追跡 Verfolgung
追跡・・・
アーモニア帝国、帝都・ベーラン市外
西南方面の帝国高速道路
新皇帝歴1年4月21日
午後17時45分頃
魔法自動車の車内で帝国一恐ろしい男に追われていると知った二人は絶望を感じていた。
「先のお話、残念ながら事実です。」
「神話に出てくる恐ろしい存在に追われるのは酷く疲れる・・・ヘア・フラミンゲー。」
マッシュミリエンは力なく話した。
「逃げられないの?」
リベッシュは質問した。
「出来るだけのことはしますが・・・厳しいです。」
「だろうな・・・彼の話は単なる子供を怖がらせる物語ではない。」
「確かにそうだわ・・・マッシュミ・・・私は怖いの・・・」
「落ち着いて、今は冷静になることは必要だ、リベ・・・」
「ここの御者による、あの男が乗っている最新型の魔法自動車がこちらから後方、約950メートルの距離を保ちながら、追いかけてきている。」
フラミンゲーは二人に伝えた。
「いつ連絡を取ったのですか?」
マッシュミリエンは質問した。
「リッヘ殿、ここの御者が私の従者であり、土人形です。」
「土人形なの?」
「はい、マウンバットン嬢・・・私は戦闘魔導士で火・土・光の魔法が得意。」
「なるほど・・・わかったわ。」
「なぜ赤い男爵だとわかったのですか?」
「以前は我が国の諜報員は命と引き換えに情報を手に入れてくれた。それからずっとあの男をギリギリの線で監視している。」
「でも監視はバレてないの?」
「マウンバットン嬢・・・正直・・・私にもわからない・・・今までは一度バレると監視員が必ず始末されるので・・・最後の監視チームが無事です。」
「これからどうしますか?逃げ切れる可能性あるのか?」
「賭けですが・・・一つの可能性があります。」
「教えていただけますか?」
「ここから西南に位置するヴォッデンベルク市へと向かいます。」
「ゼクゼン=エンハルト州のですか?」
「はい、そこに我が国が設置した転移魔法陣がある。」
「転移魔法陣?!!それって違法な・・・」
「大戦の教訓として、帝国と国交を結んだ後、我が国が密に設置しました。」
「なるほど・・・そこから何処へ行けるの?」
「マウンバットン嬢・・・取り合えず永久中立国のザイス公国へ逃がします・・・」
「確証がないのか?」
「いいえ、リッヘ殿・・・あの男から逃げ切れるか否かにかかっている。」
フラミンゲーは一瞬厳しい表情になった。
「どうしたのですか?」
「あの男の魔法自動車が速度を上げてきた・・・」
「そんな・・・私たちは・・」
「マウンバットン嬢、安心してください・・これでも私は戦闘魔導士です・・・伝説の怪物でも必ず、あなた方二人を逃がします・・・命に代えても。」
同時刻
リシュトフェンは御者の形をしていた人形に念力で速度を上げるように操作した。
「ね・・・これって速度上がってきてない?」
「そういえば、そうみたいだな。」
シュミーツとライヘットは同時にリシュトフェンを見た。
「標的が逃げる素振りが見せたので、全力で追いかける。二人共、準備はいいな?」
「はい!!0番!!」
67番のシュミーツと73番のライヘットが同時に返事した。
迫る超人の魔の手・・




