予知に許されたこと。
人には口に出してはいけないことがある、人の内面のをあらかじめ知る事があっても、“語る言葉に余地”を残さなければならない。
発端はあるある大規模な採石場爆発予告事件だ、目的は、採掘場にある事務所の爆破。それが開拓の過渡期にあった火星で起きた。
その時の火星はまだ開拓の時期で、“触手型宇宙人”というニックネームさえあるエルゲがその予知・予言能力であるtsとアーツを用いてその事件の解決に駆り出された。その能力は百発百中といわれる。エルゲは、一定の監視と制限つきで、行政に協力する仕事を与えられている。
警察が駆けつける。犯人は採掘場の旧入口に、旧入口は封鎖されていて、入る手段はない。独自の入り口をこしらえたのかと警察とその時協力していたエルゲがめぼしい男をみつけた。警察がかけつけるとけものみちをこしらえる作業をしている。明らかに不審な言動をくりかえし、この男を警察が取り調べる。結局予告通りの事件は起きなかった。
その男の供述から、ある採石場すぐそばの鉱山の工夫のグループがおかしいことに、それは男の仲間だった。とりしらべ、ある人が犯人と、男が断定する。
しかしその男を調べると、彼は工夫仲間にリンチをうけ、数か月まえから 意識をうしい重体で入院となっていた。本人に否定する能力がなければ、これがエルゲを怒らせた。それが犯人であるはずがない。そうこうしている間に次の予告がくる、採石場そばの鉱山を爆破して、工夫たちや家族を巻き込むという予告だった。
警察は地団太をふんでいたころ、エルゲは独自に能力を使い、真犯人を特定し、とりおさえる。警察に通報する。しかし警察は、証拠をつかむことができなかった。感情にまかせて行動した一人のエルゲの暴走だった。明確な証拠はないものの、周囲の状況、男のアリバイのなさから男はどう考えても犯人だと考えられた。周囲に対して“自分は事件を起こすかもしれない”と予言めいたことをいってまわっていたのだ。さらにエルゲを怒らせたのはこのが怪しいグループのリーダー格で、男が、件の暴行された仲間が犯人だと決めつけ、一回目の予告のあった2か月前から噂をひろめ、その結果、リンチを受けたことだった。
エルゲが確証をえて通報しのは、その男の明確な計画が“ts”によってわかり、予告のあった時刻にこの男が爆破のスイッチを整備するために鉱山の裏手を訪れると余地し、かけつけたところ、準備はまだ行われておらず、男は爆弾を用意していたが、その爆弾は、普段、鉱山で使うもので使用許可もとっていた。エルゲは焦って行動を起こしてしまったのだ。もし男が準備をしたあとに、通報をしたなら男は一巻の終わりだった。男の計画は綿密で、スイッチは二つ余分にあったがその日たしかに鉱山の一部を爆破する計画があり、その導線は引かれていた。スイッチをとりつける寸前の段階だった。
その後の裁判。
『犯罪を未然に予知することはエルゲにしかできず、それが成立したかどうかも、エルゲにしかわからなかった』
そうして、良いことをしたはずのエルゲは、その時の社会の法によって軽い裁きにあった。市民の名誉を傷つけたとされたのだ。結局この犯罪者と疑われた男はその後、警察組織の監視下におかれたが何の問題もおこさず、自体は何の進展もすることがなかった。
何よりその時エルゲはTCを使って、男が脅迫状を書いたという証拠をみつけることができていなかったのである。これはエルゲの中で教訓となった。