俺の気持ち
「ヒュ―――ド―ン」
大きな花火が夜空高く上がっている。
「夏樹。私、どうしたらいいの?」
恋春は泣きそうな目に俺はそう問いかける。
そんなの俺だってわからない。恋春の命が後どのくらいあるのかもわからない。でも、手術をしなければならないというところやこう言うことを聞いてくる点からそんな長くないことが分かる。手術が成功しても死んでしまうかもしれないということも。恋春の命の灯はいつ消えるのかわからない。俺が変わってあげられればどんなにいいか。
「私、夏樹と別れなきゃなのに別れられないよ。別れたくないよ。どうしたらいいの?夏樹のためを思うなら別れなきゃだけど、私、夏樹と別れたら今の私じゃいられなくなっちゃうよ」
わかってる。恋春は俺のためを思って別れようって言ってくれてることは。もし、恋春が死んだら俺が立ち直れなくなると思って。確かに俺は恋春が死んだら立ち直れないと思う。だって、恋春は俺にとって大きすぎる存在だから。でも、そんな理由で引き離されるなんて理不尽だと思う。俺はこんなに恋春が好きなのに。
「恋春が心から嫌いになったら俺は別れるよ。でも、言葉だけの嫌いなら絶対に別れない。…一緒にいよう?ずっと。これからも支え合って行こう?」
俺は恋春のそばに寄り添って行きたい。これからも支え合って行きたい。前の俺の言葉を借りるとしたら、俺は、恋春の明日を見つめて、恋春と生きて行きたい。
「だって、だって、もし、私が死んだら…」
俺は立ち上がり、恋春の手を引いて抱きしめた。
「死ぬなんて考えるな。恋春は死なない。今も恋春の心臓はちゃんと動いてる。だからそんなこと言うな。…俺がずっと恋春のそばにいるから」
抱きしめ返してくれた恋春の手は小さく震えていた。その手は俺の制服を握りしめている。
「ヒュ―――ドーン」
花火が空高く、華麗に上がっている。
「これからもたくさんの困難があると思うんだ。でも、俺は恋春となら乗り越えられるよ。どんなことがあっても、恋春がいれば俺はどんなことだってできると思う。…病気のこと、一番恋春が怖いよね。でも、俺がずっとそばにいるよ。だから俺のこともっと頼ってよ。頼られないことが一番つらいよ」
恋春は俺の胸の中でコクコクと頷く。俺はそのコクコクと頷いた頭をなでる。
「…ありがとう。……夏樹、大好きだよ…」
多分、今の俺の顔は真っ赤だろうな。こんなこと言うなんて反則だよ。
「…俺も大好きだよ」
俺はそう言うと恋春を俺から離してキスをした。いつもよりちょっと長いキス。唇から恋春の熱が伝わってくる。
離れると少し悲しくて名残惜しい。
「これからは別れようなんて言うなよ。前にも言ったけど俺の心がズタズタになる」
「ごめん…」
「俺ばっかがさ色々と語っちゃったけど、恋春はこれからどうしたい?」
下を向いたままの恋春。俺は恋春の言葉を待つ。でも、この沈黙がちょっと怖い。俺の望んでいる答えが返ってこない気がするから。
「…私は、夏樹の明日を見つめて、夏樹と生きて行きたい」
俺は恋春の言葉にビックリした。だって、その言葉は俺が前に言った言葉だったから。
「俺も恋春の明日を見つめて、恋春と生きて行きたい」
俺もそう言った。恋春が俺の言葉を覚えていてくれたのがすごい嬉しかった。
俺たちは花火が高く上がる中、愛を確かめ合うように何度も何度もキスをした。
『君の明日を見つめて、君と生きて行きたい』
それは俺たちの合言葉なのかもしれない。
これからも一緒にいようと言う約束と、俺たちの最高の愛の言葉なんだ。
これでシーズン1は終了となります。
次回からはシーズン2になります(*^o^*)
シーズン2は夏樹と恋春が高3になった春から始まります。物語が大きく動くシーズンなので、シーズン1より楽しんでもらえると思います( ^ω^ )
これからも温かい目で応援、よろしくお願いします*\(^o^)/*