神の計画 Gottes Plan
皇帝が即位した年、計画が開始する。
アーモニア帝国、帝都・ベーラン
貴族院庁舎内
新皇帝歴1年4月20日
夕方18時00分頃
貴族院の議長である若い貴族のジェルミン・ゴブレス辺境伯は上級貴族の会議室の自分の席の隣に気を付けの姿勢で立っていた。
今回の会議は非公式なもので議事堂でなく、貴族院の大き目な会議室で行われた。
4年前、新皇帝で出会い、彼の考えた解釈を実践し、自分の領地をあっという間に豊な地域に仕上げたことが誇りだった。
その功績は先代皇帝から評価され、貴族院の議長へ抜擢された。その先代皇帝と彼の一族であるプロザイン家は今、断絶となり、生きている者は一人もいなかった。
会議室に帝国の上級貴族、有力貴族は続々と入室した。
全員は自身の席の隣に立ち、右手で帝国挨拶をした。
「勝利万歳!!」
会議に飾ってあった、皇帝の自画像に向けて、再び全員は帝国挨拶をした。
「勝利万歳!!」
「それでは諸君、座りましょう。」
辺境伯は陽気な声で他の貴族が自席に座るように促した。
「ハイス伯爵殿、計画概要の説明をしてくれたまえ。」
ゴブレス辺境伯は自分の右隣に座っていた自分より若いラドルフォ・ヘルナンド・ハイス伯爵に指示を出した。
「それでは皆さん、手元にある資料を見ていただければ。」
全員は資料を手に取り、開いた。
「聡明な皇帝陛下が自ら我々へ示した壮大な計画の説明を致します・・・その名は【神の救済】である。」
一人を除いて、集まった貴族たちから拍手喝采は起こった。
唯一拍手をしなかったのは最高齢、145歳のアット・ヴァン・ヘイデンバルグ侯爵のみだった。侯爵は3世代前の祖先は人族ではない、森妖精の曾祖母がいたらだ。そのため、彼の一族は平均な人族より、ほんの少し長命だった。
「この計画の最終目標はこの神聖なる帝国から【神敵】を排除することにある。」
再び拍手喝采は起こった。
「諸君の気持ちは大いに理解できますが、一句の度、拍手が起こったら、進めませんよ。」
辺境伯は笑顔で話した。
何人か笑った後、会議室が静かになった。
「ハイス伯爵殿、続けてくれたまえ。」
「ありがとうございます、辺境伯殿・・・この計画の要となるのは段階的に【神敵】たちを完全に絶滅へ追い込むことにある。」
ハイス伯爵は杖を出して、魔法投影機に魔法をかけ、
会議室の壁にかけてあった大型魔法スクリーンに資料の内容を映した。
「第一段階、国外追放・・・これはですね、口減らしの始まり、わが帝国はまだ復興中であるため、いきなり絶滅移行はできない。期間は約3年を要します・・・まずはできるだけ多くを追い出すこと。その規模は400万人と明確に考えています。中心種族はゴブリンやオーク、【神敵】の中で一番知能が低い。国内に残った者どもについて、最後に説明します。」
全員は大型魔法スクリーンに映っているデータを真剣な眼差しで見ていた。
「第二段階、強制移住・・・森妖精、鬼人、小人そして魔族だ・・・【神敵】の中では知能、戦闘能力、魔力が極めて高く、帝国にとって一定の利用価値がある。監視下に置き、繁殖を抑制し、労働をさせ、数が増えた時のため、定期的に効率の良い、【間引き(アウストゥーネン)】をするのです。期間は約2年を要します。」
「ハイス伯爵、あの厄介者の獣人どもはどうするのか?【神敵】の中では多産ですぐ数が増やすんですよ。」
質問したのは貴族院の副議長であるホエルマン・ガーレンゲ伯爵だった。
「そうでしたね、ガーレンゲ伯爵殿の領地では多い害獣ですもんね。」
辺境伯は相変わらず笑顔で口を挟んだ。
「それについて、今から説明します・・・第三段階・・・絶滅・・・国内に残った利用価値が低い【神敵】ども、第二段階で増やし過ぎた者ども、そして魔力が弱く、人族より短命だが多産な獣人ども・・・特別な工業地帯に重労働を課し、最低限な食事と道具を与え、週一の頻度で高効率の【間引き(アウストゥーネン)】を行う。第一、第二段階の後に行い、5年を要します・・・帝国の浄化を目指す。」
「貴殿たちは正気か?・・・これは大量虐殺だ!!」
145歳のアット・ヴァン・ヘイデンバルグ侯爵は声を荒げて、怒鳴った。
彼は長命である上、見た目はまだ70代にしか見えなかった。
「そうですが・・・それで何か、問題でもあるのですか?」
辺境伯は不気味な笑顔で話した。
「こんな蛮行は許されるはずがない!!」
「蛮行ですか?・・・貴殿の祖先は人外なのでムキになることありませんよ。」
「おのれ、ゴブレス辺境伯・・・こんなのは栄光の歴史がる帝国のやることではない!!」
「そうですか・・・少し冷静になってください・・・爵位は上でも、私は貴族院の議長なので、貴殿の議員資格を一時的、はく奪しますね。」
「ならば、辞めます・・・皇帝陛下の考えた計画と思えません。」
「好きにしなさい・・・そしてこの部屋から出ていってくれたまえ、貴殿はもう貴族院の議員ではありませんので。」
ヘイデンバルグ侯爵は会議から出ていった。
「それでは続けたまえ、この計画を可能にする兵力増強と魔力兵器についての説明を聞きたいので、ハイス伯爵。」
そのまま22時頃まで会議が続いた。
その同じ晩、ヘイデンバルグ侯爵の屋敷が盗賊団に襲われ、侯爵本人、婦人、長男、長男夫人、次男とその夫人、独身の三男と四男、長女とその婿、長男の成人した息子2人、次男の未成年の娘1人及び使用人の森妖精たちは皆殺しにされた。
当局の正式発表では盗賊団は【神敵】を中心で構成されていた。
ヘイデンバルグ侯爵家で唯一生き残ったのは長男の20歳の娘でオーロレリア公国の首都、ヴェーンの音楽大学に留学中のマリッザ・ヴァン・ヘイデンバルグのみだった。彼女は音楽大学を中退し、領地へと戻ったものの、家が断絶し、若いハイス伯爵の第二婦人となった。
「誇りに思え、6世代でやっと血が浄化されたので、お前を俺の第二夫人に迎えてやったぞ・・・いいだろう、マリッザ・・・元気な子どもを産めよ・・・」
結婚初夜でハイス伯爵は第二夫人になったマリッザ・ヴァン・ヘイデンバルグを暴力的に犯した。
大虐殺の準備。
日本語未修正。




