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イサイアスに捧ぐ  作者: 万事塞 翁
第三章
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おまけ④

「ふふ、あははははは!

「あははははははははっ!

「はは、ははは、ふふっ、あはははは、

「あはははは、ははははは、ははは、

「ふふ、わかった、わかったからちょっと待ってって…。ツ、ツボに入った。

「ははは、あははは、ふふ、ははは、はは、はあ…。

「はあ、…はあ。

「ごめんごめん、だ、だって、似合いすぎるから。」


危ない。笑い死ぬかと思った。ちょっとまだ危ない。気を抜くとまた止まらなくなりそうだ。

文化祭当日、初日の開会式は体育館で行われていた。

特設ステージが真ん中に作られていて、その周りをライブ会場みたいに人がぐるりと囲っている。最初に文化祭開会宣言が行われ、その後ステージでは各クラスや各部活の出し物の紹介と称して、数分間ずつの舞台発表の時間が設けられていた。

各クラス、各部活共にその時間は好きに使っていいことになっていて、今時の歌をクラスの何人か出て歌ったり踊ったり、部員全員でちょっとしたパフォーマンスをしたり、まあ殆ど文化祭の出し物とは関係なことをしていたが、それでも校内のお祭りの開始にみんな盛り上がっている。

私はその話し合いに参加すらしていなかったから、うちのクラスが何をするか知らなかったが。


目の前の臨はメイド服を着ていた。


「あははははははは、」

「いつまで笑ってんの。」


いつまで経っても笑っている私に臨がちょっと怒っている。

うちのクラスは男子が全員でメイド服を着て、なにか踊るということらしいのだ。

私はさっきまでクラス発表にも関係なく部活にも入っていないから観客として会場の後ろで一人座っていたのだが、何故か急にクラスの子に呼ばれて舞台袖まで連れてこられていた。


「呼ぶんじゃなかった…。」


臨が心底後悔しているみたいで、頭を抱えているが、でもこんな物見せられて笑わない方がおかしい。


「っていうかなんで私呼ばれたの?笑わせてくれるためなんじゃないの?」

「違う。ちょっと、着たことなくて合ってるかわからないから見てほしかったんだよ。誰も正解がわからないし…。」

「ああ、合ってる合ってる。」

「てきとうな…。」


元々安い簡単な作りの物だから、ワンピースタイプのメイド服を着た上からエプロンをつけるだけだ。間違えようもない。他の男子も周りで舞台の準備をしていたが、みんなちゃんと着れていた。似合っているかはともかくとして。


「臨が一番似合ってるから大丈夫だよ。」

「嬉しくないな。」

「っていうか、よく許可したね。」


臨はこんなの絶対許さなそうなのに。他の人が踊るのならともかく、自分まで踊るなんて絶対嫌がりそうだ。


「知らない間にそういう話になってて、さっき強引に着せられたんだよ…。」

「あははは、そうなんだ。」

「勝手に尊のクラスと連絡してメイド服の貸し借りまでしてて、用意周到過ぎるんだよ…。」


嫌がるを通り越して落ち込んでいるようだったが、だけど面白いからグッジョブ。クラスの人。

となると、クラス展が始まるまでの間だけ尊たちのメイド服を借りてきたってことなのか。ってことはこのメイド服、後で尊が着るのだったりするのかな…。


「…。」

「…何?」


一歩下がって、さながらプロデューサーの如く下から上まで舐めるように見る私に、臨が引いていた。


「あんま見ると金取るよ。」

「いや、こうしてみるとやっぱり尊に似てるなって。」


元々臨が尊に似た顔立ちだから、女装すると余計に尊みが増している。身体はともかくとして。


「尊のクラスには見に行けないから、この際臨で堪能しておこうかと。」

「気持ち悪いこと言うな。」

「ちょっと、私のウィッグかぶる?」

「被らない!やめてくれよ!クラスの女子に聞かれたら本当に被らされるんだから!」

「あははは、うける。」


臨が珍しく必死で面白い。よっぽど嫌みたいだが、こっちはこのネタで一週間は笑えそうだ。


「それに、尊に似てるって言うなら俺よりも…。」


臨が途中で言いかけて、やめた。後ろで流れている他のクラスの舞台演奏も重なって、なんて言ったかよく聞こえなかった。


「ん?なんて言った?」

「…何でもない。」


そう言って下を向いた臨の顔は、あの時、私が東京の話を持ちかけて俯いた尊に似ていた。やっぱり似てるなぁ。あれ、でもあの時の尊って…。


「臨くん、そろそろ出番だよ!」


同じく舞台準備をしていたクラスの女子に呼ばれ、


「…臨?呼ばれてるよ?」


下を向いたままの臨に声をかけると、臨は別にいつも通りに「わかった。」と返事をした。そのまま舞台に出て行こうとして、


「写真とか取るなよ。」


と私に釘を刺してから、他の男子と一緒に舞台に消えて行った。

なんだ、そういうフリか?

後世に残してあげたかったが、私がスマホたる物を持っていないから撮れないのが非常に残念だった。


そして後で気付いたが、うちのクラスにメイド服を貸したせいで尊のクラスはクラスTシャツを来て発表していた。唯一尊のメイド服を見るチャンスをふいにしてしまったのだ。ああ、尊のメイド服、見たかった…。

伏線です。(言いたいだけ)

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