0話/変化しようとした結果
4月16日
8年弱働いたところから新しい仕事への再スタート。
研修は楽しくて、同期も楽しくて。
順調なスタート。
研修中に配属先が大手企業に決まって、6月3日から同期と一緒に行くことになって、不安と期待でいっぱいだった。
同期は初めからこの仕事に就きたくて、内定もらってから勉強していたらしく知識も飲み込みも早かった。
その時は追い込まれていく自分が他人事のように遠くに見えた。
数日後、追い討ちをかけるようにもう1人と比べる声が聞こえてくる。そしてクスクス笑う声が聞こえる。
気にしないふりして表面上だけは笑って…
「焦らなくても、僕よりいいところいっぱいあるから」
と、言う同期に"ありがとう"と返すのがやっとだった。
それでも時は進んでいく。
日に日に壊れだした心に気付きだした時、起業の誘いによって心は簡単に壊れてしまった。
もう続けることが出来ない。
起業の方が気持ちは楽かもしれない。心は壊れないかもしれない。そっちに逃げよう。けど逃げてはダメ。ちゃんと契約期間守らないと…飛んではいけない。
仕事をしながら頭ではぐるぐる回る考えに疲れてしまった。
逃げではない…のでは?
そう正当化して、気持ちを入れ替える為の3連休。
何食わぬ顔で実家に行ったり、出かけてみたりした。
3連休明けの出勤日
異変は起こった。
起きれない。起きたくない。
だるく重い身体を起こして準備をしていく。
あ、もう出なくちゃ…
家を出て自転車に乗った。
なんでだろ…苦しくて。
駅に向かう道、曲がれば実家。
実家に行こうかな?仕事行かなきゃ…けど…
嗚咽が漏れて、けど駅まで行って、
頑張れ、頑張れ。大丈夫、大丈夫。と言い聞かせて、電車に乗り込む。
電車に揺られて、降りる駅で席から立てなくなりそうで早めに席を立って降りる。
「おはようございます。」
その言葉すら掠れて声が出なくて吐き気がして、職場に置いてあったものを無意識に鞄に直して、体調不良なので帰らせてもらえるように頼んで、帰り支度をして職場を逃げるように退社した。
帰りの電車に飛び乗って家を目指す。
仕事を放棄してしまった…
なんでもっとちゃんと言えなかったの…
萎縮してしまった心は簡単に戻らない。
只々罪悪感が波のように、押し寄せては引いてを繰り返していた。
落ち着くのに数時間。眠っていた。
眠っていて、電話が鳴り続けていたことは知らなかった。
突然電話が鳴る。
反射的にとってしまった相手は、委託元の人だった。
退社させて欲しい。と泣きながら訴えた。
話をする場を設けられ、そこで書類を書いて欲しいといわれ、またも重たい身体を引きずって最寄駅へと向かったのだった。