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イサイアスに捧ぐ  作者: 万事塞 翁
第五章
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おまけ⑪

あの日、臨が刺される夢を見たあのあと。

急いで確認しに来た臨の部屋には誰もいなかった。

部屋をざっと見た限り、いつも私服で着ている上着も、スマホも財布もない。


「どこに…。」


一体今日が何日かもよくわかってないけれど、多分何日も臨に会ってないんだろうし、普段こんな時間に家を出ていることもないからどこにいるのか見当もつかない。

どうして、氏神様と織衛組が捕らえようとしている奴らと一緒にいるのかも、よくわからない。

臨のことでわかるのは、とにかくあの映像で見た通りで。

廃工場のような場所で…。


「うぇっ…。」


思い出せば出す程もう一度吐き戻した気分だった。少しでも手がかりになるように何度でも頭の中で思い出すけれど、正直こっちは薬の影響もあるだろうが起き上がっていること自体もきつい。

一度へたりこむと、パジャマのポケットからスマホが落ちた。

そうだ、電話してみれば…。

いや。

電話に出れるような状況なら、臨なら自分で助けを呼んだりするだろうし。全然使えないじゃないか、スマホなんか持ってても…。


「あっ!」


あった。臨の居場所がわかる方法が!

この間臨がやっていたのを見様見真似で位置情報共有アプリを開き、臨のアイコンの場所を見ると、アイコンは私のバイト先の街で光っていた。

ここに臨がいる。

だけどまさか松戸さんの車に乗って行くわけにはいかない。臨が危ないと夢で見たと大人に言っても信じてもらえるかもわからないし、今悠長に話している余裕がないことだけはわかる。

考えた末、インターネットを開いてタクシーの番号を調べて、自分でタクシーを呼んだ。家に来られるとバレるので、神社の駐車場に来てもらうように伝え、十分くらいで来てくれるそうだ。

その間にやるべきことがあった。


臨の部屋からスタンガンを見つけなければ。


私が単身乗り込んだところで何の戦力にもならないけれど。

氏神様なら。

氏子の能力をそのまま受け継げる氏神様なら、きっとなんとかしてくれる。

臨がまだ灰にスタンガンを返していないのは知っていたから、きっとこの部屋の中にあるのだろうが…。臨の勉強机の引き出しを片っ端から開けていくが、教科書とかしか入っていなくてそれらしいものは見つからない。

どこだ…。それともないのか…?

机の一番下の引き出しを開けようとして、


「!」


ぐん、と引き出しに抵抗された。

…ここ、鍵がかかっている。間違いなくここに入っている。

引き出しを壊してでも強引に開けたいところだが、力が入らなくて引き出しはびくともしない。


「鍵、どこに…。」


さっきまで見ていた引き出しをいくつか細部まで見ていくと、小物入れの中に、


「あ、あった!」


隠すように小さい鍵が入っていた。大きさ的に間違いなく引き出しの鍵だった。

きっと私が勝手に見つけて触らないように隠していたんだろう。

鍵を挿すとちゃんと回って、抵抗がなくなった引き出しを開けると、



「!!!」



思わず、その中身に閉めてしまった。


「…………。」


やばい。

見てはいけないやつだ、これ…。

見たってばれたら、絶対臨に怒られる…。


「…………。」


そっと鍵を閉めて元の場所に戻してから、私は何もなかったことにして押し入れの方を探した。

スタンガンは衣類ケースの奥に隠してあった。

タクシーが来てしまうからひっくり返した衣類もそのままに部屋を出ようとして。なんとなく圧を感じるその引き出しをちらっと見てから、


えっと。本当に、すみませんでした…。


…忘れることにした。



今日おまけなのは、そういうことです。

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