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プロローグ

書いてみたいという気持ちに押され投稿しました。

初投稿ですのでどうかご容赦を。

楽しんでいただければ幸いです。


少しだけ改変しました。

家名は白墨しらずみ  名前は史宏しひろ 。男 19歳。

家族構成は、祖父、父、母、妹、弟の6人家族。

少し変わっている家族だが、仲は良好。

先日、家族の合意を得て独り立ちをすることを許された。

その日は、門出の祝いにご馳走を食べ、家族全員から一人ずつ餞別をもらった。

名残惜しく思いつつも、翌日には朝一番で荷物を纏めて家を出た。

不安はあった。

だがそれ以上に期待があった。

一歩一歩、噛みしめるように歩いていると、家族に貰った選別を確認してなかったことに気がついた。

一度立ち止まり荷物を下ろそうとした時に先程まであったはずの地面が無くなった。

重力に逆らえるはずもなく、真っ逆さまに落ちた。



そのまま、落ちて、落ちて、落ち続けて3時間。

今も落下中である。

底が一向に見えない。


んー、ここまで判断できているなら、頭に異常はないだろう。

何でこんなことになったのか.......さっぱり分からない。


耳元でゴォーーーーっと鳴る風切り音にも慣れてきた。

今の状態は、落ちてるのか下から強烈な風が吹いてるのかわからなくなってきた段階である。

こんなに長時間落ちているのは、生まれて初めてだ。


体を捻じり周りを見てみる。

周りは暗いが、遠くのほうでわずかに光が瞬いている。

まるで宇宙空間にいるかのように錯覚させる。


まぁ、息は出来るから本当に宇宙空間ってわけではないんだろう。


最初のほうは何が何だかわからず狼狽(うろた)えていたが、現状把握ができる位には落ち着いている。


さて、そろそろやっておくか


スゥっと大きく息を吸い込み


「たぁすけてくれぇーーーー!!!!」


大声で叫んだ。


「..............」


静かなもので、反響音すらない。


まぁ予想通りだ。

答える声はなく、助ける者も現れない。


体感ではあるが、10分経つごとに大声で助けを呼びかける。

何十回と叫んでいるが、何かしらの変化は訪れない。


「はぁ..........死ぬのかなぁ......」


短い独り立ちでだったな。

微かな可能性に賭け、夢である事を願って目を強く瞑る。

そして、ゆっくりと目を開く。


「(やぁ)」


落ちている現状は変わっていないが、知らないやつが目の前にいた。

体型が確認できない程、ボロボロの布を幾重にも纏っている。

唯一、口元だけが確認できた。

落下による風切り音で声は聞こえなかったが、口の動きでなんとなくわかる。


「(あれ?驚かないんだねぇ)」


落ちているという非常事態がなければ驚いていたんだろうが......


