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寮に行こう。


あれから私達はひたすら寮へと歩いている。


なんやかんやで5分ぐらいたったんじゃないかな?


だいぶ疲れてきたもん。



最近わたしゃ足が弱くって、すぐ疲れるんじゃわ。


みなのしゅう、お年寄りには優しくしてほしいんじゃ。


それがおぬしらの努めであろう。 


ホッホッ。



とか言って1人演技をしてみる。


すぐ疲れるって多分、冗談っぽく聞こえるだろうけど、ほんとに疲れやすいだよねー。 


そうなってよかったのは、体育で持久走走ってる時にぶっちぎりの一番後ろを走ってたら、みんなから応援してもらえたこと!


最後尾って嫌がる人が多いけど、私の場合は熱い視線を独り占めできる至福の時間だ。



でもやっぱ嫌じゃなくても、疲れやすいのはいろいろ困るよねー。


運動不足かなぁ。 


中3の夏に運動部引退してから、半年間体育以外の運動はしてないし。 



ーーそろそろ腹筋とか始めよう!


それを言い続けて約半年。 


やり始めると、いつもちゃんと3日経つとやめてしまう。


ある意味すごいと思う。


だれか褒めてほしい。



ーーだって目標がないと続けられないよ!


これ、いつも使う言い訳ね。


考えてみると自分に甘々だ。



「なんとなく周りについて行ってるけど、ここはどこ?」



花恋が定番の『あれ』を言ってくれることを期待する。

私の嫁(決定事項)よ。 


どうか私の想いを感じ取ってくれ。


「もぅ、美羽さん。 

さっき山田先生がおっしゃってたじゃないですか。 

この道をずっと行って角を右に曲って少し行ってーー」



…あっさり流された。


「ちょーっと待ってね? 

まず私、山田先生の話とかあんま聞いてないし。

それに今のは『私はだれ?』って返すとこじゃん!」

「いや、定番すぎて返す必要がないかと…。

それに少しわかりにくかったので。」


そっかぁ。 


花恋は定番すぎたら逆にノってくれないのかぁ。 

 

あれ、でもラブラブ炸裂追いかけっこはノってくれたよね?


花恋のノリの基準がわからん。


よし、これからじっくり観察していこう。


どこを観察するかはひみつだよ!



まぁ、例えば? 


2つの大きなおまんじゅうかつプリンな所とか、秘密の花園とか?


結局言っちゃったよっ


「ぷぷっ。 あんたってもしかして方向音痴ぃ?

高校生にもなってそれはないんじゃなぁい?

身長的にも、もう一回小学生やり直せるわよぉ?」


姫には言われたくないからね? 


ホールにつく前迷子になってたよね?


私の中ではもう忘れられない思い出になってるよ?



「今は身長関係ないから!

……ってゆうかさー。

そろそろツッコんでいい?

なんで姫は私達と一緒にいるの? 

定期持ってたし寮住まいじゃないよね?」


「多分、姫さんは私達以外に友達がいなくて寂しいんだと思います。」


「ち、違うわよ? あんた毎回失礼よね!!

と、と、友達なんかいっぱい、い、いるに決まってるじゃない!

さっきの私の人気見たでしょ!?」



えーっと、今日だけで花恋が毒を吐いた回数はっと。


…3回? 4回?


どっちにしても初対面の人に短時間でこんなに毒吐けるのすごいわ。


しかも無意識だからまた怖い。


花恋姉さんマシかっけぇっす!


一生付いて行くっす!


「ってことで結婚してくれー!

