お前のじいちゃん六等星
数千年後ぐらいのずっと未来になったら、私が詳しく習った江戸時代も教科書で1ページぐらいに纏められるのかなあ。
昔の人は、母親のない子をなぐさめるために、こう言ったらしい。
「君のママは星になって、君を見守っているんだよ」
と。
***
「なにそれ」
「日本史で2~3000年前くらいのとこやってるじゃん」
「2~3000年って結構幅広いけど」
「えーと、いとをかしとか使わなくなった頃」
「鎖国終わったくらい?」
「そのへん」
「で?」
「ああ、そうそう。正確な時代とか知らないけど、少なくとも±数百年のうちに誰かが言ってるでしょ。故人を星に例えて、お空から見守っているんだよーって。」
「ふーん?」
「可笑しいと思わない?だってさ、死んで星になるなんて、死んだ後にもう一度死ななきゃならないじゃないか。それこそ塵も残らないぐらい派手にさ」
「そりゃ辛い」
「昔の人って酷だよな」
「でもさ、もし誰かが死んでも星になってくれるんならさ寂しくないよな。だって宇宙船で会いに行けちゃうじゃん」
「それは、確かに。こないだ死んだお前のじいちゃんにも会えちゃうな」
「じいちゃん死んでも死ななそうな人だったしな。あの人なら星になったって言われても信じられそうだよ」
「お前のじいちゃんどれかな」
「じいちゃんかくれんぼの達人だったからきっと地球の裏側にいるよ。自転に合わせてマラソンしてんだよ」
「お前のじいちゃんタフだな?」
「死んだ後にもっかい派手に死ねとか昔の人酷だと思ったけど、なんかじいちゃんが星になってるかもとか考えると楽しくなってきた」
「だな」
「でもお前のじいちゃん見えないなら六等星だぞ」
「晩年の頭部は一等星だったんだけどなあ」
「太陽のように燃え盛る頭部………」
「こえーよ」
おしまい。
「おまえのかーちゃんでーべそ!!」
が
「おまえのじーちゃん六等星!!」
なりそうな話でした