「何言ってるのか聞こえない.........」


まぁ何を言ってるのかは分かるが


伝わるとは思っていなかったが、そう言うと落ちるスピードがゆっくりになりほぼ止まった状態になる。


「あぁ! 気が付かなかった。これで聞こえるかい?」

「えっ......あぁ......すごいな。助かった、ありがとう」

「いいさ困ったときはお互い様さ、僕の名前はルテル!! よろしくね!!」

「白墨史宏だ、よろしく」


普通に名乗ってきたので反射的に名乗ってしまった。

見た目は怪しいが悪い奴ではないのかもしれない。


「うんうん、シヒロくんだね。礼儀正しい人は大好きだよ。それにしても危なかったねぇ、僕が見つけてなかったら、それこそ死ぬまで落ちているところだったよ」


悪い奴どころか、命の恩人だったみたいだ。


「さてと、早速だけど聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「あ、あぁ、どうぞ」

「きみどうやってここに来たんだい? 来たくて来れるような場所じゃないんだけどねぇ」

「来たくて来たわけじゃないんだ。なんて言えばいいのか。端的に言うと落ちたんだ」


ジーっと探るような目でこっちを見ていた。

少し思案して


「ふーん、なるほど」


何か納得したらしい。

その後、何かブツブツと言い出している。

助けて貰っておいて何だが、危ない奴かもしれない。


「君に頼みたいことがある」


先程までの軽い雰囲気から、一変した。

真面目な雰囲気で頼まれる。


正直お断りしたいが、助けてもらったのだ。

よっぽどでない限りは聞くぐらいはいいだろう。


「聞くだけなら」

「ある世界で僕の落とし物を回収してきてほしい」



・・・・

・・・

・・




その後、頼み事と現状を説明をしてもらった。


頼み事というのは、アルトリリスという世界へ行って落とし物を回収する事。

アルトリリスという世界は、レベルあり、スキルあり、魔法ありの世界だそうだ。

落とし物の場所は、この世界に存在するダンジョンの中にあるらしい。

正確に言うと落とし物のせいでダンジョン化したそうだ。

ルテル本人が取りに行けないのは、この空間以外に直接的な干渉はする事は出来ず、独自での回収は不可能だとの事だ。


次に、今いるこの場所は何処かというと、隙間の世界らしい。

パズルとパズルの繋ぎ目のような世界。

どういう意味かは分からないが普通ではない事だけは理解できた。

本来、ここは来れる場所ではないらしいが、稀に世界と世界が圧迫し合いその時に生まれるストレスで小さな穴が開くそうだ。

圧迫し合う事も稀だが、穴が開くことはさらに稀。

仮に開いても地中や空中、宇宙空間に僅か数秒程度のとても小さな穴が開くだけとの事だ。

生物が通る確率は理論上は0のようだ。


凄いラッキーだね!! といわれ少しイラッとした。


そして、ここが一番重要なことだ。

元の世界に帰れないらしい。

薄々は気が付いていたが、改めて帰れないとわかると結構ショックだった。

お盆や正月には顔を出したいと思っていたのだが......


「でも、それはあくまで、今は帰れないという事さ」

「将来的には可能性があると?」

「その通り! 僕の方で頑張って君の世界を発見して、帰れる方法を模索してみるよ! だからお願い!! 落とし物を回収してきてくれないかな?」

「んー、仮に了承したとしても、この場所以外に干渉できないなら、アルトリリス? だっけ? そこに自分送れないんじゃないのか?」

「それは問題なし。僕は行けないけどシヒロ君だけなら行けるんだよ。君が行きたいと願えばその意思を間接的に補助するという形でアルトリリスへ行ける道は作れる!! 問題なしだよ!」


えっへん!! と胸を張って威張っている。

軽い感じで話してるが、かなりヤバい力を持っているのは確かだな......。


「君もずっとここに居たいと思ってはいないだろう? 僕を助けると思ってお願い!!」


脅しとも受け取れるが.......「助けてやったのだから助けろ」言わないあたり好意的に受け取れる。

それに、命を助けてもらいったうえに、帰れる可能性も示唆してくれた。

断る理由はないか。


「分かった。期待に添えるか分からないが、出来るだけの事はさせて貰うよ」

「ほんと? やったー!!」


嬉しそうにはしゃいでいる。


「さてさて、それなら助力は惜しまないよ!! それで? 君はどんな力がほしい? 玄人好みのスキルから、みんな大好きド派手な魔法まで何でもござれだ!!」

「そういうのよくわからないから、適当に見繕ってくれ」

「オッケー!! まずは定番から行ってみようか!!」


そういって、フッと手をあげ振り下ろす。


「..........」

「なんか変わったのか? 変わった感じはしないんだが?」

「いや、あれぇ? おかしいな? 何でだろう?」


そう言って何度か似た動作をするが、すべて失敗に終わった。


「なんでだろう......あっ!! もしかしてだけど、ニホンって言葉に聞き覚えない?」

「あるよ。自国だしな」

「ああぁぁ!! そういういことか......なんてこった唯一魔法がない世界の......」


がっくりと肩を落とす。


「なんだ知っているのか?」

「知ってるも何もかなり有名だよ。唯一魔法がない世界としてね.......神様とかに大人気なのさ。特に日本人はね」


いや.....でも.....っとブツブツまた何か言いだした。


いま神様って言ったか? ホントにいるのか。

父さんが聞いたら喜びそうだなぁ。と考えていると


「よしっ!! 無理なものは仕方ない!! きっと君ならできると信じてるから!!」

「おいおい」

「大丈夫!! 落とし物の回収は遅いか早いかの違いだろう。たぶん......」


なんか自分に言い聞かせてるみたいだな


「ただ何もしないというのは申し訳ないからこれを渡そう」


そういって大量の布切れがごそごそと動き出すと、小さな袋が出てきた。


「『収納袋』。容量は大きな倉庫5つ分ぐらいはあるよ。入れた物の重量はゼロになるし、時間も止まるから冷たいものは冷たく、熱いものは熱いまま!! 取り出したい時は、それを思い浮かべば出てくるよ!!」

