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嘘つきは恋人のはじまり  作者: JUN
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女の意地

「はあ!?俺の意思は無視か?俺は賞品か」

 知らせを受けた真秀は呆れた。

 年に一度、現存する元大名家の子孫達は集まって友好を深めている。真秀もそれに参加した事があり、他の子供達と遊んだ覚えもある。

(島津利子……ああ、思い込みが激しくて、負けず嫌いな子だったな。年は同じで、確かトランプで負け続けて、勝つまで延々とやらされたんだった。あれは、酷かったな)

 思い出しただけでうんざりしてきた。

(サバイバルゲームで対戦か。向こうもやり込んでるのか)

 真秀は、少し調べてみる事にした。


 霙達は、やる気満々で部室に集まっていた。

「気にくわないわ、あの女!何様!?」

「お姫様なんじゃない?」

「見下したあの態度!」

「血祭りにあげてやりましょう」

「ち、血祭はやめろって」

 軍曹が怯えるように言った。

「これ、真秀から届いたんだけど」

 ハカセがスマートメディアを出す。

「島津利子って人のグループ、そこそこ強いチームらしいよ」

「え」

 全員、真顔になった。

「真秀が島津さんの地元に問い合わせて、去年の大会の映像をコピーさせてもらったんだって」

 言いながら、それをパソコンにつないで、再生を始めた。


 島津利子は、生き生きしていた。これが戦国時代なら、戦場の女王を名乗っていたに違いない。

 動きがよく、反応、判断が早い。射撃も正確だった。

 見ていて、流れるようなその動きに感嘆する。

 終わっても、誰も喋らなかった。

「まずい約束をしちまったんじゃねえの?」

 どうにか第一声を放った軍曹を、マヤがギンと睨みつける。

「ひいっ!」

「それでも、勝たないといけないの。わかる?」

「女の意地よ」

「負けられないのよ」

 半蔵とオバQも、闘志を燃やしている。

「皆……」

 霙は目頭が熱くなった。

「今日から特訓よ」

「おお!」

 霙達のチームは、そこまで上位に入った事は無い。しかし、負けるわけにはいかないと、霙は決意を新たにした。


 利子達は休憩に入り、電動ガンを置いて、テーブルに集まった。

 今日は先日利子が用事で東京へ行った時にお土産に買って来たお菓子だ。

 それを見て、利子は霙達を思い出した。

(呑気そうな顔をしてたわね。それに、楽しそうで。ええ、楽しいでしょうよ。

 真秀さん、今年は懇親会に来るかしら)

 初めて顔を合わせたのは、9歳の時の、元大名家の子孫の懇親会だ。当時利子は、何をやっても大抵クラスで1番で、天才少女と呼ばれていた。

 懇親会に子供は少なく、同じ年の利子と真秀は、挨拶をしてご飯を食べると、2人で遊ぶしか相手がいなかったので、ゲームをして遊ぶ事にした。

 トランプを持っていたので2人で神経衰弱をしたら真秀が勝ち、利子は納得できずに、オセロをする事になった。そのオセロでも真秀が勝ち、利子は今度は9路盤での囲碁を持ちかけたが、やはり真秀が勝った。

 その頃にはもう帰る時間になっていたので、利子は悔しがって泣きながら、

「来年は絶対に私が勝ちます!勝つまで帰しません!」

と宣言し、次の年も真剣に真秀に挑んだ。

 面倒臭かったので真秀は適当にオセロで勝たせたが、今度は烈火のごとく怒って泣き、真剣に勝負しろと言う。

 勝負したら、オセロも囲碁もポーカーも将棋も神経衰弱も真秀が勝ち、利子は悔し泣きして勝つまで対戦をしようとし続けたので、困った挙句に刺繍で勝負して、やっと利子が勝ったという過去がある。

 それを思い出して、利子はほう、と溜め息をついた。

(真秀さん。天才、神童と呼ばれていた私が初めて認めた相手。そこらの有象無象になど、渡すものですか)

 利子は鼻息も荒く、そう誓った。


 


 

 


お読みいただきありがとうございました。御感想、評価など頂ければ幸いです。

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