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嘘つきは恋人のはじまり  作者: JUN
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悪の秘密結社

「いい加減にしろ」

「真秀!?」

「真秀さん!?」

 真秀が呆れたような溜め息をついてそこにいた。

「真秀!」

「霙。よく頑張ってくれたな」

 真秀が笑って言うと、霙も笑って、

「だって、むざむざと渡すような真似はできないもの」

と言い、微笑み合う。

 そして真秀は、続いて利子の方へ冷たい目を向けた。

「よくやってくれたな」

「同じセリフなのにニュアンスが違う!!」

 霙は愕然としたように叫んだ。

「聞いて下さい、真秀さん!」

「いいや。いい加減諦めろ。俺は日本を手中にも納めないし、世界征服もしない」

「は?」

 霙達は、耳を疑った。しかし、真秀と利子の言い合いは続く。

「なぜですの!?真秀さんなら日本の頂点に立てます!いいえ、世界もその手に――痛い、痛いですわ」

 真秀は利子の頭をギリギリと絞めつけた。

「俺をテロリストか悪の秘密結社の首領にする気か。やめろと言ってるだろ」

「だって」

「あの、もしかして、島津さんの諦めないというのは」

 ハカセが代表するように口を開く。

「勿論、真秀様を世界の王にする事ですわ!」

「とうとう様を付けやがったぞ、この女」

 軍曹が怯えるように言うと、マヤが頷いて言う。

「ああ。ヤバい女だったよ、やっぱり」

 利子は熱弁をふるい出す。

「だって、女にうつつを抜かしていては、世界征服が――」

「し・な・い」

「何でですの!?」

「お前が何でだよ」

 真秀も霙も霙のチームもぐったりとした気分だが、利子のチームのメンバーは平然としている。

「洗脳済み!?」

 半蔵が怯えた。

「島津」

「はい」

「これ以上霙に絡むな。それと、俺は一日本国民だ。世界も日本も征服しない。するなら総理大臣になる。諦めろ」

「そんなあ」

「これ以上言うなら、二度とお前とは何もしない。ババ抜きもジャンケンすらもしない」

「ひ、酷いですわ!」

 真秀は一転、優しい顔を見せた。

「島津。お前は、お前の地元で女城主になれ。な?」

「真秀様」

「お前ならできる」

「ええ、私がんばりますわ!」

 利子はなぜか簡単に丸め込まれて、チームを率いて帰って行った。

 霙達も急いでフィールドを出ると、溜め息をついて足を止めた。

「びっくりしたよ、真秀」

 オバQが言うのに、真秀は困ったように笑う。

「俺も当事者だしな。それに、島津は勝っても負けても厄介なやつだから」

 全員、納得した。

「大名家の子孫って、ああいう人多いの?」

 ハカセが訊くのに、真秀は首を振る。

「まさか。あれは特殊だ。あれは大名家云々より、単に中二病が完治してないだけだろう」

「ああ」

 全員が頷いた。皆の中で、完璧なお嬢様に見えていた利子は、残念なお嬢様になっていた。

「真秀、今日はこれからどうするの」

 霙がソワソワとして訊くのに、真秀は申し訳なさそうに言う。

「明日も学校だし、もう帰るよ」

 霙は、

(がんばったのに。もうちょっと褒めてくれてもいいじゃない)

と思ったが、仕方がないとも思い、

「仕方ないわね」

と言った。

 真秀はそこでなぜかそわそわとして、手に下げていた紙袋をそうっと差し出した。

「あ、それで、な。これ」

「何?」

「レインに会いたいって言ってただろ」

「え!?連れて来たの!?」

「いや、それは無理だから。その、似た感じのがいたから」

(やっぱりこれは、失敗だったかも知れない。ベストか?それとも精密射撃用のライフルだったか?)

 焦りまくる真秀をよそに、霙は紙袋を覗き込んで、それを出した。

「かわいい!」

「黒猫!」

「赤いリボンしてる!」

 霙と半蔵とオバQが声を上げ、霙が弾んだ声で

「ありがとう!」

と言うので、どうやら喜んでくれているようだと思って、真秀は安堵した。

「いや。その、レインも、春に俺がこっちに来る時には連れて来るよ」

「うん。楽しみねえ」

(それはまさか、レインが来るのが楽しみなのか)

(近所よ、毎日だって会えるのよ、きゃー)

 マヤ達はそんな2人を黙って見ていたが、

「何か、考えている事が、想像つくね」

とハカセが言って、皆、頷いた。

「いいよなあ」

「その前に受験でしょ」

 軍曹の言葉にマヤが返し、溜め息が重なった。




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