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2章 待ち合わせ

「ったく〜、あいつはまた遅刻かよ・・」


彼が小声で独り言をいっているのを私は、彼が寄りかかってまっている柱の後ろで聞いていた。


私は彼がすねた顔をみるのが好きだった。


その顔や、彼のリアクションを見るために、私は彼よりも必ず早く来ていた。


そして、待ち合わせ場所からちょっと離れたところで彼が来るのを待っているのだ。


私のために待ってくれている、そうおもうと、彼には悪いけど、うれしくなるのだ。



「わっ」


彼がタバコをふかしたのをみると、そろそろ待ってられる限界だなと思い、彼の背中に抱きついた。


「ごめ〜ん。おまたせ〜〜」


「びっくりさせんなよー。ったく、おい遅刻だぞ?」


彼はちょっと不機嫌そうにそういった。


私は彼のすねた顔をみて、愛しくなった。


「ごめんねぇ、ほんと、ごめん。おこってるの?でも、ほら、女の子ってお化粧とか時間かかっちゃうからさぁ」


「うん、そっかそうだな・・って、だからって遅刻してもいいってわけじゃないだろ?だいたい遅刻したらなんてゆーんだっけ?」


「はい、ごめんなさい・・もう、そんなにおこんないでよ〜。ね?すきだよ〜すきっ」


そういって私は彼の腕をとり、背伸びをし15cmある身長差を縮め頬にキスをしてきた。


そうすると彼はすぐ機嫌がよくなる。


悪く言えば単純なんだよね。


そんな彼がかわいいんだけど。


「おい、もう、やめろって公衆の面前で、はずかしいだろ〜。そんなんじゃ、ごまかされないぞ。」


そうは言いながらも、彼は思った通りうれしがっていた。


それを見て私はまた笑ってしまった。


好きという気持ちを実感できる瞬間でもあった。



そんな彼に何度、すくわれただろうか・・



私たちはどこにでもいるごく普通のカップルだった。


たまにだけど私の買い物に愚痴をたれながらもつきあってくれたし、彼が好きなゲームセンターにいくと、私のためといいつつ、自分が楽しみたいだけだろうけど、どうでもいいようなぬいぐるみをとってくれたりもした。


私が見たいといった映画を観に街の映画館にいっては決まって、仲良く2人でわけようといいながらポップコーンとコーラを1つずつ買った。


結局はポップコーンは大半、彼の口の中にすいこまれるが、映画に夢中になっている彼の横顔が好きだった。


映画を観終わると近くのカフェでお互いの感想を言い合い、たまにお互いの解釈の違いから口論になったりもした。


きりがないので、最後は私がビデオがでたらまた見ようね、ということで彼もしぶしぶ納得していた。


そしていつもと同じように彼の家にいき、心を重ねあった。


私は彼のとなりにいれるだけでよかった。


彼の胸の中で眠るのが好きだった。


この場所は誰にも渡したくないと思った。


別れ際には背を向いている彼に腕をまわし、体をよせた。


彼の背中をみていると切なくなってしまうからだ。


そんな私に彼は向き直ってやさしくキスをしてくれた。


私の気持ちには気付いていないだろうけど。


そのキスがとても好きだった。


彼のやわらかい気持ちが伝わってくるキスだった。


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