に対して失礼な物言いしかできないアスターが小さい子供相手に勉強を教えているところが想像できず、眉間に皺を寄せるも、

「あら、アスターはいい先生ですわよ?」

 その様子を見たことがあるのかカライは少し俺を責めるように言った。

 カライの弁護を聞いてもやはり子供にやさしいアスター先生が想像する事が出来なかった。えー、と思いながら声のした方に顔を向けると、カライ、ソウはそれぞれ手に様々な工具を持って、カチャカチャ、と何かをいじっていた。

「……何をしているんだ?」

「何って」

「修理ですわ」

 双子はその修理(?)に忙しいのか不思議そうに首を傾げる俺に見向きもしない。

すると、なぜそのようの事態になっているのか、いまいち理解できない俺にまたもやミズキが助け舟を出してくれる。

「さっきの市の間に依頼があったんよ。二人は機械関係に強いけんね」

 器用に工具を扱う双子を見て、ふ~ん、と何となく納得する。

「そういえば、アビスは?」

 そのまま周りに目を向けると、あんなに目立っていたアビスの巨漢がいつの間にかいなくなっていることに気が付いた。

「アビスもさっき、荷物運びを手伝ってくれって、じじ、ばばに呼ばれたよ。見た目通り力持ちだから」

 アビスもきちんと報告してから出かけたのか、ミズキはよどみなく答えた。

 ポピーは病気の子供を診に、アスターは学校に通えない子供たちに勉強を教えに、カライとソウは頼まれた機器の修理、アビスはその巨漢を生かした荷運び……皆、誰かに必要とされている。

 ただの孤児で、口と態度の悪いだけの連中ではない。

 今更ながらにそんなことに気が付くと、得意分野もなく、人に必要とされることもなく、ただ毎日を無気力に生きていた俺は果たしてこいつらに助けてもらう価値はあったのかと不安になる。

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