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暇つぶしで予習。


ーーキーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン



「みんなおはよぉ。」


教室いっぱいにチャイムが響き渡ると同時に、我らが担任が入ってきた。


「「「おはようございます!!」」」


全員元気よく挨拶する。


美少女への挨拶は元気よく、常識ですね?


姫は新しい生徒達を見渡すと満足気に微笑んだ。


からの上目遣い。




これは………………来る!



「姫ちゃん、元気に挨拶してくれるみんなのことがだぁいすきぃ♡」



「「「キャァァァ ひめちゃぁぁん!」」」


姫やべー。 


さっすがアイドル!


これはもうクラス中がハートを撃ち抜かれたよ!!


もちろん私もね!


「みんな、そんなに見つめれたら照れちゃうよぉ。


じゃあ今日は張り切って行こうかなっ。

1時間目のホームルーム始めまぁす!」


姫のやつぅ。


計算だって分かっててもどきどきするわっ



ちなみに、今日から授業開始になっている。


能力の使い方とか教えてもらえるって言ってたけど。


ノートに黒板の文字を写したりペーパーテストを受けたりしなくていいってことかな?



よし。


中学校時代の成績を振り返ってみよう!


ちょーっと回想モードに突入っ!


。。。


体育の実技テストは、ほとんど学年でだんとつ1位だった。

持久走だけは中の下をキープ。


そんなことから私の通称は「年老いたチンパンジー」。


チンパンジーのような運動能力がありながら、体力が保てない様子はまさに年老いたチンパンジー、らしい。


『なんだ、その褒められてるようで褒められてないみたいなネーミングは。

素直に喜べないじゃんよ。』


と、思いながらもめげずに走り続けた私えらいよね!?



そしてだ!


保健のペーパーテストは分野によって満点だった。(何の分野かはご想像に任せるよ☆)


数学、理科、国語、英語、社会、つまり主要教科は全部半分いくかいかないかレベルの点数。


高校だったら欠点スレスレってとこだねっ


。。。


……やっぱない方がいいよなー。 


これからは留年っていう、『進級させない畜生大魔王』が潜んでるわけだし。


そいつの侵食をなんとしても防がないとだよ!


ゆけ、美羽さん! 


正義の…ジャスティスのために!!



という安っぽい一人芝居でーす。



「まず時間割。 

1組の一年間の授業スケジュールはそれぞれの担任が決めることになってるから、時間割は1週間ごとに更新でぇす。

早速今週の時間割配るねっ。」


小さめの紙が一枚配られる。


えー、なになに?


今日はこのあと、2時間だけ授業をやるらしい。



2時間目、生物。 


3時間目、生物。



2時間目は生物で3時間目は生物なんだね!



へぇ、そっかぁ……。



「って同じじゃん! 

しかもこれって黒板写す系の普通の勉強だよね!?

このクラスは能力を使いこなせるようになるだけでいいんじゃなかったの!?」


思わず叫んでしまった。


でも気にしたら負けだ!!


「花恋も見てよこれ!!

ほらほらーっ!」


勢い余って花恋の顔に、見ていた紙をグイグイ押し付ける。


ちなみに言うと、「波瀬」と「南條」で花恋とは席が前後なのである!


ひゃっふぅ



「そ、そんなに押し付けないでください!

見えてます見えてますから!!

っていうより、押し付けたら余計に見えないですからっ。」


「よいではないかーよいではないかー。」


紙を抑える私の手を巡っての攻防戦。


押し倒す勢いで粘る。


「みーうーさーんー」

「くっ、はぁ……なー、にー?」


腕の筋肉使いすぎて息切れしてきた。


し、しかたない。


今回だけは許してやろう。


「体力では美羽さんに負けませんよ。」


紙を引き剥がした瞬間、花恋の顔は固まった。


「あれ? 

どうしたーーーあぁ、うん。」


聞こうとしたところで自己解決。


今のはまぁ目立つか。



凸レンズを通して光が一点に集まるように、みんなの視線が私達に集まっている。


お。頭いいこと言ったかも。


「美羽さんのせいでみんなに見られちゃってるじゃないですか。

どうするんですか!」


再起動した花恋が耳打ちしてきた。


随分とご立腹なご様子。


「大丈夫大丈夫。 私に任せてよ。」


周りの冷めた表情をぐるっと見渡す。


「…………いやん、見ないでぇ。」


名付けて『ぶりっ子声大作戦!』だ。 ででん!




ーーチクタクチクタクーー



時計の音だけが聞こえる。



え、もしかして滑ったの!?


このネタで滑ったことなかったのに!!


