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不思議の国のぽっちゃり姫たち♡  作者: マックロウ・ブロッサム
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おまけ

 第11話の寝室のダブルベッドのひともんちゃくの一幕。


 第11-3話『男の子たちの語られざる戦いだよ~ですわ♡』


「ほら、がんばれ王子。ゴールはもうすぐだ」

「お、重い……」


 宴もおひらきになり寝室に案内される、パジャマ姿のキャロライン姫とジョージ王子、真白ちゃんとあおいくん。

 『甘いやつ』を飲んで、ぐでんぐでんになっているぽっちゃり姫様たちを王子様たちが運んでいます。


 彼らは空中要塞の最上階、いわゆるスイートルームに到着。

 案内役のハチにドアを開けてもらい、中に入るあおいくん。


「さーて、久々にゆっくりベッドで寝れるぜ……、なあっ!?」

「どうした、あおい殿?」


 お姫様だっこをしたまま、あおいくんがアゴで指す先。ジョージ王子が見ると、なんとスイートルームの中にダブルベッドが2つ並べてあります。


「何ぃっ! どういうことだ!?」

「ごゆっくりどうぞ」

「待て! 何をごゆっくりさせる気だ!」


 案内役のハチはそそくさと姿を消し、王子たち4人は部屋の中に取り残されてしまいました。


「……とりあえず、彼女たちを寝かしつけないか?」

「ああ……」


 王子とあおいくんは、ダブルベッドにそれぞれ姫様たちを寝かせます。

 すーっ、すーっと寝息を立てる、キャロライン姫と真白ちゃん。


「まさか、1つの部屋にベッドが2つとは……」

「くそっ、たぶんあの女王バチの差し金だな! 一体どういうつもりだよ……」


 のちに、女王パッチはこう述懐します。

 4人同時プレイを楽しんでもらいたかった、と。


「エキストラベッドをつけたら、1つのベッドになる仕組みのようだな」

「あのハチ女、明日ぜってえ蹴ってやる」

「うぅーん……」


 そうこうしていると、キャロライン姫が寝返りをうち、その拍子に彼女のパジャマの胸元がはらりとはだけます。


「あ」

「見るなぁ!」


 シュバッ!


 ラトス流王室格闘術を駆使し、チョキの指であおいくんの目を潰そうとするジョージ王子。

 あぶねぇ! と、あおいくんはとっさに目潰し(サミング)を払いのけます。


「お前! いきなり何すんだよ!」

「す、すまない……。思わず……」

「いや、気持ちはわかるけど、俺の目を潰すよりお姫様の服の方が先だろ」


 王子様をお前呼ばわりするあおいくんに、申し訳なさそうにするジョージ王子。

 キャロライン姫の胸元を見ないよう見ないようにと、顔をそむけながらパジャマの襟を整えようとしますが、逆に手元が狂って指先が『ふよんっ』と胸に当たってしまいます。


「……キャロライン!」


 理性が飛んで、思わず姫様に迫ろうとする王子! 

 ですが、あおいくんが彼の脇腹にショートフックを入れます。


 ドボォッ!


「ぐほぉっ!?」

「いくら婚約者だからって、それは良くねえ」

「ううう……。あおい殿、重ねがさねすまない……」

「うう~ん……?」


 すると、今度は真白ちゃんがムクッと起き上がります。


「あおいちゃ~ん、いっしょにねよ~……」


 真白ちゃんは自分の隣をぽんぽんと叩くと、またぱたりと倒れます。

 あおいくんは、そっとベッドに入ろうとしますが。


「御免!」


 バキッ! と、ジョージ王子に頬面を殴り飛ばされます。


「ぐわっ! ……はっ? 俺は今、何を?」

「危ないところだったな……」


 わるいわるいと、王子に謝るあおいくん。

 すーっ、すーっと彼女たちの寝息が静かに響きます。


「しかし、さっきの様子から察するに、普段から君たちは同衾をしているのか?」


 まだ、婚約どころか付き合ってもいないくせにと、ジョージ王子はあおいくんにじとーっとした目を向けます。


「そんなわけねーだろ! ……まあ、ガキの頃は一緒に寝てたりしてたけど」

「何っ!? ということは、君たちは昔一緒にお風呂に入ったエピソードや、彼女が寝ている君を部屋まで起こしに来るイベントがあったりするのか?」


 王子は幼なじみ属性ネタを問いただして来ますが。


「いや、どっちかってーと真白(こいつ)の方が寝ぼすけだから、俺の方が起こしに行ってる」

「なんか思っていたのと違うな」

「あと時々、俺が朝飯を作ってやったり」

「君は、お母さんか何かか?」


 とはいえ、幼なじみエピソードに事欠かないあおいくんたちを、王子はうらやましく思います。

 王子とキャロライン姫も婚約者として古くからの付き合いではあるのですが、隣国どうしの王族なので頻繁に会える訳ではないのですから。


「うぅん……。王子様ぁ……、大好きですわぁ……」

「「!?」」


 突如襲い来る、王子への愛を語るキャロライン姫の寝言!


「キャロラ……、ぶっ!?」


 思わず飛び出そうとする王子の鼻面を、あおいくんはべしっと裏拳で制します。


「ぐううう……、こんなに互いに愛し合ってるのに、手を出すことが出来ないなんて……」


 顔を押さえながら崩れ落ちる王子の肩を、あおいくんはぽんぽんと叩きます。


「うう~ん……」

「「!?」」


 そうすると、今度は真白ちゃんがむにゃむにゃと寝言を言い出します。


「あおいちゃん、いつもありがと~……。わたし、あおいちゃんのことが……」


 かたずを飲んでドキドキしながら、真白ちゃんの次の言葉を待つ2人。


「ZZZ~……」

「言わねーのかよ!」

「し、心臓に悪いな……」


 また寝息を立てる真白ちゃんに2人はガクッとずっこけます。


 すーっ、すーっと響く、彼女たちの可愛らしい寝息と寝顔。

 ジョージ王子とあおいくんは、顔を見合わせ。


(この状況、お互いに黙ってさえいれば……)

(どんな事をしようが、お構いなし……!)


 コクンとうなづき合うと、2人とも理性を失ってしまう前に。


「「クロスカウンター!!」」


 ドゴバキーッッ!!


 2人が放つストレートは、互いの顔面に突き刺さります。

 王子とあおいくんはバターンと床にあお向けに倒れ、そのままダブルノックアウトとあい成りました。


 朝。


「……ふあぁ、良く眠れましたわぁ」

「ふわあ、良く寝た~。キャロちゃんおはよ~」

「おはようございます、真白様」


 キャロライン姫と真白ちゃんがベッドから起きると、その足元には。


「きゃあああああっ! 王子様!?」

「うや~!? あおいちゃん、どうしたの~?」


 そこにあるのは、顔面がボコボコに腫れた男性2人の姿。

 すぐにキャロライン姫のハチミツを顔に塗って、イケメンを治してもらいました。


 こうして2人のプリンセスの誘惑(?)と煩悩に打ち勝ち、夜を乗り越えた王子とあおいくんはますます友情を深めたとか。


 そのあと、仲良く女王パッチを蹴ったとか蹴らなかったとか。



 おしまい

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お読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] あおいちゃんは立派な主夫になりそうですね。 [気になる点] 女王様…… 同室にダブルのダブルベッドはアカンですよ……
[良い点] ふたりで我慢!? どーしてー! 寝顔にちゅーくらいしても良かったのに!! ……あ、でも、そうすると、最終的に女王蜂様が喜ぶことになるのですかね……!?(←どっかから覗いてそうと思ってますw…
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