登場人物・世界・天主教についての解説(地図有り)
・登場人物
オスカー(オスカー・シュミット)
三十歳(プロローグ時点では二十歳)
双子の兄が居たが、故郷を出た際にとある事情により絶縁した。
現在はヘレナを娘として育て、共に各地を旅しながら冒険者として活動している。
肌は薄いオリーブ色、瞳は翠、髪色は黒、右目の下辺りから左の頬骨辺りにかけて、斜めに大きな傷の跡が残る。
日中は常に黒いフードのついた袖の無いローブのようなマントを羽織り、革製の黒い手袋を着けている。
ヘレナ
十歳(プロローグ時点では零歳)
故郷の集落を何者かに襲撃され家族は全員が死亡した。
現在は、オスカーと共に各地を旅している。
白い肌に、髪と瞳は暗い茶色。
・主な国々
黄色線が街道を、青線が河川及び海路を、赤点が帝国自由都市を、緑点が主要都市を表す。点線の内側はその国の実効支配領域を表す。
ローシエント帝国(赤い国境線の内側)
舞台となる文明圏(他の文明圏も存在する)の中央に位置する大国であるが、多くの諸侯と人民、文化を内包しているため常に国内での争いが絶えない。半ば諸侯の連邦国家と化しており、元首である皇帝の権益も場合によっては諸侯に劣る。
元首の皇帝は、多くの諸侯の代表である「選帝侯」による立候補および投票の末決定される。
南西部をフェルマーレン王国、東部をヴァンダル王国、東北部をノイケーニヒクライヒ王国、北部をディントルン=ノルヴァント王国、海を挟んだ北西部を島国のグレートカンブリント王国に囲まれている。
◎主な諸侯国・都市
・アウストリウス大公国 現在の帝位を持つ国。帝国の東南部一帯を納めている。
・アイゼンブルク共和国 北部国境付近にある鉱山都市群で構成された連邦国家。
良質な鉱石や魔石、ミスリルが採掘される鉱山があるため、鉱山が多く、鍛冶の国として栄えている。その為、ドワーフたちが多く住む。
オスカーの故郷。
・シュバルツブルク=プロイシア王国 選帝侯のひとつで、帝国内最強の陸軍を有する。帝国の北北東にあった小国、「プロイシア王国」を同君下位国(同じ君主を戴く下位の国)として支配し、併合することで王国を名乗っている。帝国北部に位置する事から、帝国の北壁とも呼ばれる。
・ライスバッハ王国 選帝侯のひとつ。宗教的対立から、国内での情勢が日々悪化し、山賊と化した農民一揆勢が国の各地に散らばっている。ヘレナの故郷の集落はこの領内にあった。
・ネードルスラント連邦 帝国西部に位置する帝国諸侯の一つ。隣接する多数の貴族らの連合国家であり、その国土は帝国外にまで拡がる。新興国家であり多くの宗派の人間が集まるため「信教自由令」を布告することで国内を発展させた。巨大な銀行が林立し、「金融大国」として帝国内外から多くの人々が集まる。東洋に多くの植民地を持つ。
フェルマーレン王国 帝国の南西部にある王国。パトリウス家を王家とするパトリウス朝が国を支配する。周辺の国々のなかではかなりの強国だが後継者問題を抱えており、政情は安定していない。
ノイケーニヒクライヒ王国 帝国の東北部に位置する大国。かつては魔王と呼ばれる魔族(強大な魔力を有する種族。頭部には角を生やし、髪は黒が多い)の王が一帯を支配していたが、十年前に勇者が魔王を討伐したことで平定され、そのまま勇者がここの女王として君臨している。魔族の他、人間や獣人も多数暮らすが、勇者王の政策により安定した治世が続いている。永世中立を宣言している。
東ローシェン帝国 ヴァンダル王国のさらに東、異教徒との争いが激しい中東地域との境目に位置するかつての大国。千年以上前にこの文明圏を支配していたローシェン帝国が東西分離を起こした際の片割れ。帝都、ルキウースェノポリスは難攻不落の城塞都市として知られる。近隣諸国や異教徒との争いにより徐々に衰退し、二十年前に起きた「第四次東方戦争」により衰退は決定的となり、国土は帝都とその他ごく僅かに残るのみとなった。
グレートカンブリント王国 大陸西部の海を隔てたさらに西にある島国。周辺の島々を征服した後、西の大洋の向こう側にある「新大陸」を発見。南部のイスパル王国、パルシリア王国と植民地争奪戦を繰り広げている。
