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帝国年代記:帝国対連合 Reich Chronik: Reich Gegen Union  作者: 鬼野宮マルキ
帝国からの脱出 Flucht aus dem Reich

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儀式 Ritual

第二章開始

先代皇帝の時代

アーモニア帝国、オストロニア辺境伯領【旧レインズ辺境伯領】

領都カブレンズ市・カブレンズ城

旧皇帝歴10年1月03日【新皇帝歴より4年前】

夕方17時15分頃


ジェルミン・ゴブレス辺境伯は自分の執務室の机に座り、ため息をし、その顔はひどく疲れていた。父親の死去により辺境伯になってはまだ7年目で領内の問題が山積みだった。


以前はマテルーニヒ家の領土だったが、先代で病弱だった皇帝陛下に対して反乱を起こしたため、マテルーニヒ家は断絶、子供を含む全員処刑され、小さな商業都市のレイドン市を含むレイトン郡の領主で伯爵だったジェルミンの父、ヘイドリッヒが先代皇帝陛下の命により、領土及び称号を繰り上げで引き継いだ。


オストロニア地方の冬は厳しいものだった。常に食種が不足していたのを含めて、人口が多かった。特に人族以外の領民が大多数を占めていた。


辺境伯という称号が自分の肩に重くのしかかり、30歳になったばかりというのに、苦労で頭の一部がさみしくなり、将来はかつらをかぶらねばならないとジェルミンは危惧していた。


執務室の大きな扉がノックされ、彼の参謀であるジェアヒム・ヴァン・レイベンドロップ子爵だった。


「レイベンドロップです、辺境伯殿。」


「入りたまえ。」


儀式リトゥアールの準備が完了しました。」


「わかった・・・ありがとう、今行く。」


子爵が執務室を後にし、ゴブレスは軍服を直し、会場へと向かった。


城内の巨大な地下室に儀式リトゥアールの会場が設置されていた。

大きな魔法陣が描かれていた。周りに30名の魔導士マギーが既に呪文を詠唱していた。


辺境伯は領内に限らず、近隣の地域や隣国の高い魔力ツァオバー・クラフト魔導士マギーを種族問わずに、この儀式リトゥアールを5年かけて集めた。


そしてこの儀式リトゥアールが成功すれば、魔導士マギーの魔力が尽きた後、秘密を守るために全員を葬る計画を練っていた。


「辺境伯殿、こちらへどうぞ。」


レイベンドロップ子爵は案内した。


「問題ないだろうな?」


「抜かりがありません・・ご安心ください。」


30人の詠唱の声量が段々と大きくなり、魔法陣の中心から黒い液体が噴き出し始めた。


「なんだあれは?」


「ご安心ください・・・その黒い液体は魔法陣を覆えれば、終了するのです。」


黒い液体は粘々したもので無臭だった。ゆっくりと魔法陣を覆われ始めた。


時折青い稲妻が走り、大きな音を立てていた。


30名の魔導士マギーの一斉詠唱が更に大きくなり、魔法陣の真ん中に更に粘々とした黒い液体が上へ噴き出し、人の形を取り始めた。


「成功したか?!」


辺境伯は興奮していた。


人の形をした黒い液体はまるで冷却されたかのように一瞬で固まったかものの、すぐに中から崩れ落ちていった、崩れていく部分から冷たい青い光が放たれた。


その青く、非常に冷たい光が巨大な地下室を照らした。

辺境伯、その参謀、護衛の兵士と30名の魔導士マギーたちが目をつぶった。


数秒が経ち、全員はゆっくりと目を開け始めた。

魔法陣の真ん中に一人の初老にさしかかった男性が立っていた。


男性はフィールドグレーの軍服を着ていた、左腕の部分には金色の鷲章をしていた。

右手にこの世界にない種類の魔法マギーピストーレのようなものを握っていた。左手に軍服の同色の帽子を握っていた。


男の軍服は少し乱れていたものの、整ったちょび髭と髪型、困惑している深い青い目をしていた。


「ここはどこだ?」


男はアーモニア語に似た言葉を発した。


「ようこそ・・・私はジェルミン・ゴブレス辺境伯、アーモニア帝国の貴族で貴方を召喚したものです・・・勇者ヘルト様・・・」


ゴブレス辺境伯は参謀と護衛兵の制止を振り切って、魔法陣のすぐ外に立った。


「召喚?」


「はい・・・わが帝国ライヒは大変な不況に落ちていて・・・勇者ヘルトである貴方様の助けが必要なのです・・・」


「さっぱりわからない・・・ここはドイチュラントじゃないのか?」


「ここはアーモニア帝国のオストロニア辺境伯領です。」


男は魔法マギーピストーレのようなものをホルダーに戻し、帽子をかぶった。そして周りをゆっくり見始めた。


「ドイチュラントには似ている気がする・・・私が政権を取る前のドイチュラントには何故かそう思える・・・」


「助けてほしいのです・・・わが帝国ライヒは崩壊寸前です。」


「わが民族の神は私に2度目のやり直しの機会を与えてくれたようだ・・・」


男が独り言を呟いた。


勇者ヘルト様・・・」


「先ずは何かを食べなければ・・・」


「すぐ食べ物を用意します!!」


辺境伯は慌てて声をかけた。


「不要だ・・・私に必要なのは別のものです・・・今は私の頭の中に何を食べればよいのかわかった・・」


男は両腕を横に伸ばした。指の先端から複数の青い稲妻が放たれた。


青い稲妻は魔力消耗で疲れ切っていた30名の魔導士マギーたちを捉えた。

悲鳴を上げることなく、一瞬で焼かれて、炭化し、灰となり、地下室の床にばら撒かれた。


「もっと連れてこい・・・特にメンシュではない者をたくさん連れて来い・・・私の回復には必要だ!!」


「はい!!・・・勇者ヘルト様!!このジェルミン・ゴブレス辺境伯が貴方様のため、全力を尽くします!!」


畏怖、喜び、敬意の感情を入り混じった顔の辺境伯は子爵を含む部下に命令を出した。


転移してきた男は?

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