「かなり便利じゃないか」

「食糧しか入らないけどね!!」


自信なさげな小さい声で「み......水も入るよ......」と言った。


凄い物じゃないか。


「普通に便利じゃないか、食料が傷まないんだから」

「だよね、だよね、しかもこれは君専用だといってもいい!! なぜならこれは魔力を持ってない人にしか使えない、魔力を持ってる人が触ると魔力に反応して自動でロックされる!!」

「それお前も使えないんじゃないのか?」

「何事も例外はあるよ!! ちょっとした裏技があるのさ!! ちなみに落とし物は例外の一つだよ。あれだけはこの袋に入るからね!!」


サラッと大事なことを言った。


「後は、この袋に【偽装】スキル等を付与しておこう、これで【鑑定】スキルなんかで君のステータスを見られてもごまかせる」


そういい、袋に軽く触れる。


「鑑.....定......? ってなんだ?」

「他人の情報を許可なく勝手にみることができる趣味の悪いスキルさ、ちなみに、この世界だと『レベル』『魔力量』『魔力の質』『スキル』って感じで見えるよ。まぁ君の場合は根本的な理由で見ることは出来ないけどね。ついでに魔法も使えない。残念だけどね」

「どんなに頑張っても使えないのか?」

「ん~、例外はあるけど止めておいた方がいいよ。オススメしない」

「そうか、ちなみになんだが【鑑定】を使うと、どう見えないんだ?」


隠れていて見えないのか。全く表示が見えないのか。どちらだろうか。


「試して見てもいいのかい?」

「どうぞ」


すると、ゾッとするような変な感じがした。

まるで体の内面を見られるような。


「全く何も見えないね」

「表示すらないのか?」

「うん、だから余計な争いを防ぐために【偽装】を施すのさ、仮に【鑑定】を使われても仮のステータスが見えるようにしてるからね! 安心してね!!」


ちなみに今なら好きに変えられるけど、どうする? と聞かれたので

魔法が使えないなら魔力の値はゼロにしといてくれ、それ以外は普通で、と言った。


「魔力ゼロね。本当にいいの? それはそれで結構めんどくさいことになるよ」

「魔力があるのに魔法が使えない。そんな理由や立ち振る舞いを考えるほうがめんどくさいんだ」

「そうかい? まぁ向こうの世界でも珍しいくらいだから変な勘繰りを入れられることもないかな」


うんうんと納得したように頷く。


「さてと、少しドタバタしたけど心の準備はいいかい?」

「ああ、準備は出来てる」


自分の荷物ともらった袋をもう一度確認する。


「落とし物の件、忘れないでね」

「大丈夫だ。こっちの件も頼んだぞ」

「やれることはやっておくさ」


手をまっすぐ頭上に挙げ、切るようなしぐさで手を降ろす。

すると何もない空間に切れ目が入り、グワっと穴が開く。

穴の向こうには空が見えていた。


「近くには町があるから、そこを最初の拠点にするといいよ.......では、いってらっしゃい」


そう言ったそいつは少し寂しそうに見えた。

そういえば、こいつは一体いつからここに居たのだろうか......この何もない世界で.......

ふとそんなこと考える。



「あっ、しまった」


しかし、不安をよぎる言葉で思考が引き戻される。

ルテルから言葉の真意を聞き出そうとするが、その意味をすぐに理解することになった。

今まで落下していた運動エネルギーが思い出したかのように作用し、急加速する。


「やっちゃった」


その言葉を最後に、人生で初となる空に向かって落ちるという珍しい経験をすることになった。


ちなみに鑑定を使われると

Lv23 シヒロ=シラズミ

魔量 無

魔質 無

スキル 剣術Lv3 槍術Lv2 料理Lv2


と見えます。

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