丁寧に言うと、私と永遠のloveを誓ってくれー!」

「お、同じ事を1日に何度も言わせないで下さい。」


おろ? 私の情熱的な胴体と胴体の絡みが避けられてしまった。


不意打ちじゃないといけないのか。 



今度するときはこう……下からぬっと出てきて抱きつこうかな。



「あんたたち、すぐ話が脱線するから話戻すけど、私は担任だから寮の管理人さんに挨拶とかあんの。 

わかったぁ?」


「私、悪いこと言ってないのに一緒に怒られてるー。

それよりさっき、花恋が姫のこと友達いないって言ってた時、ちょっと動揺してた気がするんだけど、やっぱり姫ってーー」

「波瀬美羽ちゃん? 姫ちゃんに何か言ったかなぁ?」


「いえ! 何もありませんです!

だからそんなに睨みながらジリジリ詰め寄るのはやめてください!!」


こういう時にキャラチェンするとか恐怖でしかないし。


しかも、ちゃん付けフルネームで恐さ倍増だし。


なぜに途中から私に標的変わったし。


それに笑顔を浮かべてるけど眼光がやたらするどい。



表現をかわいくすれば、


私をじっと見つめるお目々がぴかぴか光ってるぅ。 きゃはっ



「ふん! これからは気をつけることね。

教師に口答えしたらどうなるか、肝に命じておきなさい。

…悪い子にはお仕置きしちゃうぞ☆」



姫にこの手の話は禁句ね、把握。


裁判長! 私、教師に脅迫されてます。 


表現の自由を禁止されてます。


これはもしかしなくても、職権乱用です。


被告人に処罰をお願いします!




。。。


「あっ、美羽さんに姫さん。 お話は終わりましたか?」


ところで真犯人のこの子は、さきほど涼しい顔して近くのお花を見ていらした。



花恋さーん。 


少しは私のこと気にしてくださーい。


そして私と一緒にらぶらぶしてくださーい。



幸せそうな顔でお花と戯れられたら何も言えなくなっちゃったんだけどね?


美少女にデレ期が多量な私です。


「はい、どうぞ。 

さっき綺麗に咲いてるお花を見つけたので、3人分摘んで来ちゃいました。 初めての出会い記念です。」


そう言って、私達の胸ポケットにお花を挿してくれた。


それも最上級の笑顔で。



……なんていうかね。 おかんは感動したよ。


花恋の頭をなでなでする。


すると、私と同じくらい小さなもう1つの手もなでなでし始めた。


ちらっと隣を見ると姫も幸せそうな顔をしている。


もうひとりの美少女も美少女にデレ期があるらしい。

  



。。。


「へぇ。 思ってたよりすごいきれー。」


寮についてから、早速自分の部屋に向かっている。


寮ってもっとボロい感じがしてたけど、結構いいホテルみたいな感じだった。


なんとここ、大広間があってシャンデリアまで付いているのだ。



この様子だと、お風呂も凄そうだなぁ。


今日の入浴が楽しみだなぁ。


「それもだけど、あんたたち、部屋が隣同士で良かったじゃない。」


「そうだよ! 

美少女と1つ屋根の下に住むだけでもやばいのに、しかも隣の部屋! 

花恋の部屋に居てもすぐ荷物とかとりに行けるし。 

一緒にお風呂入って一緒のベッドに入って、あわよくばあーんなことやこーんなことまで……。 グヒヒ。」

「最後に本音が漏れてるわよー。」


そういうことに免疫がないのか、花恋は目をおろおらさせている。


涙目で耳まで真っ赤になっちゃって。 


やばい、そそられる。 


食べたい。



…ちょっといたずら心湧いちゃったかも。


私は悪くないし。


私を誘惑する花恋が悪いし。  ウソだけど。



自分でも分かっちゃうくらい気持ち悪い笑みを浮かべる。


「私は別に、『あんなことやこんなこと』としか言ってないのに、花恋は何を想像してソワソワしてるのかなー?」



ーーカァァァッ



「美羽さんのばかぁっ。」


恥ずかしさに耐えられなくなったらしい。


後ろを振り返って逃げ出そうとした。


そんな行動もかわええわ!


美少女がやってるから余計にかわええわ!



ふっふっふっ。 しかしだな。 


正義の味方、美羽さんがそうはさせないぜ!



