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願い事

作者: ひだまり

恋人との記念日だった今日、ー記念日と言っても、正式な記念日ではなくて毎月恒例の付き合った記念日の日にちにお祝いしているのだがー私はケーキを作り彼が行こうと言っていたサイクリングの為に家事を朝から済ませる



手帳には今日の日付がハートマークで囲まれていて、「7ヶ月記念日」と書かれている



もう7ヶ月も経ったのか、あっという間に月日は過ぎる事を改めて実感する



ちょうど恋人の休みの日が記念日に重なったので今月の記念日は恋人とずっと一緒にいられる、これも恒例となっている今月のプレゼントは、恋人からは折りたためる自転車を、私からはネックレスをプレゼントした



一緒に住んでいるのでプレゼントをこっそり買うよりはお互いに欲しい物を、ということで、記念日が近づくとお互いに何が欲しいか相談しあうのも、楽しいひと時



華奢なネックレスなのだけど、華奢な身体つきの恋人にネックレスは良く似合っていて、そしてそのネックレスはクリスマスにプレゼントされたペアリングと同じシリーズ、だから私は、良く似あうその首元を見ると他のプレゼントを使ってくれている時より嬉しくて、にっこりしてしまう



華奢とは言え恋人は太った、太ったと言ってもまだまだ、普通の男性からしてみれば痩せているのだけれど



出会った頃の恋人はガリガリで、聞けば食事もちゃんとしたものを採っていなかった、1食はお菓子だけとか菓子パンだけとか、一人暮らしで料理をしないので食生活がめちゃくちゃだった、加えて恋人は不眠症でもあり、ほとんど眠っていなかった



私と恋人は生まれ育った所がかけ離れている、育った地域によって味覚もかなり違う、それでも恋人は、おいしいと私の作る食事を残さず食べてくれる、口に合わない事だって必ずあるのだろうに



そうして太った恋人を見て私はまた嬉しくなる、恋人はもう、今日1日の予定を全て終えて私に抱かれる様にして眠っている、最初こそ私が腕枕される方だったのだけど私は腕枕が苦手で、いつからか私が腕枕してあげる事となった



一緒にいたら安心してよく眠れると言っていた恋人は本当によく眠る様になった、きちんと食べて良く眠る、健康的な暮らしを送れる様になった恋人の、たくましくなった上半身に見とれながら抱きしめる



初めて出会ったあの日、正直な所私は恋人に対して何とも思わなかった、顔立ちはきれいでもてそうだなとは思ったものの、まぁ、わかりやすく言えばタイプではなかった



年上の大きい人に魅力を感じる私には恋人は痩せすぎていたし、後から年齢を聞いて年上とわかりびっくりしたのだが、しばらくの間年下だと思っていた



あの時のガリガリな男の子を思い出す、今私の胸の中で眠る恋人とはまるで別人の様な印象の、あの男の子



優しげだった物腰は付き合い始めてさらに優しさを増し、私にとってはもう、この人以上に優しくて私を想ってくれる人はいない様にさえ思える



思いやりあえる人と暮らすというのは、こんなに幸福なものなのだと、初めて実感として理解した



赤いランプに照らされた寝室で恋人を胸に抱きながら願う、ただこの人との永遠を



























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