執事 Verwalter
アーモニア帝国、ゼクゼン=エンハルト州
ヴォッデンベルク市内連合の隠れ屋敷内
新皇帝歴1年4月21日
午後19時05分頃
広い玄関ホールに男爵と部下二人が荒々しく入ってきた。
ホールの真ん中に黒いタキシードに身を包んだ若い金髪の男性が立っていた。
「執事のボンドールです、お客様に連合おもてなしを致します。」
軽いお辞儀をした後、ボクシングの構えをとった。
「執事風情が・・・うるさいわ!!」
エンマーは笑顔で彼を罵った。
「気をつけろ、ただの執事じゃない。」
シュミーツは彼女に警告した。
「わかってる・・・見覚えある顔だわ・・・」
「ここから先、絶対に行かせませんので、悪しからず。」
ボンドールは3人を睨みながら言った。
「俺たちを止めるって?・・・73番、すぐに片付けろ!!」
男爵はエンマーに命令した。
「喜んで!!」
エンマーは凄まじい速さで進み、ボンドールの顔目掛けに上段回し蹴りを放った。
執事はギリギリでそれをかわしたが、頬に切り傷を負った。
「あららら・・・残念・・・男前は台無しだわ・・・」
「気づいてないのですね・・・」
執事は頬の血を拭いながら、笑顔で話した。
「何を・・あれ・・・?!」
エンマーが自分の足を見た。足首からふくらはぎにかけて鋭い刃物で切られたような傷ができていた。
「人間風情が!!!!」
彼女の顔が醜く歪み、怒りを爆発させた。
「お前たち、我々・・・人間をなめすぎているよ。」
「おのれ!!」
「73番、落ち着け。」
男爵は部下を叱った。
「貴様はただの人間ではないようだ。」
「ああ・・・そして俺はお前たちをはっきり覚えているぞ。」
「思い出したわ・・・」
冷静を取り戻したエンマーは執事を見た。
「やっとか・・」
ボンドールは呆れたような声で言った。
「あの時のおもちゃだわ!!」
2年前、エンマーを含む4人の鷲隊の隊員は連合の5人の監視分隊を全滅させていた。
その中の隊長は今、目の前に立っていた、カンピオン・ボンドールだった。
4人の監視員を瞬殺されたが、隊長である彼は冷酷で残忍な超人たちのおもちゃとなった。
生きたまま、麻酔なしで手足が切断された後、性器も切り取られた。
最後には頭、心臓、肺以外、全部は切除され、虫の息で死を待つのみの状態となり、放置された。
「あれは教育で一環でやったわ・・・なぜ生きているの?」
残忍な笑みを浮かべながら、エンマーは質問した。
「あの時には俺・・・間違いなく死ぬ運命だった・・・」
「へえ・・・それで?」
煽るようにエンマーは話した。
「救助隊は俺を見つけて、我が連合の技術力を試す志願者になった。」
「うん、うん・・なるほどね。」
「あの時の痛みと屈辱感・・・忘れてないぞ。」
「じゃ・・私を殺すの?・・無理、無理・・・」
「殺すさ・・・俺はもう人間じゃない・・・」
「私も人間じゃないわ・・・」
「俺は魔法科学が生んだ対超人用兵器・・・機械強化人だ・・・覚悟するがいい超人どもめ!!」




