公国 Fürstentum
ザイス公国首都バルン市(バルン州内)
ブロテン連合国大使館内
公国歴980年4月21日
午後19時35分頃
大使館内の地下室で秘密裏に作られた転送魔方陣が大きく光、
アーモニア帝国から脱出した4人は転送された。
「皆様、ようこそ」
挨拶したのはザイス公国の連合国大使、サー・シェラミル・ショープだった。大使、その個人秘書兼世話係のナルマン・シュコットシュと重装備の連合国の小隊が立っていた。
「亡命者を連れてきました」
フラミンゲーは報告した。
「マッシュミリエン・リッヘです」
「リベッシュ・マウンバットンです」
二人は簡単な自己紹介をした。
「彼は?」
大使はシュミーツを見ながら聞いてきた。
「報告した協力者です」
フラミンゲーは業務的な声で再度報告した。
「オーゴスター・シュミーツと申します」
「なるほど・・・君か・・ジェンソン隊長、その男を厳重に拘束しろ」
大使は小隊長に命令した。
「アイアイ、サー!」
隊員、全員はシュミーツを拘束し、何重にも重なった強力な拘束魔法をかけた。
「話が違います、サー・シェラミル!」
フラミンゲーは抗議した。
「いや、いや、違わないよ・・・あの男は人間ではない、我が国にとって危険と判断した」
「サー・ジョルシェア・ホエールは話を通したはずです」
「ホエール参事官は私より格下なのだ・・・私はね、首相より直々命令を受けているのだよ」
「連合国の首相・・・」
エイアン・フラミンゲーは思い出した。
ブロテン|連合王国《 ユニオン・ キングダム》のサー・ノベル・チェインバライン首相、帝国と戦争回避ができるを理由に、近年、非現実的な宥和政策を推進していた、彼は議会を裏で牛耳り、ヴィストレア女王陛下の権限を大幅に制限し、実権は自分へと向かわせるようにした。
「分かったかね?」
「了解致しました、ショープ大使」
「何かあった?ブロテン語はそこそこ分かるが、完璧ではない・・・もしかしたらシュミーツは捕まるのか?」
リッヘはフラミンゲーに質問した。
「そうらしいです・・・理由は彼は連合国にとって、脅威だそうだ・・」
「疑念を持つのは分かるが・・・何重の拘束魔法はやりすぎです」
リベッシュ・マウンバットンは抗議した。
「マウンバットン嬢、リッヘ殿・・・あなた方は我が国が保護し、帝国の追手から守ります」
大使は二人に対して、明らかな嘘の笑顔で話した。
「ありがとうございます、頼りにしています」
その言葉を信じていないような含みで、マッシュミリエンは大使に返事した。
「俺は大丈夫ですよ、リッヘ殿、マウンバットン嬢・・・仕方ないですからね」
シュミーツは二人に向けて、人懐っこい笑顔を浮かべた。
「シュコットシュ君、3人を部屋へと案内しなさい」
「承知いたしました、サー・シェラミル」
大使を秘書らしからぬ、妖艶な視線でナルマン・シュコットシュは返事した。
「先ほど起動したものも見せてあげなさい」
「はい、承知いたしました・・・それでは皆さん、付いてきてください、ここの大使館は安全です」
シュコットシュは3人を手招き、地下室の外へ出るように促した。
「シュミーツ・・・」
「気にしないでくださいね、フラミンゲーさん・・仕方ない」
3人は残されたシュミーツを見ながら、地下室を後にした。
「で・・・本当のことを話したらどうですか?・・・大使閣下?」
シュミーツは大使を見ながら話した。
「やれやれ・・・他の超人と違い、君は勘がいいようですね」
「俺は特別性ですからね・・・きちんと魂がありますので」
「私はね、本当はあの無能で強欲な首相に興味がないのだよ・・・本当の命令は防衛大臣のシャリシル卿より受けてるよ・・・君のような人造人間の複製、対策が目標なのだよ・・・」
「やはりな・・・」
「我が連合国は早かれ遅かれ帝国と全面戦争になるとみているよ・・・意味のない宥和政策、穏便派による中途半端な冷戦状態など無意味だよ・・・シャリシル卿が目指すのは大戦で最大の攻撃力で敵国の完全な滅亡だよ」
「人ではない俺に言われるのは気に入らないと思うが・・・それでも言うよ・・・狂っているぞ」
「分かっているさ・・・すべてはこの世界の半永久的な平和のためだよ」
サー・シェラミル・ショープは尊大な仕草で隊長にシュミーツを特別研究室へ連れていくように指示した。




