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帝国年代記:帝国対連合 Reich Chronik: Reich Gegen Union  作者: 鬼野宮マルキ
貴族殺人事件

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貴族 Adel

貴族の取り調べ。

アーモニア帝国、帝都・ベーラン

タンペルホーフェ=シェーネバルク区内

ベーラン市警ポリツァィ本部プラシディウム

新皇帝歴1年4月21日

午前09時55分頃


マッシュミリエン・リッヘ準男爵とその部下の騎士、シュミーツ巡査ポリツィスト は検視官室の前に立っていた。


「検視がまだ終わってませんよ・・・暇だったら、通報者の証言を取りに行けば?・・所轄の皆さん。」


白衣を着た魔法検視官マギー・コゴーナーの女性アシスタントのヘルミニア・ウエダー警部コムミヅァールが検視官室を出て、いきなり二人をけん制した。


「わかりました。ウエダー警部コムミヅァール、調書を取り終えたら、また来ます。」


「最初からそうしてくれればいいわ。」


嫌味たっぷりの口調で言われて、リッヘは少し怒ったが、元彼女の親友で部下に対して何も言い返せなかった。


「いいんですか?」


シュミーツは何故か煽ってきた。


「いいよ・・・仕方ない。」


二人は取調室に向かった。その中には今回の事件の第一発見者で通報者のゼイモン・ヴァン・ヴァーゼントール子爵がぐったりと椅子に座っていた。

この貴族は人族と魔族の混血ミシュリングであり、高い魔力ツァオバー・クラフト の持ち主だった。

年齢は30代後半で魔族特有の赤い瞳、かなり後退している金髪とおでこの辺りに魔族特有の小さな角が生えていた。濃い灰色の帝国陸軍ライヒ・ヒーアの軍服を着ていた。

子爵の階級は少佐マヨーアだった。


「ヴァーゼントール子爵殿、初めまして、今回の事件を担当しているマッシュミリエン・リッヘ巡査部長サージャント とオーゴスター・シュミーツ巡査ポリツィストです。」


「ああ・・・」


「大変な時に申し訳ございませんが、質問に答えてもらいたい。」


「ああ・・・わかった。」


二人は素っ気ない返事を気にせず、貴族の真向かいの椅子に座った。


「何故ヘイデンバルグ侯爵の屋敷へ行ったのですか?」


「昨夜に連絡があり、朝早く来てほしいと言われたから。」


「誰からの連絡ですか?」


「ヘイデンバルグ侯爵からの連絡でした。」


「なるほど、呼び出された理由はわかりますか?」


「昨夜のジェルミン・ゴブレス辺境伯が緊急召集した非公式会議の内容だろうと思った。」


「非公式会議ですか?」


「はい、貴族院内の会議室に行われたらしいです・・・」


「あなたは参加しなかったのか?」


シュミーツは質問した。


「はい、呼ばれてなかったもので・・・」


「あなたはこの国屈指の魔導士マギーの一人で有能貴族な上、貴族院の議員なのに・・・呼ばれなかったのですか?」


再びシュミーツは質問した。


「派閥の長のみと聞いたのですが・・・」


「なるほど・・・それで屋敷へ何時に行ったのですか?」


「朝食を取るために8時30分に来てほしいと言われた。」


「なるほど・・・それで屋敷に着いたのは8時20分頃で間違いないのですね?」


「間違いありません・・・」


子爵の顔がこわばり、目が潤んできた。


「ヴァーゼントール子爵殿、大丈夫ですか?」


子爵はテーブルに前かがみとなり、床に嘔吐した。


治癒師ハイラーを呼べ、今すぐ!!」


リッヘはシュミーツに命令した。


彼は大急ぎで取調室を出ていった。

子爵はゆっくりとゲッソリとした顔を上げて、リッヘを見た。


