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プロローグ 夢
少年は夢を見ていた。
しかし、夢の中身は思い出せない。
少年は溜め息を零し、窓の外を眺める。夢の中身は思い出せないが、とても幸せだったような気がした。現実の自分とは違う幸せな生活だった。
少年には家族が居ない。
少年には生まれる前から家族というものがいないことは確定していた。物心の付いたばかりの少年はその事を聞かされた。しかし少年は、ふ~んと言って興味を無くしてしまった。
少年は虚勢を張っていた。
少年は寂しかった。自分の周りに居る大人は自分とは赤の他人。だが、自分が生きていけるのはその人たちのお陰だ。その人たちに我侭をしてはいけないと、幼いながらも少年は気を使っていたのだ。
少年は知っていた。
叶う夢と叶わない夢があることを。
少年には家族が居ない。出来ない。これから先、未来永劫、一生。
不条理だと、インチキだと、間違いだとは思わなかった。
それがこの世界で、真実で、現実で、
答えだから。
1話は三日以内に投稿する予定です。
一応言っておきますが、主人公最強ではありません。悪しからず。