走り出す花恋を全速で追いかける。



「花恋たん捕獲ー! 

脱獄囚は美少女に代わって美羽さんが逃さないよ!

観念しろー!」

「えっ、ちょっ。」


ミッション成功!


10メートル走らないうちに捕獲。



さっすが私! 


私が本気出せばざっとこんなもんだよ。


これは世界に進出できるか?



「うぅぅ。」


花恋が腕の中でジタバタし始めた。


私より背が高いけど、腕力は負けない自信がある。


こう見えて力持ちなんだよ。



「あんたらその辺にしときなさい! さっきから見られまくってるわよ。 

まったく、私まで同類だと思われちゃうじゃない。」


姫も十分変だよっ、と言おうと思ったけど、確かに周りの視線が痛いのでおとなしくしておく。


あーあ。 


女の子にそんな目で見られるとかゾクゾク、じゃなくて……んーと。


チクチクするぅ。



「心がチクチクしちゃうぅ。」



4 つ の お 目 々 か ら 絶 対 零 度 を 浴 び た 。


し か し 瀕 死 は し な か っ た 。



だってそんな目にも…ね?


「ほんとあんたは…。 まぁいいわ。

ちなみに言うとここがあんた達の部屋よ。」


「あんた達の部屋。 つまり私達の愛の巣だねっ。」

「違います!」


そんな全力で否定しなくてもいいのにー。



ふっ、私の手にかかれば女の1人や2人、すぐに落とせるさ!


これから覚悟しておけ世界の美少女たち!!


落とした日には、この私がペロペロピチャピチャしてやる!



っと言いつつほんとは落とし方とかわかんない!


誰か美少女を落とす方法を教えてください。



そう言ってるうちにも首を横にぐわんぐわん振り続けてる花恋さん。


ぐわんぐわんぐわん。


折れそう折れそう折れそう。 みたいな。



おもしろいから動画撮っとこうかな。


後で見せたらすごい恥ずかしがりそう。


それもまた一興。




ーーピ。



じー。 



ーーぐわんぐわんーー



ぐるっ。


次の瞬間、画面いっぱいに姫の顔が広がった!


あれ。 たしか花恋を撮ってたはずなのに。


「ちょっとぉ! 

動画撮るなら、みんなのアイドルである姫ちゃんをとりなさいよ。」


どうやら自分を映してもらえないのが不服だったらしい。

子どもっぽいけどかわいい。


「じゃあ、姫と花恋を一緒に撮るね。

私も2人のこと隅から隅まで舐め回すように見たことを動画に残したいし、それなら文句ないよね?」


すると、なぜか花恋と姫、一緒に胸を隠した。

そして私を睨む。


花恋ってこういうとき素早いよね。


さっきまでヘドバン(左右ver)してたのに。


「隅から隅までって表現が危ないわよ!」

「そうですよ! 表現以前に思考回路も危ないです!」


思考回路も危ないって、私が変態みたいじゃん!


いつでも肌と肌の接触願望があるだけなのに。


変態には及ばないはず、だと思う。


「それならお望みどおりに、ギリギリまで見えちゃう危ない撮影会を始めようか。」


一歩ずつ、ゆっくりと詰め寄った行く。


うへへ。 どんなのを撮ろうかな。 


普通に撮るのはおもしろくないしー。


まずは二人の両手をしばってー。


普段は見れないあの体勢を嫌がる二人に無理やりやらせる…とか?



どうせなら犯罪スレスレまでいこうか。


欲望達成まであと少しだ。


常備している縄を取り出すーー



…あ、れ?


ふっと体がゆっくり倒れていくのがわかる。 


初日からいろいろ興奮しすぎて疲れた?。


理由ははっきりわからないけどもう限界みた…い。



ーーバタッ



「み、美羽!?」

「美羽さんっ!」




2人の言葉を最後に意識が途切れた。



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