土人形 Golem ①
連載再開
アーモニア帝国、ゼクゼン=エンハルト州
ヴォッデンベルク市近辺帝国高速道路
新皇帝歴1年4月21日
午後18時25分頃
赤い男爵の魔法自動車に執拗に追いかけられて、約30分が経った。
フラミンゲーは用意した帝国風の魔法自動車は彼が所属する連合国情報機関(S・I・S)の魔法科学者が特別に造ったものだった。
「逃げ切れますか?」
「まだわかりせん、リッヘ殿・・・でもこの魔法自動車は我が国の諜報機関の頭脳である、ドクター・キューイの最高傑作です。」
「連合国と帝国はほぼ同等の技術は持っているように見えるわ。」
「マウンバットン嬢・・・確かに近いが、正直・・・帝国の方が上です。」
3人を乗せた魔法自動車高速道路のヴォッデンベルク市方面の出口へと猛スピードで入った。
「ここからは本番です・・・転移魔法陣は市内の古い屋敷にあります。距離を稼ぎ、敵に追いつかれる前に転送をしましょう。」
魔法自動車は北側から市の中心を素早く駆け抜けて、南側へ一直線に向かった。
手入れされた大きな庭がある古い屋敷の敷地内に入って、一気に止まった。
屋敷から執事の恰好をした若い男性一人が出てきた。
「ミスター・フラミンゲー、用意が出来ています。」
「助かる、ボンドール!!」
3人と執事は屋敷に入った。
御者は大きな玄関の前に不動の構えで立ち、追手を待った。
「あの御者はあなたの土人形ですか?」
「はい、マウンバットン嬢・・・彼は時間を稼いでくれる。」
「彼ですか?」
「はい、リッヘ殿・・・私の命令に忠実な上、ある程度の自我を持っています。」
「皆さん、こちらです。」
執事は話した後、壁を軽くノックし、壁が真ん中から開き、地下へと進む階段が現れた。
4人が階段を降り始めたところにフラミンゲーが一瞬止まった。
「来たぞ!!急げ!!」
赤い男爵の魔法自動車が屋敷に到着した。
玄関前に立っていた御者は降りてきた3人を見た。
「なんだ・・・人形じゃん!!」
エンマーは失望したような声で呟いた。
「準備運動にもならないね。」
シュミーツは皮肉を込めて呟いた。
「お前たち・・・経験が足りん。」
赤い男爵は真剣な表情と声で二人を叱った。
「ええ?」
二人は同時にその言葉に反応した。
その直後は御者は玄関の前から消えた。
赤い男爵はエンマーの襟ぐりを掴み、後ろへ引っ張った。
彼女の立っていた場所に御者の恰好をした土人形が
拳で地面を割っていた。
「何よ・・!!」
エンマーが驚いて、声を漏らした。もしも男爵が引っ張ってくれなかったら大きなダメージを受けるところだった。
土人形はまた消えて、今度はシュミーツの前に現れ、強烈なアッパーを放った。
シュミーツはぎりぎりにかわしたものの、顎が切り傷を負った。
「人形のくせに・・・」
切り傷がすぐに塞がったものの、プライドが傷付けられた。
「油断するな・・・こいつはただの土人形ではない。お前たち、下がっていろ!!」
赤い男爵はファイティングポーズを構えて、土人形の前に立った。土人形は同じくファイティングポーズで構えた。
「連合国の人形だと思って、油断したな。」
「わたしも・・・」
エンマーとシュミーツは後ろへ下がりながら愚痴をこぼした。
赤い男爵は土人形の目を見つめた。
「限定的な自我機能付きの自立型だな」
男爵は敵を見ながら呟いた。
「はい、その通りです。私は連合国製の最新自立型土人形、コードネーム、ジェイミー一号です。」
「自己紹介機能付きですか?」
珍しく男爵は皮肉を込めて質問した。
「はい。対超人用に最新の魔法科学技術で製造されました。」
「面白い・・・壊しがいのある人形は久しぶりだ。」
「帝国の超人であるあなたを滅ぼす使命がインプットしています。」
男爵と土人形は目で追えない速さの壮絶な拳の殴り合いを始めた。
これから更に読めない展開になるかも。