ヴァンダル王国 アウストリウス大公国の東隣に位置する大国。しかし魔王率いる魔族との戦争「四年戦争」に巻き込まれ、当時の国王を含め多数の王族を失い、現在は親戚関係にあったアウストリウス大公の一族が国王として統治している。
ディントルン=ノルヴァント王国 帝国の北に位置する国。巨人族の一大居住地があり、彼らを傭兵として雇うことで軍事大国として名を轟かせており、四年戦争では魔王軍との戦闘において唯一勇者出陣(開戦から一年後)までの間優勢を保っていた。東のハクロス帝国とは領土を巡り幾度も争ってきた。しかし四年戦争勃発の前年に起こった極北戦争ではハクロス帝国と同盟し、互いの間にあったスヴァート王国を滅亡させた。
ハクロス帝国 ディントルン=ノルヴァント王国とノイケーニヒクライヒ王国の東にある大国。建国から三十年にも満たない新興国家でありながら巧みな騎馬用兵や、近衛兵「ストレリツィ」らの活躍で一躍領土を拡げた。西のディントルン=ノルヴァント王国とは領土を巡り幾度も争ってきた。
イスパル王国 フェルマーレン王国の南部にある植民地大国。新大陸を始め、東洋にまでその植民地を拡げ、グレートカンブリント王国と植民地争奪戦を繰り広げている。西隣のパルシリア王国とは婚姻同盟を結んでいる。
パルシリア王国 イスパル王国の西隣にある国。小国ながら巧みな操船技術を持ち、植民地を拡げている。イスパル王国とは婚姻同盟を結び、グレートカンブリント王国とも同盟を結ぶことで両国の仲介をする傍ら、植民地帝国を新大陸に築いた。
ターコニアス帝国 東ローシェン帝国を囲い混むように領土を拡げる異教の大帝国。駆竜(二足歩行で足の早い鳥のような竜)を用いた騎兵を使い東西に領土を拡大し続けている。
◎天主教
ローシエント帝国を始めとする周辺諸国で広く信仰されている巨大宗教。天主と呼ばれる唯一神を信仰対象とし、千五百年以上昔から信じられている。そのため、土地や時代によって信仰に差異がみられるが、禁則事項について纏められた「戒律の書」と、天主による天地創造から彼の神の昇天までの神話時代の歴史について纏められた「天の聖典」の二つの聖典の記述に従う点ではどの教派にも共通している。
・主流派教会 現在各地でもっとも広く信仰されている教派。天主教の教派の中でも聖典の記述の厳守に重きを置いており、違反者への重い罰則や、異教、異端への措置が苛烈であることが知られている。しかし、長年天主教の主流派として君臨していたため、教会内での腐敗はかなり進んでおり、汚職等が絶えない。教会のトップは「法皇」と呼ばれ、本拠地はローシエント帝国から南に位置する巨大都市ローシェンの「サン・レオン大聖堂」。
・東方教会 東ローシェン帝国を中心に、天主教を信仰する国々の東部で広く信仰されている。異教と隣接していたり、元々異教の国であった場所で信仰されているため、主流派よりも異端や異教には寛容であり、「東方目録」と呼ばれる独自の聖典を持つ。本拠地を東ローシェン帝国の帝都ルキウースェノポリスにある「東方大聖堂」に置いており、教会のトップは「ルキウースェノポリス大司教」と呼ばれる。
・新説派 上記のいずれにも所属しない新しい教派。主流派教会の腐敗に反発し、各地で同時多発的に広まっていった。その新説派の中でも大きく三つに別けられる。
――戒律派 戒律の書を重視する教派。しかし戒律の書を厳守するあまり、主流派以上に厳格になってしまい、信仰者はあまり増えない。
――聖典派 天の聖典を重視する教派。戒律派ほど厳格ではなく、あまりに厳しすぎる罰はかえって人を悪に落としてしまうと考えられており、異端や異教へも寛容であるため、その勢力を拡大させている。
――復活派 天の聖典の最終項に記述されている「復活の黙示録」を重視し、昇天した天主をこの世界に復活させることを教義としている。他のどの教派とも違い、信仰者の大多数が魔族で構成されており、その多くが魔王征伐を始めとする「四年戦争」によって虐げられた者達であり、多くの教派に対して非常に攻撃的。各地で暴動や反乱を起こし、起こされた国はその度に大きな損害を被るため、各国から危険視されている。
次回から新章突入します!