「気をつけろ・・・帝国ライヒ ドゥンケルハイトに覆われる・・・」


ドゥンケルハイトに覆われる?」


異世界ウンターシートリヒェ ヴェルトから来た・・・恐ろしいドゥンケルハイトだ・・・」


異世界ウンターシートリヒェ ヴェルトドゥンケルハイト?」


子爵はそのまま床の嘔吐物の上に倒れて、意識を失った。


数秒後、シュミーツは治癒師ハイラーとタンカ持ちの2名を連れてきた。

治癒を始めたものの、子爵が反応しなかった。


「病院へ運ぶ必要があるわ。」


警察の紺色の制服を着た女性の治癒師ハイラーが話した。


「わかった、連れていけ。」


子爵がタンカで運ばれた後、救急搬送用の転送魔法陣で帝都中央病院へ運ばれた。


「大丈夫ですかね、あの子爵?」


「わからないな・・・」


「何か言われたのですか、巡査部長サージャント?」


「いいえ・・・何も。」


子爵に言われた最後の言葉、【異世界ウンターシートリヒェ ヴェルトドゥンケルハイト】は妙に引っかかり、後でゆっくり調べる必要があると思い、部下のシュミーツには黙った。


二人は検視官室へと向かった。

検視官室の前で50代後半の禿げ頭のワーゲナー署長シェフが立っていた。


「リッヘ、シュミーツ、ちょっとお話があるんだが・・・」


「はい、署長シェフ。」


二人は同時に返事した。


帝国ライヒ秘密国家ゲハイメ・シュターツ警察ポリツァイ のラインヘルスト・ヘイドリヘ大佐オーバーストがこの事件の調査を引き継いでもらう・・・今後は子爵の取り調べは向こうが行う。」


帝国ライヒ秘密国家ゲハイメ・シュターツ警察ポリツァイ ?これは我々の管轄ですよ・・署長シェフ。」


「わかっているが、もっと上の命令だ・・・抵抗できない、わかってくれ、リッヘ・・・」


「わかりました。」


「それと子爵から聞いた話の報告書と魔法検視官マギー・コゴーナーの検視結果も含めて、魔法電報マギー・テレグラムでヘイドリヘ大佐オーバーストに送ってくれ。」


「話はほとんど聞いてませんが、わかりました・・・報告を送ります。」


「頼んだぞ、リッヘ。」


ワーゲナー署長シェフは自分のオフィスへと歩き出した。

リッヘは思った、相変わらずこの署長シェフは事なかれ主義の自分第一の男だったと。それから彼は大きなため息をした。


「なんですかねぇ?・・・ひどいと思いませんか?」


「確かにひどいな、シュミーツ・・・でも上の命令は逆らえない。」


「そうですね・・・」


突如、検視官室の扉が開いた。


「マウンバットン魔法検視官マギー・コゴーナーからのお呼びだよ、所轄の皆さん・・・君たちがお待ちしている検視結果の報告だそうです・・・急ぎなさいよ。」


ヘルミニア・ウエダー警部コムミヅァールは相変わらず無礼な態度で話した。シュミーツはこの茶髪の緑色の目をしている女性の魔法検視官マギー・コゴーナーを睨んだ。


「なんか・・文句ある?所轄の皆さん?え?」


大袈裟なお辞儀で二人の捜査官をおちょくった。


「いいえ、ありがとうございます・・・それでは入ります。」


「ちゃんと着替えなさいよ・・・せっかく魔法滅菌マギー・ステリエしているのよ。」


「わかりました。」


二人は準備室に入った。


「あの女は腹立つ・・・ぶん殴ってやりたいぞ。」


「やめろ、シュミーツ・・・ウエダー警部コムミヅァールの父親は子爵だよ、ガーレンゲ伯爵派閥の貴族だよ。」


「わかっていますよ・・・殴りませんよ・・・でもムカつきませんか?」


「ムカつくのは確かだ。」


二人は着替えた後、検視解剖アウトプシーが行われた部屋に入った。


謎が深まる。

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