泣き叫んでやろうか!



ーークスクスクス


そう思ったらあちこちから笑い声が聞こえてきた。


もしかしてびっくりしただけ?


なーんだ。 


焦らせんなよなー



「美羽ちゃん、質問はちゃんと手を挙げてから言ってよぉ。

生物は、人間についてと魔物についての大きく

2種類に分かれてるの。

だから生物は生物でも全然違う勉強なの。 


それに、ペーパーテストもちゃんとあるんだよっ。

内容が普通と違うだけで。」


なるほろなるほろ。


数学とかはないけど、敵と戦う上で持ってた方がいい知識は覚えておいた方がいいでしょってことか。


まだマシなやつ。


「そうなんだ。

ありがとー! 止めてごめんねっ。」


「実技と筆記のテストで姫ちゃんが決めた合格ラインに届かなかった人は

補習することになっちゃうからがんばってね♡」



ちょっと憂鬱だけど。




。。。


あーひまだー。


現在、授業では生物(人間ver)をしてるらしい。


あと30分くらいで三時間目も終わって今日の授業ともさよならだ。


ノートは……


あとで花恋に見せてもろおっと。



残り時間何しよっかな。


睡眠時間もしっかり取った。


考え事もした。


妄想もした。


ちなみに考え事の中に妄想は多分入らないんだよ!


この清純清楚キャラな私が妄想ばっかしてるわけないじゃん!!


することと言えば、あと……


あっそっか。


自分の能力がどうやったら使えるか研究すればいいんだ!


予習だよ予習!!


予習とか初めてするわー。



初めて……。



初めては美少女以外にあげないんだからっ!!!




私の能力は『フルーク』。


空飛べるんだっけ。


最初は翼は付けるからー。


王道に、手を広げたら一緒に翼も出てくるとか。


手探りで行ってみよう!


「ふぅーー。」


周りに怪しまれないように、伸びをしているふりをしながら両手を広げる。



……何も起こらない。


そんな簡単には行かないかー。


うーむ。


なぜだ。


イメージが足りなかったのか?


そういえば特に何もイメージしてなかったしなー。


こういうのはイメージがスイッチになってるのかもしれない。


今度はちゃんと翼が生えるイメージをしよう!


イマジネーションっと。


「はぁーー。」


真白で大きな翼が生えているイメージをする。


私の翼よ広がれ!!



ーーーボンっ


「おわっ」 


な、なんか背中から何かが出てくる感触がした!


自分では見えないけど、もしかして成功か!?



「あんた何やって……!!!

…こほん。

美羽ちゃん何してるのかなぁ?

今は能力じゃなくて、せ い ぶ つ の授業なんだけどねぇ?」


振り向いて私の様子に気づいた姫が血相を変える。


「いや、なんか予習しよっかなぁって……てへ☆」


「そぉなんだ。 

独学で使えるようになるなんですごいねっ」


ニッコリ。



せ、背筋がゾワゾワする……。


嫌な予感が……。



「後で教員室来てね。」



嫌な予感てきちゅーーー!!!!



教員室かぁ。やだなぁ。


まさかいきなり呼び出しを食らうことになるとは…。



「……はい。」


「はぁ。

ついでに、さっきから花恋ちゃんの顔が羽に埋まって窒息死しそうだよ?」


「マジっすか!?」


急いで前にイスを引く。



「ぷはぁっ。 し、死ぬかと思いました……。」


「花恋ごめんっっ」



振り向こうと体を動かそうとする。



っ重!!


翼が重くてなかなか思うように動けない。


「無理に動かさないでください!

翼にまた埋まってしまいますっ」


多分花恋にがっしり肩を掴まれた。



たしかに、回転はしない方がいいか。


私の翼は何もしなくても被害を出すほど大きいことがわかったから。


イメージ通りの大きさになっちゃったのかも。



予想だけど垂直に立てば問題ないねっ


「せーのっ」


姿勢よく立ち上がる。


「あれれれ」


体がぐらつく。



すごい重いリュックを背負うイメージ、って言っても伝わんないかなぁ。


とにかく背中が重力に引っ張られる感じ。


今はまだ動かせないけど、なんとなく感覚はあるんだよね。


練習したら動くのかもしれない。



翼を出きるだけ手で抑えて、ゆっくり振り返る。


大丈夫だよね?


誰にも当たってないよね?


「すー はー」


一息深呼吸して花恋をじっと見つめる。


うわ、顔真っ赤だ。


酸欠しちゃったのかな。




「花恋……。

すみませんでしたーーー!!」


全力謝罪をした。


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