第六話:不穏な空気
「ッはぁ……はぁ……」
夜中、目を開けると苦しんでいるルイが居た。
寝ているのに、起きているような……不気味な気配がする。
起こすともっと悪い事が起きる、と思ってしまいなかなか近くに寄れない。
「ルイ……?」
私には、ただ名前を呼んで朝まで手を繋いであげる事しか出来なかった。
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「お姉さん?どうしてルイと一緒に寝てたのかなぁ?」
そうなのです、朝起きると私がルイの抱きまくらになっていたのです。
「多分、あのまま寝落ちしたかと……」
「あ、の、ま、まぁ?ねぇ、ルイ何したの……」
「逆に俺が知りたい……」
ルイは壁に頭を押し付けてます、何かごめん。
赤い顔を見るとあ、ルイだ。と少し安心してしまう自分もいる。
「いや、私が一方的に……」
「一方的ぃ?ねぇ、僕は嫌な予感しかしないんだけどっ」
何を勘違いしているのかわからないが、ユアが怒っているのは分かる。
だって、目が笑っていないからね。怖い。
私はユアに胸倉を捕まれて壁に押し付けられてます、昔流行ったと言われる壁ドンなのかな。
「取り合えず、お茶飲んで落ち着こうか」
私はお茶をいれて机へと置く。
「っ……」
ルイがお茶に一向に手をつけないので心配になり顔を覗き込むと、首を捕まれる。
うん、苦しいよ。死ぬ。
「ちょ、ルイ何して……」
お茶はこぼれるは大惨事。
「やめろ、出てくるな……」
ルイが小声で何かを呟いているが聞き取れない。
ユアには聞こえたのか私とルイを引きはがす。
「……とうとう昼にも、ね」
「………」
そのままルイは一言も喋らず、目も合わせずに一日を過ごした。
……このまま喋れないのはやだな……明日は話せるよね。
「お姉さん、明日仲直りしようね」
「うん……」
ユアの声を聞き、安心して眠りに着く。
現実から目を背けて。
次の朝、ルイの痕跡は消えていた。
まるで、存在して居なかったかの様に……。