裏切者 Verräter
アーモニア帝国、ゼクゼン=エンハルト州
ヴォッデンベルク市内連合の隠れ屋敷内
新皇帝歴1年4月21日
午後19時20分頃
居間の隠し扉から大急ぎで地下室へ降りた3人は頑丈な金属の大扉の前に立った。
フラミンゲーは手のひらを大扉に当てて、すぐに開いた。
大きな部屋の奥に転送魔法陣が描かれていた。
「こちらへ、時間がないのです・・ボンドールは破壊されました。」
「え?・・・分かるですか?」
「はい、マウンバットン嬢・・・彼の信号が消えました。」
「そんな・・・」
フラミンゲーは腕時計を見ながら返事した。
それから壁に埋め込まれていた大きな魔石を使って、転送魔法陣を起動させた。
「入ってください・・・転送ができるまでまだ数分かかります。」
先ほどしまった大扉が殴られている音が聞こえてきた。
「来たか・・・」
「そうみたいですね・・・リッヘ殿・・・」
大扉の反対側で男爵と67番のシュミーツは凄まじい力で金属をへこませていた。
「くだらん時間稼ぎ!!」
「そうですね、0番!!」
男爵はゆっくりと構えて、深呼吸をした後、右こぶしを大扉に叩き込んだ。衝撃音と共に大扉が破壊され、破片は中へと飛ばされた。
「観念しろ、裏切者ども・・・敵国の諜報員と共に寝返った報いを受けるがいい!!」
リシュトフェンは残虐性を隠せない笑顔で魔法陣の中にいる3人に向けて、威圧的な大声で警告した。
「シュミーツ?!・・・君は?」
マッシュミリエン・リッヘとリベッシュ・マウンバットンは驚いた顔した。
「すみません・・・巡査部長・・・俺は帝国の戦士です」
エイアン・フラミンゲーは素早く呪文を唱えて、火属性の攻撃魔法を放った。
「火の槍!!」
リシュトフェンは左手で小さな魔法結界を作り、攻撃魔法を弾けた。
「くだらん!」
「火の玉機関銃!!」
リシュトフェンたちは今度、大きめの魔法結界を作り、乱れ打ちの火の玉を防いだ。
「連合国の戦闘魔導士は大したことないぞ!!」
「確かに0番!!」
シュミーツは笑顔で同意した。
魔法陣が光りだして、転送が開始された。
「逃がさん!!」
男爵は魔法攻撃を撃つ構えをした途端に右横から強烈な光魔法の攻撃をくらった。
「な・・に・・い・・」
男爵は飛ばされ、部屋の壁に激突した。
「どうですか、俺の光線・・・男爵さんよ」
体の右側半分を焼き尽くされ、右手を消失した男爵は驚いた顔をした。
彼は魔法攻撃が使えないほどの大きな損傷を受けていた。
「貴様・・・67番・・・帝国を裏切るのか?」
「俺は人間の味方になることにしたよ・・・ね?フラミンゲー殿」
「ヒヤヒヤしましたよ・・・シュミーツ殿、早く魔法陣に入ってください!!」
フラミンゲーはホッとした表情を浮かんだ。
「はい・・・そしてボンドールは残念だったな」
魔法陣に入りながらシュミーツは話した。
「本人は覚悟していた・・・彼の家族に知らせなきゃな・・ジェイミー一号は幸い、バックアップしているはず・・」
「シュミーツ・・・は味方?」
「リッヘ巡査部長・・・黙っていてに申し訳ないが・・敵を欺くためだったので・・・」
「それはいいとして、君は・・・」
「超人ですよ・・・でも中身は違います・・・俺は転生者です・・・つまり人造人間でありながら別の世界の人間の魂を持つものです。」
「驚いたわ・・・本当に存在するんですね・・・」
リベッシュは信じられないかのように目をパチパチしながらつぶやいた。
魔法陣は大きく光った後、4人は別の国へ転送された。
5分後、部屋にエンマーは入ってきた。
「0番!!!!」
ある程度再生された体になった男爵は床に座っていた。
「73番・・・67番は裏切った・・・転生者だ!!」
「まさか・・・」
「帝国の危機だ・・・何とかしてもあの連中を消さねばならん・・」
「はい!!」
「ザイス公国に潜入している秘密工作員に連絡しろ・・・連中がそこへ向かったはず、魔法陣の規模で推測できたからな」
「承知いたしました!!」
リシュトフェンはすぐにヒエムラー長官に今回の件を報告した。
長官からザイス公国へ向かう前、帝都で皇帝に謁見するように指示された。




