第三話:仲直りの仕方
先程の喧嘩?から数時間経ちますが、まだ仲直り出来ておりません。
いやまぁ、私がいけないんだけども……
「ルイサーン?ルイサァーン?」
何度呼びかけても返事をしてくれない彼に少し諦めかけるが、恩を仇で返すのも難なので必死に呼びかける。
が、やはり普通に名前だけ呼んでいても反応してくれる筈もなく、ただただ私が一人で喋っているイタい人にしか見えない。
「あ、あー…………ごめん」
言い訳を考えようとも思ったが、全て集めて一言で済ませる。
言い方としては悪いけどこれが一番手っ取り早いと思う。
いきなり謝った私に驚いたのか、ルイは反応して後ろを振り返った。
「い、や……俺も……ごめん」
申し訳なさそうにルイが謝ると、暫く無言が続く。
その無言に耐え兼ねなくなった私は、いきなり立ち上がり声を上げた。
「ルイは謝らなくても良いんだよ。あ、何か手伝う事とかあるかな、出来ることならやるからさ」
どうしても子供と同じ様に接してしまう。
見た目もあるし、実際に年下だし……
普段は下ろしている長い髪をくくり、準備をする。
……普段から縛ろうかな、動きやすいし。
「え、いや別に。……!?」
髪型を変えると、あからさまにルイが反応する。
……もしや、ポニテが好み……
「そっすか……あ、ルイってもしかしてこういう髪型好ミ"」
恥ずかしそうにしながら私の頭を叩く。
仕草は良いんだよ、うん……叩くのはやめようか、痛いから。
叩かれた場所を触っているとルイが私の頭を撫でて……というか心配しながら聞いてきた。
「……悪い?」
何その言葉と仕草、最高です。
ずっとここに居たい。時よ止まれ。
「いえ、全然。寧ろそのままの君で」
あ、やべ、口が勝手に。
口説き文句ならいくらでも出て来る気がするな。
ルイの一つの発見が出来た事だし、これからもこの髪型にしよう。
「え、あ、うん」
動揺して答えるその姿も可愛い。
昔から小さい物が好きな私は人間にも対応するのか……
なんて考えていると、警報が鳴る……え?
ここはトンネルの上の空間なので音はあまり響かないが、トンネル内の音は良く聞こえる。
バレたのでは、と内心焦っているとルイが一言呟いた。
「……また人数が増えそうだ」
そう言うルイは面倒臭そうに振る舞っていたが、何処か嬉しそうにも見えた。