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7章 溢れる想い

私はいつのまにか映画みたあとにきているカフェにいた。


たぶん彼が泣いている私をなだめながらここまで連れてきたのだろう。


あまり覚えていない。


ずっと考え事をしていたから。


彼がレモンティーとコーヒーをオーダーしたあとは、お互いしばらくだまったままだった。


「さっきはごめんね、突然ないちゃったりして。」


私はとりあず、突然泣き出してしまったことを彼に謝った。


「あ、ああ、・・なんだったんだよ、、なんで突然なきだしたんだ?なんか気に障った?」


「ごめんね、さっきはちょっと感情が高ぶっちゃって、、ほんとごめん、気にしないで。ね?」


「気になるよ。ちゃんとわけを言ってよ。」


「ちょっとね。なんでもないの。もう大丈夫だから。」


「なんだよ・・」


彼はどこかがっかりしたような声でいった。


彼に対して本当のことはいえない。


言うことができない。


私は彼に真実を話すことはできない。


どんなことがあっても。



「愛してる。」


私は、涙の本当のわけを言えない代わりに、心をこめてそういった。


「え?な、なんだよ、突然。」


「うんん、別に。だた、言いたくって。愛してるよ。」


「わ、わかったよ。まったく、。突然泣き出したりわけわかんねぇなぁ」


彼はどこか照れたような、安心したような安堵の表情を浮かべていた。


私は、彼が好きだ。


彼を愛している。


それを痛いほど感じた。


どんなことがあっても彼を守りたい。


彼を失うなんてこと絶対に嫌だ。


彼は死ぬ運命にある。


そういう未来にある。


私がみた未来はどんなにもがきあがいても決して変える事の出来ない未来。


それはわかっている。


わかってるけど、どうにかして彼を救いたい。


どうすればいいのか?


ずっとそればかり考えていた。


助かる方法を。


きっと希望はあるはず。


未来はきっとかえることができるはず。


私が変えてみせる。


彼の未来を。


彼の運命を。


私にしか出来ないことだから。


私が彼を救う、そう決意した。


そのために私ができること。


それは彼を変えること。


彼の考え方、なにより命の大切さ、生への執着心、生きるということをもう一度あらためて考えてもらう必要があると思った。


彼は私といるときでさえ、どこか冷めた感じで世界を見ていた。


自分の人生なのにどこか投げやりで、全てにおいてドライだ。


私が彼にこの力のことを正直に話して、彼が死ぬ運命にあることをいったら、きっと彼は素直に受け止めてしまうだろう。


いや、その時点で、生きようとする意志を完全にうしない、すぐにでも命を絶とうとするかもしれない。


きっと彼は生きるということに未練は感じないだろう。


そんなんじゃダメだ。


生きて欲しい。


生きるということは素晴らしいとことだと、感じて欲しい。


彼に生を満喫して欲しい。


彼に考え方をあらためてほしい。


ちがう視点で世界をみてほしい。


この世界には素晴らしいことで溢れているはずだから。


まだ彼はそれを知らないだけだから。


それを彼に教えたい。


そして、彼が死ぬと悲しむ人間がいるということをわかってもらいたい。


そのためにも、いままで以上に私は彼と向き合うことにした。


そう決意したのだ。



「ねぇ、将来のこと、どうかんがえてるの?」


「え?」


「あなたは、いつもどこか悲しい目をしているの。なんで人を理解しようとしないの?今はいいかもしれないけど、この先そんなんじゃダメだよ。いろんな世界をしらなきゃ。そして、しっかり目標も作って、その目標のためにしっかりと自分の足であるいていかなきゃ。ね?」


そう私が言ったのはこないだの事についての話しが一区切りがつき、彼がコーヒーをおかわりした後のことだった。


彼は突然の私の言葉に戸惑いを隠せないようだった。


その表情をみて私は失敗したと思った。もっと上手な聞き方があっただろうに。


彼は窓の外を見ながら、私が去年あげたジッポでタバコに火をつけた。



「どういうことだよ。」


しばらくして彼がいった。


「なにがいいたんだよ。なに?なんなんだ?お前は哀れんでるのか?余計なお世話だ。」


その言葉には、怒りがこもっていた。


普段あまり感情を表に出さない彼がだ。


きっと彼の心の奥の傷を私が触ってしまったんだろう。


「ち、ちがうよ、私はただ・・そうじゃなくて、あなたはいつも、人と距離を置いてきたでしょ?言いたいことも言わないで・・だからせめて私には言ってほしいの、なにを考えて、何を思っているのか、素直に言ってほしいの。」


私はあわてて弁解した。


彼に私の気持ちをわかってほしくて。


「お前に言われたくねーよ。だいたいおまえになにがわかるんだ?」


そっからはもう、彼は堰を切ったように言葉を感情とともにまくしたてた。


手がつけられなかった。


彼に誤解をさせてしまった。


気持ちをうまく言葉にできなかった。




そして、運命の日を迎えた。


世間では東京が40年ぶりのホワイトクリスマスになるかもと騒いでいた。


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