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ヒーローとは名ばかりで。  作者: あいすべあ
物語
8/9

第八話:真実

「ん……」


目が覚めるとそこには心配そうに私を見詰めるユアと見知らぬ天井があった。

あ、病院か……。


「お姉さん、大丈夫……?」


「ん、大丈夫だから泣きそうな顔しないでね」


ユアの頭を撫でると腹の痛みが襲う。

……これで確信した。


「ルイ憑かれてるよね」


そう呟くとユアは顔を勢いよく上げて聞いてきた。


「気付いたの……?」


声を出さずに頷く。

といっても私が気付いたのは二重人格の事だけだけどね。


「ルイの事さ……聞ける状況じゃないし話してくれる?」


「………ルイの中にはエイトって言う橘家に虐待されてた子が入ってるんだ」


私がそう言うとユアは口を開いて話しはじめる。

何処か悲しそうな表情で……


---------


「お前はいらない」


実の親に叩かれる。

もう何時もの事だし慣れてる。

ただ、夢を見ずには居られないんだ、希望を探してしまうんだ。

……ルイにあった時からだ。


「あ、エイト……」


俺の頬の傷を見て驚くと悲しそうに俺の傷を手当てしようとする。

だけど、俺はそれが情けなくていらないと言い顔を背けた。


「……また、父さんにやられた」


笑いながらそう言うと涙が滲む。

出したら弱さの証拠になってしまう、そう思う気持ちが涙を飲み込んだ。

これから暴力が続いたとしても俺は強くなって生きてやる……


---------


「そのままエイトは父親の虐待で昏睡状態になったんだ……、でもご当主は万莉さんを養子に取ってエイトを放置した。それを知ったルイは体と精神を両方とも預かったんだよ」


「……ん?私を刺したのはエイトクンなんだよね……凄い良い子っぽいけども」


「あー……ルイ以外は生きてる価値が無いと思ってるからさ」


うむ、ヤンデレという奴ですかね……いや、別に性癖は自由だから良いんだよ、うん。

……エイトクンの体を碧衣に言ったらどうにかしてくれそうだけど……精神はなぁ……。


「……ね、そのエイトクンの弱点ってさ、知らないかな」


「え?」


私は悪い笑みを浮かべながら提案した。


---------


「エイトに近付く事が危険なんだけど……お姉さんなら出来るんだね」


「うん、凄いでしょ?いやー、ルイとエイトクンってそっくりだね」


ルイの見た目をしたエイトクンを抱えたままそう答える。

少し動揺させただけだよ、女の武器を使ってね。


「離せよっ、つーか何で俺の名前……ユア、てめぇか……」


「あははー、静かにしようか?お姉さんに何されたいのか知らないけど暴れるとどうなるか分からないよ」


……ユアって圧倒的有利になるとこう……力入るよね……


「ま、君の体に返してあげるからさ……ね、暴れるとちょっと面倒」


「うるせー……離せ」


「え、いや無理」


「離せって言ってん」


「お姉さんナイス」


ユアに親指を立てて合図する。

え、いやね?ちょっと軽く首の後ろ辺りをゴンッとね。

静かになったエイトクンを抱えながら碧衣の場所へと向かう。



近付く度に何か嫌な予感がする。

私はユアの手を掴んで小走りで進んでいき、碧衣の家もとい研究所へ着くと忘れられない顔が見える。


「万莉さん……」


「あら、万莉さんなんて他人行儀ですね?実の姉妹じゃないですか……こんなに顔も似ているのに」


え、私ら姉妹なの……結構重要な秘密を初めて知ったよ。

生き別れ……両親に問い詰めよう。生きてないけど。

私、万莉さんとそっくりなの?……自分の事美少女って言ってたの私。おっと寒気が。

て、待って殺されそうになってるのはエイトクンかな。


「その手、離してくれるかな」


多分、一生で一番怖い顔してると思う。

だってわざとさせてるからね。

不気味なオーラを放ちながらゆっくり近付こうとするとナイフをもっとエイトクンに近付ける。


「嫌です、この方を殺したら私は橘家の当主に……っ」


「なれないぞ?」


さも当然という様に言った碧衣の言葉からその場の空気が凍る。

一番動揺していたのは万莉さんだった。


「は……?何を言って……」


「橘家は外面だけで存在してる様なもんだからね。私が電波を軽くいじって橘家の悪行全て晒したから……ま、もってあと数ヶ月って所かな」


「……そんな、じゃあ私がロボットを造り続けた理由は?両親に売られた事の復讐をしてやろうと思ってたのに…………」


は、ちょいオトンオカン出てこい。

私の可愛い可愛い妹返せ。

あ、私が妹っていうのは認めない。


「いや、万莉は誘拐されたんだよ、橘家に。変なこと吹き込まれて信じてんじゃ無いよ」


碧衣格好良すぎるよ、何処からその情報見付けた……柚子か。

両親とも……すまん。

万莉さんがその場にへたり込んだ隙にエイトクンの体を奪う。


「碧衣、どうやったら精神戻ってくれるかね」


「さぁ、キスじゃないかな。お伽話みたいに何でも解決~」


それを聞いた瞬間の私の動きは速かったと後から聞いた。


---------


「「おぇえ……」」


「……ごめん、戻ったし許して欲しいな」


実際に戻った二人は最悪の目覚めだったと語る。


「あー、うん……」


「誰が許すかよ」


うん、容姿は似てるけど性格がわかりやすいな。

ツンツンがエイトクン、優しいのがルイ。


「あはは、お姉さんがキスすれば良かったのに二人でキスするとは……」


大爆笑しているユアを二人が睨む。

その様子を見ると微笑ましく思えてしまう。


「……あ、そういえば私を守ろうとしたのルイでしょ?心臓からずらしたの、ありがとうね"ッ」


話そうとルイへ近付くと制止がかかる。

腕を引っ張られたからだ、二人に。


「ちょっと、何お姉さんの手掴んでんのー」


「おめぇもなんでだよ、離せ」


「二人とも離せって……」


三人仲良くしようか、碧衣と万莉さんが反応に困ってるよ。


「……今日も平和だ」


そう呟いた瞬間、碧衣が意地悪そうな笑みを浮かべて提案する。


「ちょっと待った、誰が良いかはヒーローに決めてもらえば良いじゃないか」


何故私に話が回る。

余計な事を……っ

その言葉を聞いたからか三人が同時にこちらを向く。

冷や汗が流れると答えを探すが見付からず一言。


「ひ、ヒーローとは名ばかりでして……」


逃げる為の口実としてそう残して部屋から消えていく私を呼ぶ皆、本当のヒーローになれるのは長そうな予感がします。

今までお付き合いありがとうございました!

またこのキャラ達で話をかけたらなーと思っています。

では、閲覧ありがとうございました!

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